還暦になり前職を半分リタイヤし、オーディオを極めるためイチから勉強し直しました。真偽の疑わしい情報が氾濫するなかで、オーディオの真実を知りたいという思いが強く、色々と試行錯誤しました。
そのうち、耳にはあてにならない部分があり、測定や解析なしでは、真実に迫ることはできないと考えるようになりました。
例えば、ブラインドテストで、同じ曲を全く同じ条件で聴いても、何れかが良いと頭で思うと、そちらの方が随分良く聴こえてきます(心理効果)。
また、室内音響を測定すると、リスニング位置が5cm変わるだけでも、周波数特性が大きく変化しますし、普通には聞こえない騒音で波形は常時変化しています。
このため、実際の楽曲を用いて、音の違いを解析する方法がないかと考え、waveファイル同士を比較できるソフトを専用に作成しました。
これを用いて、CDからリッピングしたwaveファイルと、これをDA変換後にAD変換して記録したwaveファイルとを比較(差分のグラフ化)しました。
そうすると、レベル差、サンプリング周波数ずれと位相ずれが生じ、これを補正する必要がありました。また、これらを補正しても、位相歪みが生じるため、差分グラフの振幅が大きく、
正確な評価ができませんでした。しかし、ある日、位相歪みをキャンセルする方法を考案し、この問題をクリアーできました。
そうすると、スピーカーに入力されるまでの信号の変化が、一目で分かるようになり、DA変換におけるデジタルフィルターの影響や、アンプの特性などが明らかになりました。
もちろん、デジタル領域においては、このような補正をせずとも、簡単にビットパーフェクトからの波形変化を知ることができます。
前職が技術文書を書くことでしたので、これらの結果をまとめると共に、基礎の部分が分かり易いように説明した書籍をアマゾンで出版しました。
また、「KK解析ラボ」のウエブサイトで、解析結果の一部を公表しております。
このサイトでも記事を公開していきたいと思いますので、宜しくお願いします。
/売れない物書き
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初めまして。このソフトは一般公開されるのですか?
客観的に音質変化を可視化する無料ソフトとしては DeltaWave Audio Null Comparator が定番だと思います。みみず工房で紹介されてます。こちらとの比較など教えてくださるとありがたいです。よろしくお願いいたします。
https://deltaw.org/
http://mimizu.atwebpages.com/articles/articles029.html#002
コメント、ありがとうございます。
このソフトは未だ未だ未完成な部分があり、一般公開は難しいと考えています。内部で作業する分には、ある程度の完成度があり、結果を報告できるレベルだと思っています。書籍では、結果を報告していますが、考察が十分できていない部分があります。
無料ソフトとの比較としては、情報をざっと見た限りでは、やりたい事はほぼ同じですが、デジタル領域だけでなく、アナログ変換を介在した場合にも、対応できる点です。デジタル情報の質・量の変化を確認して、音質の劣化を見える化するものです。
この辺りは、「KK解析ラボ」のページをご参照ください。デモ動画では、デジタル領域の比較を行なっていますが、アナログ変換の場合も、サンプリング周波数ズレの調整などは同じです(位相ずれも同様です)。
MacWinFanさん
無料ソフトとの比較に関して、確認不足なコメントをしてしまい、申し訳ありませんでした。このソフトのことは、これまで十分確認できていませんでした。
本日、このソフトを導入して色々と試してみましたが、設定画面で、位相ずれ、位相歪み、サンプリング周波数ずれ、などが自動で行なえる機能を付加できるため、アナログ変換が介在する場合でも、効果的に使用できることが分かりました。
また、位相イコライザーと周波数イコライザーがありますので、スピーカーの評価などにも有効なため、更に色々と試してみたいと思います。
私の作成したソフトは、原始的な作りで機能が最小限ですので、計算速度は早くなりますが、手動で色々と微調整を行なわないといけません。自分が表示したい情報を表示できる点が唯一の優位な点かと思います。
貴重な情報を教えて頂き、大変感謝しています。
//売れない物書き
売れない物書きさん こんにちは(^^
「位相ずれ」と「位相歪み」の違いも分からないわたくしですが、『位相歪みをキャンセルする方法を考案』というのが良さそうだというのは肌で感じました。少し勘違いされる可能性があるのは、『再生音の歪みが低減されるのではない』のですよね?。 お書きの内容 または これから書かれようとする内容は・・・ ”測定系の改善技術” であって “音質改善技術” ではない の ですよね?
『測定の事はわからなーい』そんな人が “世間の” 大多数ですので、
分かりやすく?「これで音が良くなるぞ!」という方向性を持たせた方が・・・
興味をひかれやすいかも?
たとえば
アナログレコードのように再生時に発生する歪みを見越して “逆歪み” を 加えてカッティング → 再生時に歪みが相殺されて低歪みになる・・・「ノンディストーションカッティング」を模倣してみるだとか。
(この技術により、原理的に避けられないレコードの外周と内周の音質差が無視できるレベルになった? ※MS(マスターソニック)シリーズの付録説明から)
今回の場合なら
CDからリッピングしたwaveファイルに測定した歪みの逆特性を加えて?、”アンプ出力部で最小差分が得られる” NEW waveファイルを出力 する ソフトを作成されると、興味をひかれる人が増えるかも?です。
ファイルは出力しませんが上記の最小差分となるようなものに似たものには RePhase(https://rephase.org/) があります。(こちらはスピーカー出力までも包括)私は JRiverに この 位相補正 の コンボリューションフィルターを組み込んで 遊んでみた事がありました。スピーカーが同じなら誰でも使いまわし可能なのが良い感じ。LINNも?各メーカー各スピーカー別のプロファイルを持って、成長するオーディオシステムだとかやられていたような気がします。
ノンディストーションカッティング参照:
ジャズ名盤セレクション:レーベルとプレスによるLPレコードの音質の差異
著者:山口克巳,誠文堂新光社
立ち読み ⇒ https://books.google.co.jp/books?id=SwFlDQAAQBAJ
コメント、ありがとうございます。
ご指摘の通り、『位相歪みをキャンセルする方法を考案』というのは、”測定系の改善技術” であって “音質改善技術” ではないです。
ただ、色々と測定するなかで、何をすれば、位相歪みが小さくなるかということは、検討することができます。また、スピーカーに入力されるまでの機器の位相歪みは、聴覚できるほど、大きくないと考えており、スピーカーの選択や室内音響の調整の方が、改善価値が高いと考えています。
この2点についても、今後検討して、情報発信する予定ですが、現在の知見としては、私のレベルはかなり低いと考えています。逆に皆さんから教えて頂きたいと思います。