よく通る楓の並木道が近所にあります。
もう紅葉もかなり進んできていて、
赤から緑のグラデーションとなった様子も
なかなかに趣深いものがあって、私は好きなのですが
この秋は、殊に赤の色の深さを感じ、
美しいな~と、今日は少し感動しながら車を走らせていました。。。
そんな深まりゆく秋を感じる今日このごろ
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
何とはなしにアルバムを聞き始め、いつの間にか演奏に引き込まれる
ということは、たまに経験することのように思いますが
リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリンコンチェルトと小品を収録した
アラベラ・シュタインバッハーの新作との出会いは
まさにそんな感じでした。
某ストリーミングサイトの新作紹介で
印象的な彼女のポートレートのジャケットにひかれるぐらいの
軽い気持ちでアルバムを聞き始めました。
https://www.arabella-steinbacher.com/js_albums/richard-strauss-violin-concerto-miniatures/
まずは初めて聞くヴァイオリンコンチェルトから。。。
シュトラウスが十代の時に初めて手掛けたコンチェルトだそうで
演奏される機会も少ないとのこと。
確かに曲調からは、作曲者の意気込みというか、
あたかも新人アーティストがデビューアルバムに込める
「今の自分にやれることはなんでも詰め込んだ」かのような感じは
ちょっと受けましたが、それよりも強い印象として伝わってくるのは
後年の彼のオペラをうかがわせるように
ヴァイオリンがよくうたうところです!
歌曲からの編曲作品群がその後に続きますが
シュタインバッハーのヴァイオリンは、うたい続けます。
そしてラストの(アルバムタイトルともなっている)
歌劇『アラベラ』より
“私にふさわしい人が…(Aber der Richtige)”で
静かな余韻を残してアルバムは終わります。
バイエルン国立歌劇場のソロ・コレペティートル(歌唱コーチ)
をつとめた彼女の父は、有名な歌手を家に招き、
頻繁にシュトラウス作品を歌ってもらったそうで
彼女はその歌手たちと父とのリハーサルを、
グランドピアノの下に潜り込んで聞いていたとのこと。
アルバム入手後、そんなエピソードを記した
彼女の手によるライナーノーツや
幼い時のおそらく自宅で撮ったと思われるスナップショットも
目にしたりすると、
このアルバムは、彼女にとって単なる一作品ではないことが
はっきりわかってきました。
それから、次のようなインタビュー記事
https://www.toppanhall.com/archives/voice/bn_061.html
なども読むようになると
彼女は、よい師匠たちに恵まれたのだな~という感慨も抱くようになり、
とりわけイヴリー・ギトリスのことが気になってきました。
すると現役最高齢である、このヴァイオリン弾きのこんな映像を発見。。。
「CONCERT FOR IVRY Gitlis -」
https://www.youtube.com/watch?v=rdffxjGr_5Y
(ギトリスの演奏は44分ごろから)
なんと申しますか。。。「うたごころ」なるものが
ただそれだけで存在しているかのような演奏で
ブニアティシヴィリの伴奏もホント見事!
(やはり単なるお色気だけではないのだな~、と感心いたしました。。。)
脱線してしまいました。。。
でも、この「アラベラ」という名を戴いたヴァイオリン弾きによる
リヒャルト・シュトラウス作品集は
ギトリス流の「うたごころ」の遺伝子を
実にすこやかに継承しているような気がして
なんだかそれだけで妙にうれしいし、
こういうヴァイオリンをもっと聞きたいな~などと思った私でした。
余談ですが、ファイルウェブへの日記の投稿が100本目になりました。
このところ音楽のレビューばかりでなんなのですが
機器の変更はあんまりなくなってきたので
いくつか懸案になっているセッティングの課題に
そろそろ取り掛かっていけたらな~なんて思っています。
みなさま、どうかこれからもおつきあいのほど
よろしくお願いいたします。
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