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Dirac ART 実践レポート:KEFルームが“壁のない空間”になった日

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■ 測定と第一印象

KEFルームにDirac ARTを導入してみた。
従来のDirac Live Bass Control(BC)と比較して、周波数特性上ではわずかな変化しか見られなかった。

比較グラフ。大きな差は無いが、ARTの方がより平坦になっている
(ARTの20Hz以下が落ちているのは、20Hz以下を再生するオプションにチェックをし忘れたため。)


それでもスペクトラム表示を確認すると、低音エネルギーの収束が明らかに短くなっている。
数値以上に「空間の静けさ」がまるで違う。

Bass Control

ART(低域のエネルギーが下に傾き、収束も早くなっている)

再生して最初の一瞬でわかる。
低音が壁にぶつからず、空気中に溶けていく。
まるで部屋の境界が消えたかのような開放感。
それでいて中高音は今まで通り自然に響き、
音全体が軽くなったわけでも、細くなったわけでもない。


■ 体感の変化

これまでBCで長い時間をかけてチューニングしてきた音を、
ARTはほとんどデフォルト設定のままであっさり上回った。
驚くべきは、100〜200Hzの定在波のディップが完全に消えたこと。
低域専用の補正かと思いきや、実際には中低域にも効果が及んでいる。
結果としてボーカルに芯が通り、音像の立ち上がりが鋭くなった。


■ 聴感の違い:静かに“音圧が増える”

Bass Controlでは、定在波を埋めるためにブーストが強くなり、
そのぶんヘッドルームが減る感覚があった。
音量を上げていくと、やがて“うるささ”が顔を出す。

ARTではその感覚が完全に消えた。
これまでうるさいと感じていたボリューム位置からさらに6dB上げても不快感がない。
むしろ音が締まり、力強さが増す。
部屋が音に押されるのではなく、音が部屋の中で整然と息づいているようだった。

Bass Control歪み(ディップをブーストするため歪みが増える)

ART歪み(歪みをあまり増やさず100~200のディップも埋まっているのに注目)


■ まとめ

Dirac ARTは、単に「低域を整えるツール」ではなかった。
実際に導入してみると、部屋全体のエネルギーの流れを再設計していることがわかる。
周波数特性のグラフでは表しきれない変化――
それが“壁が消えたような低音”と“芯のあるボーカル”だった。

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