今日はちょっと拙宅にあるスピーカー、DALI君を
測定台に載せてみました。測定にはDayton Audio製の
Omnimic V2を用います。説明書はA4の用紙が1枚という寂しさ
ですがシンプルで分かり易いです。
Yahooブログ時代、今を遡ること2016年に
JBL 4344 を測定したことがあったので紹介してみます。
横軸が時間軸になっていて、縦軸が周波数です。
図を拡大すると分かりますが各ユニットの中でミッドハイだけが
遅れて発声していることが分かるかと思います。
約0.8ミリ秒の遅れです。
[:image1:]
次に、DALI君の測定です。
JBL 4344と違ってタイムアライメントが優秀な事が分かります。
ホーンじゃないからこの程度は当然といえば当然かなんですけどね。
[:image2:]
拡大
[:image6:]インパルス波形が上へ下へと振れていますが、12dB/octネットワークの2Wayでは、クロスポイントの位相が180°差になるために、ウーファーかツィーターかどちらかのユニットのプラスマイナス結線を逆にするのがセオリーです。そうしないとクロスポイントで双方のユニットの音が相殺されて周波数特性にディップ、窪みを生じるからです。凹←こんな感じに。
片方のユニットからみてもう片方のユニットは逆相なので、インパルス波形は上にも下にも行くのが正常です。見た目はインパルス波形の理想とまったく違って気持ち悪いですが、この方が音の繋がりが良いのは明らかです。
(上記説明ではツィーターのキックバックのような現象は無視しています)
インパルスから、話をwaveleに戻しますと、waveletの波形、
理論的にはこういう形が理想形となります(これに近いほど優秀です)
[:image3:]
DALI君のタイムアライメントの優秀さに目が行って
JBL 4344 の悪さが目立ちますが音を聴いている分には
テレビの試聴に違和感なくフルレンジみたいな音が出ています。
何故でしょう?
~推測~ ここから
突然ですが、ミッドハイが遅れるのはホーンだからです。
[:image4:]
JBL 2307ホーンのホーンロード長をテキトーに20cmと仮定。
これに装着するドライバーユニットのダイアフラムはもっと後ろに
位置することになりますから・・・適当にバッフル面より24cm後ろに
ダイアフラムが存在する事にしましょう。
★24cm★
先の測定結果をみると、ミッドハイだけ約0.8ms遅れてました。
空気20℃における音速を343m/sとして計算すると、
その距離は27.4cmとなります。
☆27.4cm☆
ここで・・・更に唐突ですが、
ミッドバスとミッドハイのクロスオーバー周波数に着目します。
■1.3kHz■です。
音速343m/sとして計算すると1.3kHzの1周期の波長は
◎26.4cm◎です。
——————————————
☆物理的位置、24cm ※適当ですが
★マイク測定、27.4cm
◎1.3kHzの波長26.4cm
——————————————-
☆と★が合致するのはある意味当たり前。
注目すべきは★と◎がほとんど合致しているという事です。
タイムアライメント的には0.8msのズレがあるものの
周期がちょうど1波長分なので位相はズレません。
上手にクロスオーバーしそうです。
↓0.8ms後にユニット間の位相(上下)がピッタリ合う
[:image5:]1波長(周回遅れ)でピッタリと合うための26cmだったのかな?
ホーンだから物理的な距離の関係でタイムアライメントを合わせる事はできないけれど、それならと? 1波長(周回遅れ)のタイミングから ピッタリ合うように JBLはスロート長 やら クロス周波数を 設計したのではないか???
ピアノとか弦楽器は言わば連続した震えなので、最初の0.8ms経過後には位相がぴったり合ってヒトは違和感を感じないのかな?。インパルス信号で反応見たら波形は綺麗じゃないかもしれないけれど、人はそこじゃなくて旋律を聴くののだから。音の終わり、最後の0.8msにもズレは生じますが、お尻は演奏会場の残響音だったりスピーカーのあるお部屋の残響だったりでグダグダになるので気にする必要は無いかな?
~推測~ ここまで
※この日記の 「位相合わせ」 とはミッドハイのクロスオーバー周波数
1.3kHzに於けるクロス具合いを表現しています。
(位相回転を逆補正しようとかいうものではありません。)
現在のテクノロジーでは複数のユニットの時間軸を合わせる事は
カーオーディオの世界では当たり前に実施されています。
測定してみると一見驚くほど悪い JBL 4344 ではあったのですが
「仕組まれた0.8ms」と「ホーン長」と「1.3kHzクロス」だった
ことが覗えます。点と点が線で繋がったようで気持ちがいいです。
繰り返しになりますが、
弦楽やピアノがそうであるように「振動」であり連続音ですから
音の始まり・終わりのタイアムアライメントよりも
発声中の位相の方が人間は敏感に感じ取るのかもしれません。
そういえばAccuphaseの社名の由来もAccurate(正確な)Phase(位相)から作った造語でした。
ホーンが長くてタイムアライメント合わせられない場合は「1周遅れの位相合わせ」で対処。
コンピューターと呼べるものが無かったであろう40年前に
そういう設計がされていたのがなかなか驚きです。
追記:
JBL 4344 もいい加減古いスピーカーなので健康診断は欠かせません。
↓の写真はミッドハイの歪み率を測定しています。
[:image7:]
[:image8:]
このときは音に違和感を感じたので測定しました。
結果、左chのミッドハイの歪み率悪化が見られました。
幸い、分解・組立で歪み率は改善しました。そろそろ裏蓋に
貼り付いているウレタン?が崩壊寸前ですが・・・今は放置です。
2020/03/21画像追加:
CENYAさん向け Wavelet ~100ms
[:image9:]
2020/05/24画像追加:
Yuhoさん向け ASSIさんWaveletもどき解析結果
[:image10:]
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