最初に案内されたのはフルレンジ・バックロード・ホーンのユニコーンが設置された6畳強の和室です。この部屋ではSONYのCDPから送り出し、パワーアンプは広い実験室と同じ特注の真空管アンプとのことです。
若干の説明を受けてから最初に聴かせてもらったのはクラシックのオーケストラ曲だったと思います。ファーストインプレッションは、「想像していたサウンドと違う」でした。前回の日記にも書きましたが、どんなサウンドが鳴るかを想像しての訪問でしたので、おや・・・という感覚でした。きっと和室でもユニコーンが奏でるサウンドは、この試聴距離に比して遠目に大きく広がる音を想像していたからです。それが予想に反して前に出てくるサウンドです。前に来るので力感たっぷりです。そしてDDDシングルコーンから出ているとは思えないような低域でした。広い実験室ではホールで聴くようなサウンドを構築されたので、和室では別のサウンドを構築されたそうです。その状態で何曲か聴かせてもらいましたが、私の様子を見てかGRFさんから「横から聴く方が好きだと言われる人もいるんですよ。」と左スピーカーの対面のやや外側に設置された椅子に促されました。
席を移動してにっこりでした。コンサートでステージ近くに座るのが好きな自分好みな、明瞭で見晴らしのよい情景が現れたからです。左に寄った分、左から聞えてくる音は大きくなりますが、オーケストラの配置は変わりません。小編成な曲でも、この部屋で聴く時はこのポジションが好みと思いこの位置で聴かせてもらっていました。
しばらく左側のポジションで聴いていると、ジャンルが変わりジャズやボーカル系に移ります。すると最初に聴かせてもらった音が前に出てエネルギッシュな音が恋しくなりました。ポジションをセンターに移します。すると、席を移してにっこりでした。自分好みの前に出てエネルギッシュなサウンドです。その中でもパトリシア・バーバーのスタンダード・ジャズ・ボーカルのアルバムが気に入りました。
目の前にすくっと立ち、伴奏をしたがえ歌う様子の生々しさに笑みがこぼれます。このDiscは自宅でも聴いてみたくなり、帰宅後すぐに注文してしまいました。翌日届いて楽しみに聞いてみるとDisc不良です。だから返品交換に出しましたが、注文するときは翌日届くのですが、返品交換の場合は1か月以上かかるってどうなんだろう?と思ってしまいました。
話がそれてしまいましたが試聴は続きました。和室のユニコーン部屋でのクライマックスは歌謡曲でした。
布施明、ちあきなおみ…往年の歌手の歌声の熱気に仰け反ります。これまでに比べて音量も大きく目の前に迫ってくる感覚でした。まるでナイトクラブにいるような感覚です。
和室でのDDDシステムの試聴では再生時の音像配置が印象的でした。部屋の中に出来る音像・音場は一定ですが、聴くポジションにより聞こえ方が変わります。自分好みでは、クラシックは見通しの良い左後方で聴くポジションが気に入り、ボーカルやジャズでは音が前に出てエネルギッシュなセンターで聴くポジションが気に入りました。
この体験から、自宅の音像配置も少し見直したくなりました。ボーカルやジャズは今の配置のままで、クラシックを聴く時はもう少し遠目に配置するのが好みに合いそうだと思いました。ですが自宅で聴く時は、どのジャンルを聴く時もセンターに配したリスニングチェアで聴きたくなります。果たして音楽のジャンル別に、音像や音場をコントロールすることが出来るのかと考えながら和室での試聴を終えました。
(2017.11.8 GRF邸訪問)
自宅課題1:ボーカルやジャズの音像配置は今のままで、クラシックを聴く時の音像配置を少し遠目に配置するように調整すること。
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至極の快楽を楽しまれたのですね。
そして思う所多く、色々と模索する楽しさは止められません(笑)
夢見た相手が、至高のルーム環境であれ、機器であれ…
求める世界は夢見止まない訳ですね。
バズケロも様々なお宅で聴かせていただく度に、モヤモヤと(^^)
今回の日記でもお話しに成りました様に、ジャズの再生とクラシックの再生というものの大きな違いは厳然として有ると思います。
大きな空間を駆使された再生であれ、我々の様なニアフィールドであれ、これは大きく立ちはだかっている。
JBL部屋では平行法は何度も試していますが、やはりバズケロには合わない。
特にジャズでは…求める世界は…遠くへ行ってしまいます。
クロス法は迫り来るエネルギーの凝集が際立ち、平行法では得られない力感があり、平行法では広々とした音場展開が得られますが、クロス法程のエネルギーの凝集はムツカシイ。
特に音源によってそれぞれの優位性が大きく揺らぐ事が決定的な違いとして突きつけられますね。
JBL部屋の聴き方ですとエネルギーの奔流の中へグイグイと入りますからクロス法が適していて、ハーベス部屋の聴き方ですと距離感と溶け込む感じから平行法が適しているという感じです。
双方の方式でそれぞれが出来ないという訳ではないのでしょうけれどね…難易度が…(汗)
いずれにせよ、最後の最後は部屋とSPの位置関係に尽きると思います。
はて、さて、このさきどうなる事やら、お互いに楽しみですし、おおいに楽しみましょう!
では、では
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バズケロさん、レスありがとうございます。
本当にオーディオは楽しいですね。素晴らしく追い込んだお宅で聴かせてもらい、課題が頭の中に浮かぶ。そして思索を巡らせて試してみる。簡単には思うようにはいきませんが、この時ほどオーディオしているなぁと実感することはありません。アイデアが浮かぶとすぐにでも試したくなって、居ても立ってもいられなくなる。血沸き肉踊る感覚でしょうか(笑)
>いずれにせよ、最後の最後は部屋とSPの位置関係に尽きると思います。
同感です。これほどにサウンド支配することは他にないですね。たった1mm、されど1mm。ただ、この感動を味わえる人はそう多くはないのでしょうね。追い込んだ先に生まれる現象ですから。
来る自慢大会に向けて、こちらも張り切っています。お互いに精進し、楽しみ抜いた末に自慢しあいましょう!
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素敵な体験をされているようですね。
音像が 前に 創造される時の 奥行き感は どんな感じなのですか? 立体的に感じるときは 大抵 少し奥に定位させたほうが 奥行きは 感じられると思うのですが、
先日 会津坂下 と 白河に 遠征オフ会を させていただいたのですが いましたよ。 お仲間が DREN マグシュームのインシュレータ ウェルフロート サンシャインの 鉄板ボード これらを 駆使して 楽しいジャズを構築されていました。
工夫と実行 あるのみ。
最後は スピーカーの位置?? ですか ?
あんな 思いもの もう 動かしたくないですね。
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X1おやじさん、レスありがとうございます。
本当に触発され、考えさせられる素敵な体験でした。X1おやじさんにも是非聴いてもらいたいサウンドの数々でした。
>立体的に感じるときは 大抵 少し奥に定位させたほうが 奥行きは 感じられると思うのですが
奥行き感の表現を使う場合、大きく二つの使われ方があるようです。ひとつは、音像がリスニングポイントから遠めに音像が出来ることを奥行き感と言う人。もうひとつは、一番前の楽器と一番後ろの楽器の奥行き方向の距離の深さを言う人。自分らは、後者の一番前の楽器と後ろの楽器の距離の深さに奥行き感という言葉を使っています。ですから、この場合は音像位置がリスニングポイントに近いか遠いか表現としています。
自分の今のところの追い込み作業は、スピーカー位置の微調整と音響パネルの角度の微調整は終えて、天井に設置した木片の位置調整をしているところです。音の要素は様々あるので、限られた制約条件のもとでそれらを好みにバランスさせてゆく作業は、精緻で気が遠くなるような細かい作業です。人が見たら気が違っているとしか思えないような内容なのですが、これも自己満足、アホの極みです(笑)
>スピーカーの位置?? ですか ?あんな 重いもの もう 動かしたくないですね。
よくわかります。重いのを動かすのはいやですよね。ですが、一度追い込んでしまえば、後は1mmくらいの範囲での移動になるので、どれだけ少し動かすかの技が求められます。そこにも工夫があるので今度ご紹介しますね。
大技のX1おやじに、小技のヒジです。それでも、工夫と実行あるのみなのは同じですね。
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またGRFさん邸に行かれて、いろんなものを得られたんですね。
おっしゃる様に全てのジャンルで違和感のない再生は難しいですよね。それが実現できていれば、上がりに近いのではないでしょうか。
バズケロさんとも一致されていますが、私も「部屋のどこに、どのようにSPを設置するか」がサウンドに与える影響は極めて大きいと思います。
そんなわずかな事にこだわるのは、一般的には理解されにくいでしょうが・・・この趣味はなかなか楽しいですね(笑)
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KYLINさん、レスありがとうございます。
以前のGRF邸とは、システムもサウンドも大変身でした。無指向性を使った空間表現豊かで音像定位がどの位置から聞いても動かない安定したサウンドです。そしてエネルギー感もありました。
このサウンドは、ダイレクトラジエター式を使うKILIN邸が無指向性のサウンドにも通ずるのと同様に、無指向性だけれどダイレクトラジエターの良さも兼ね備えています。相通ずる部分が大きいと思います。
機会を作って、是非GRF邸の新生サウンドを聴きに行ってみてください。スピーカー位置と微調整が大事と、ずっと発信されてきたGRFさんのお宅ですから、流儀は違えど勉強になると思います。
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ヒジヤンさん 了解しました。 音場が 出来る位置が違うということです。
ぜひ お許しがいただけるのならば 体験したいですね。
ヒジヤンさんが 満足するほどのエネルギーを 30Wの真空管アンプで 出されているのですから 興味津々ですね。
スピーカーは以前に 1MM単位で 調整は してあるのですが
現在の 新新型 砂箱になってから ほとんど不満を感じない状態に なってますので しばし この状態を 楽しんで 冬を越してから再始動したいと 考えております。
現在は ヒジヤンさんも 多分 満足されるであろう エネルギーが X1から でているはずです。
もちろん ここに 留まる事はありません。 これからも よろしく。
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X1おやじさん、これからもよろしくです。
GRF邸に伺ったときに、X1おやじさんの話題にもなりました。是非紹介して欲しいと言われていました。スキーシーズンに突入する前に訪問されるのがよろしいかと。GRFさんはとてもフットワークの良い方ですので、折り返しで新潟にもお呼び出来ますよ。
スケールの大きなサウンドを鳴らす両巨頭の交流も楽しみです。クラシックの生演奏を聴くときのサウンドの好みも合うのではないかと思います。
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ヒジヤンさん 遅レス失礼いたします
ヒジヤンさんにとっては久しぶりの訪問ということでGRFさんのセットアップも大幅に変わっているということですね。
特にメインシステムにもDDDユニットが導入されたので印象は大きく異なってしまったのだと思います。DDDユニットは無指向性というより全方向性というべきユニットだと思います。言い方だけで何が違うんだと突っ込まれそうですが(笑)、拡散させて正面音圧を四方に回しているのではなく、全方向に対する音圧がとても強大です。ですから正面だけで測ると能率は高くないように見えますが、部屋の空気全体をドライブしているエネルギーはすさまじく実は大変な高能率スピーカーだと言えます。また後背面の壁をうまく利用するとエネルギー感が部屋に横溢して素晴らしいですね。
反面、広い部屋では壁が遠いのでなかなかエネルギー感が得られにくくスピーカー位置のセッティングが難しく、特に低域ユニットとのつながりが難しくなるようです。それをツインユニットのトレバドールと前後のダブルウーファーで克服しているというのがメインシステムなのだと思います。広い部屋なので奥行きのある立体音場重視にされているのはフロア置きT4とポリシーは同じです。エネルギー感(音量感)とボトムエンドに向けての帯域の広さ、立体感は飛躍的に増大しました。
和室の方は、その反面で、立体音場より前へ出る音像感を強調する方向へシフトされたのでしょうか。以前の私の印象とちょっと違うようですね。
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ベルウッドさん、ようやく御大のおでましですね。
GRFさんの所は6年ぶりでしたが、私から見るとシステムもサウンドも大変身と感じました。
>無指向性というより全方向性というべきユニットだと思います。
なるほど、言い得て妙ですね。逆さコーンユニットの裏側から全方向に発音するメカニズムからすれば、その表現の方が明解だと思います。床壁天井と友だちにならないといけないという面からは、方式は違えど拙宅の音作りと相通ずる部分があったのかも知れません。それゆえにてか、妙に反応してしまって課題満載です(笑)
和室の方は、実験室と異なる音作りをするために最近になって、敢て別のサウンドを指向されたのだそうです。どんな機器を使っても同じ音に仕立ててしまいがちなオーディオ・マニアですが、これだけ違うサウンドに仕立てられたのもすごいなと思って聴かせてもらっていました。
それにしてもベルウッドさんはGRF邸のシステムやサウンドに精通されていますね。まるで、オーナーから解説されているようです。
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