今週は小編成曲ばかり聴いています。理由は、先週行った出川式電源の出川さんの工房で聴いたCDの音がとてもよかったからです。
高繊細と表現すればいいのか、弦楽器の弦が振動して鳴る音と弓と弦が擦れる音が適度に分離して聞えて来て、生々しくもあり、心地よくもありました。それでいて適度な距離感を保ちながら、立体的に聞えて来たのです。ある意味、実演を聴くよりも高繊細な音でした。
出川工房では、電源周りはオール出川式電源なのは当然ですが、特徴的なのは励磁型スピーカー(電磁石式スピーカー)だと思います。以前に同一スピーカーで、永久磁石式と電磁石式の音の違いを聴かせてもらったことがありますが、電磁石式は細かな音にも反応よく、実の詰まった澄んだ音となる印象でした。
この魅力的な再生は、ソフトの良さとハードの良さの相乗効果と感じましたが、フルレンジの電磁石式スピーカーだからこそ聴けたものなのか、自宅ではどのように聴けるのかを確かめたくなったのです。このソフトを持ち込まれたベルウッドさんに確認したところ、Praga DigitalsレーベルのCDだが、なぜこの音源を購入したのかは覚えていないと言われていました。
1)シューベルト:ピアノ三重奏曲/グァルネリ・トリオ 2003年録音盤
すぐにでも入手したくて、聴いたその場で通販を調べてみると値段が高かったので、その場は躊躇しました。帰宅してから調べ直してみると、中古のSACD盤が安く出ていたので早速注文です。自宅で聴く感覚は、出川さんの工房で聴いた時ほどのインパクトはなかったものの、十分な高繊細さで満足でした。これほどの音で聴ける音源なら、初めて聴く曲でも音に浸るだけで楽しめると思います。目の前で演奏するような心地よさで幸せな気分になれるのです。
「PragaDigitalsレーベル」はこれまでにも名前は耳にはしていましたが音の良さに惹かれて急速に興味が高まりました。そこで、インターネットを調べてみたところ下記とあります。
・1991年にフランスの音楽学者と音楽出版社が共同出資で設立したフランスの高音質レーベル
・当初はロシアの音楽家がチェコを訪れた際にプラハ放送局が録音した音源を中心に発売していた
・2000年以降は主にチェコの奏者たちを起用した室内楽の新録音を中心に制作してきた
きな臭い話としては下記の話題もありました
・DGのムラビンスキーの音源を板起こししたものを、ピッチを1.02倍して別音源として販売するなどの詐欺的な音源もあるらしい
確認してみると、手持ちのDiscの中にも、Praga DigitalsレーベルのDiscが何枚かありました。未開封のままラックに入っていたものもあり、改めて聴き直してみると小編成の弦楽は、演奏も録音もいいものばかりです。初めて聴く曲でも音楽の中にいるだけで幸せな気分になれました。その中で特に気に入ったDiscは下記のものです。追加で注文もしてしまいました。宝の山です。
シューベルトString Quartets
小編成の室内楽に優れた録音がある「Praga Digitalsレーベル」ですが、創設者が2018年に死去後は新譜制作を停止しており、基本的に在庫終了で活動停止するとのことです。各所でセール販売をやっているので在庫も減ってきている模様でした。今後は手に入りにくくなることが予測されますので、興味がありましたら早めに入手しておくことをお勧めしたいレーベルです。
番外編:アースの話(私見)
アースループ、アースループと腫れ物に触れるように言われている方を散見しますが、これは絶対悪なのでしょうか?
逆説的に言えば、このアースループを恐れるがあまりに今のオーディオで実施されている1点アース(実はただの直列アース)が最良なのでしょうか?
私には、はなはだ疑問です。そのように考える理由を書いてみます。
[:image5:]オーディオ機器の1機種だけから大地アースに接続することを考えた場合、下記のデメリットが考えられます。
1、他の機器(特にデジタル機器)が内部で発生させたノイズ成分を、機器間のアースラインを連結をすることで、ノイズを他の機器に回しこんでしまうこと
2、大地アースに接続している機器よりも、他の機器の電位が低い場合には、低い機器から大地アースには落ちない。加えて、電位の高い機器からアースラインを通じて低い機器に流れ込んでしまう。言い換えると、大地アースの機能が働かない場合があるということ
一方で、多点アースを実施した場合はアースループの可能性のデメリットが考えられます。(回路的に繋がった時にアースラインの中をループする可能性があるが、やってみなければわからいない現象)
3、電位が高い機器からアースラインに流れた電気が電位の低い機器に流れ込み、その影響で電位が上がると、電位が高かったはずの機器に戻りループする現象
(ただし、1点アース(実は直列アース)でも、2の場合に同じ現象は起こるが、アース出戻り現象なので悪影響は小さいと想定する)
4、アースラインで囲んだ領域に電磁波が通るとノイズを拾うと言われている。影響の大きさは不明。
上記から、1点アース(実は直列アース)と多点アースには双方にデメリットがあり、どちらが効果的かはやってみないとわからないと言うことになります。ただし、比較が大掛かりとなるので、気遣いなく実施するなら1点アース(実は直列アース)がよいように思えるのですが、これはアナログ時代の遺産ではないかと考えています。
現在では、デジタル機器が増え機器内のノイズが増えているため、機器間にノイズを回し込んでしまう悪影響が大きいと想定します。現在のオーディオでやられている1点アース(実は直列アース)はデジタルノイズの回り込みにより、音質的にアナログ時代と比較してかなり不利となっていると推測できます。
アースループの弊害の中で、発信や音のなまりはNGだと思います。でも、このような現象が発生した場合は接続の見直しを図って対処が可能です。耳に聞こえないような影響よりは、デジタルノイズ等をアナログ機器に流し込むことによる音質悪化の方が大きいはずなので、聞えないような影響は無視してよいと考えています。(耳に聞こえない影響と耳に聞こえる影響の違いです)
ですから、オーディオ機器と大地間のアースをどのように繋ごうが、考えられる弊害要素は沢山あると教科書には書かれていますので、諸々の影響を総合した結果である音で判断することが大事だと考えています。
現在のオーディオ事情を踏まえて考えると、真の1点アース=機器毎にアースを取り、1点のアースに流し込む方法が良策と考えます。まずはここからスタートして、問題や更なる向上策があれば改良を進めるのがよいのと思うのです。
以前の日記にも貼りましたが勉強用のリンクです。
①村田製作所ノイズ対策基礎講座
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アースループの弊害を否定するつもりはないのですが、時代の進展とともにデジタルノイズのアナログ回路への回り込みの影響が大きくなっているのではという問題提起です。事実、電子機器回路の世界では、直列アースの否定と真の1点アースから多点アースの推奨に進展しているようです。
また拙宅のアースについてのアドヴァイスいただきありがとうございます。まだ試せていないのは、アンプの電源ラインの3Pinアースの是非のみです。試せていない理由は、簡単な分解工事をしなくてはならないことと、今のサウンドがまとまっているのでバランスを崩したくなくて腰が上がらないからです。
試してみようと思う理由は、アースループの懸念ではなく、電源ラインの汚いアースをシャシグラウンドから分離した方がいいのではないかという仮説からです。
同じ理由から、ベルウッド邸のプリアンプからの1点アース(実は直列アース)では、下記を試してみてはどうかと思います。
①PC系統のデジタル部分のアースラインとアナログ部分のアースラインの分離(デジアナ分離)
②アナログ系統では、機器毎にアースを取る1点アース化
真の1点アース化の話は、別に新展開でも何でもなく、島本さんにアース工事をしてもらった時に教えてもらったことです。
「まずは機器毎にアースをつないでください」
「もし発信などするようなことがあったら、出来るだけ真ん中の機器のアースをつなげてください」
アース工事をこれまで多数こなしてきた出水電器の経験値からのアドヴァイスにしたがい設置したところ具合がよく、アースループの弊害もなかったです。
その後に、独自に多点でアースを取ったらどうなるかの実験を進めたところ、更なる音質向上が図れました。アースループが起きた時もありますが、接続を変えれば対処が可能でした。上手くつなげば多点の方が音はいいのです。
これまでに試してきたノウハウを生かして、金属たわしアースの採用で全面的にアースラインの見直しを図りました。一つ一つ付けたり外したり確認していくと、以前とは全面的にラインが変わりました。これはアースループの影響ではなく、すべてのアースラインに金属たわしを介して大地アースにつなげることが効果的だったのです。おかげさまで、今は絶好調なサウンドに浸っています。
以上から、自分の経験値ではアースループの心配を前提にアースを考えるよりは、音質重視でアースを考えた方がよいというのが結論です。
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