もう何年ぶりになるのか、久しぶりに聴いてみたくなってラックの中にしまい込んでいたDiscを聴いた。最近オーディオで聴くのは、クラシックかボーカルものばかりでジャズを聴くことはなくなっていた。理由は、クラシックを狙いに追い込んでいったらジャズが思うように鳴らなくなっていたからだと思う。以前はジャズ向けのセッティングとクラシック向けのセッティングと称して、スピーカーの位置を動かしていたのだが、だんだんと面倒になってクラシック向けと称する位置に固定していた。
そんな中でジャズを聴いてみようと思ったのは、以前に録音が悪いと思っていたクラシックの音源が見違えるようになったからだ。もしかして・・・と思って、ゲッツ/ジルベルト“イパネマの娘” を取り出した。
このDiscは古い録音だが以前からいい感じに鳴っていたので、試しに聴いてみるのにちょうどよいと思って選んだ。期待せずに鳴らしてみるとビックリだった。以前の印象をはるかに超える生々しさで、耳障りな音も出ない。もともとジャズ好きではなかったので1枚を通しで聴いたことはないと記憶しているが、このままずっと聴いていたい気分になりアルバムを通しで聴いてしまった。
こうなると期待が高まってくる。他のお宅で聴いて感銘を受け、自宅でも聴いてみたくなり購入したジャズのDiscを手当たり次第に聴いてみた。当時は自宅ではもう一つだと思いラックにしまい込んでいたアルバムたちだ。
マイルス・デイビス“カインド オブ ブルー”
ミハエル・ナウラ・クインテット”ヨーロピアン・ジャズ・サウンド
それがどうだろう、どのDiscからも思いもよらぬような生々しい熱気が伝わってくるではないか。部屋中に広がるサウンドにスイングしてジャズ好きになりそうだった。
古い録音のジャズがよく鳴るようになっていたので、新しい録音も確認してみた。新譜で発売になった時に購入したが、音量を上げるとうるさく感じて1曲目しか聴かなかった覚えのある苦手音源だ。この時以来、ジャズの新譜は購入していないはずなので、15年ぶりかもしれない。
ダスコ・ゴイコビッチ” サンバ・ド・マー”
期待を込めて再生ボタンを押すと、ドラムとベースに続き煌びやかなトランペットが部屋に充満した。ボサノバのリズムにのってノリノリだ。耳障りな音も感じない。何だかうれしくなって、アルバムを2回も通して聴いてしまった。
なぜこれほどまでに変わったのか?ジャズは長らく聴いていなかったので諸々の影響があるとは思うが、仮想アースの影響が大きいのは間違えないだろう。いろいろな音源で聴き込みを進める中で、再生システムに足りないものを補う方向に作用するようなマジックを感じる。音像や音場の配置も、オーケストラはやや後ろ目に位置して、さらに後方にも大きな広がりを見せるが、ボーカルやジャズでは音が前に出てくる。全体的に力強さが増して、音も濃くなっているが、これまで耳障りに感じていた音も滑らかになっている。
これまで感じていた、クラシックがいい、ジャズがいいなどの得手不得手は脱してしまったように感じる。仮想アースの効果については贔屓目に評価している面があるかもしれないし、何がそうさせるのかもわかっていないが、どんなジャンルの音楽も楽しく聴けるようになったのは間違えない。不思議だ。
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