先日、初めて東京カテドラルのパイプオルガンを聴く機会がありました。この教会は丹下健三作品であることに加えて素晴らしいオルガン音響が堪能できる、とのうわさは、もう何十年も前から(笑)聞いていたのですが、 灯台下暗しといいますが、東京に長く住んでいてもなかなかいく機会が無かったのです。ところがこのコミュニティに入れていただいたお陰で、このコンサートをご紹介いただく機会があり(ミネルヴァさんでしたっけ?)、「この機会を逃したら一生行けないカモ=笑」と重い腰を上げて(場所が少々不便なのです)行って参りました。
私は、Auro3Dを名乗っていることから、元々こういう教会音楽が好きなんだろうと思われているかもしれませんが、まあ、確かに外国に行くと教会に行くのは大好きで、日曜日であれば信者でもないのに(汗)午前中のミサに紛れ込んで、オルガンの音を聴いてはいました(NYのセント・パトリック大聖堂、ロンドンのイングランド国教会大聖堂、バチカンのサン・ピエトロ寺院、パリのノートルダム大聖堂、エルサレムのキリスト生誕教会など)。ただ、日本のコンサートホールに設置してあるオルガンを渉猟するほどの趣味はなく、これまで聴いたことのあるホールのオルガンは、かつてはサントリー、新国立程度、最近では芸術劇場ぐらいと、数えるほどしかありませんでした。
しかし、Auro3Dというフォーマットにほれ込んで、そのNativeソフトを探して聴き始めると、教会録音のものが多く(特に2Lレーベル)、知らず知らずのうちに、教会音楽好きに(笑)。
ということで、先日の芸術劇場に続き、名にし負う東京カテドラルに行ってきたわけですが、当然、それまでとは聴くポイントが違っていまして、拙宅の3Dオーディオ(特にAuro3D)と比して、「本物」はどう聴こえるのか、に興味があるわけです。
まず、Auro3D体験後に聴いた二つのオルガンの音、つまり芸術劇場と東京カテドラルは大きく異なっておりました。前者は、Auro3Dによるオルガン再生に慣れている私の耳には、少々「物足りない」(笑)感じがしました。低音の出方も、レゾナンスも。「国内最大級のオルガン」と聞いていたので、正直、若干がっかりしたのを覚えています。
ところが今回お邪魔した東京カテドラルの音は、低音もこちらの期待通りの音域と音量(笑)。さらに、まるで「やまびこ」のような、残響音というよりはほとんど「二重奏」のような音の遅れがありました。これは、素人ながら恐らく構造の違いにあるのかもしれないと思い、写真を撮ってきました(教会の方に、「ここは神聖な場所なので・・・」と撮影を控えるように言われてしまいましたが・・・)。
コンサートホールである、芸術劇場は、大きなホールではあるものの天井の形状は一般的なものであるのに対し、東京カテドラルは、教会ですから、尖塔というか上に行くほど狭くなっていて、高さは芸術劇場よりかなり高いものです。
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また、東京カテドラルは、実は祭壇側の方にオルガンが無く、後ろに設置されています。座席は前向きになっているため、オーディエンスは後ろからの音が前の壁で反響する音をメインに聴くことになります。私は周りの顰蹙を買うかもしれないとは思いましたが(汗)、体をひねって後ろ向きでオルガンと正対して聴いたのですが、この向きだとオルガンからの直接音と、それが後ろの壁に反響して自分の耳に届く時間差がとても長いのが分かりました(これから行かれる方は、顰蹙を覚悟でオルガンと正対して聴くことをお勧めします=笑)。
「この音場は、絶対に2chでは出せないな」と心底思いました。だって、前から音が聴こえた2秒後ぐらいに後ろからその音が跳ね返ってくるのです。これを前からだけのSPで再現できるはずがありません。
「これはまさに、3Dオーディオの独壇場だな」と。私にもあったかつての2ch時代は、オルガン曲はほとんど聴きませんでした。やはり欧米の教会の音に比べると、完全に「ウソっぽかった」からです。高さ感がなく、残響音が前からしか聴こえてこないのでリアリティがない(教会の中では、オルガンは前後左右の壁から音が反響してきます)。では、今のAuro3Dはどうかというと、これはこれで「かなり盛っている(笑)」のは間違いないです。「本物」のオルガン体験より、<感動>のツボをついてきます(笑)。これはミキシングで作り込んでいるのでしょう。もちろん、あの、建物全体が揺れているような感覚はいくらAuro3Dでも拙宅のレベルではまだ出せていませんから、「本物」のアドバンテージはもちろんあります。
「今後の拙宅のAuro3Dをどう発展させていくかの、いい目標が見つかったな」というのが、今回の最大の成果でした。
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