イントロダクション
donguri、Auro3D邸には2023年11月4日~5日以来、4回目の訪問となりました。前回と同様にX1おやじさんのお誘いにのって、お邪魔させていただくことになりました。
まずはホストのAuro3Dさん、いつも大変なお世話いただきありがとうございます。またX1おやじさんには今回もつたない助手席ナビ係ですみませんでした(前回大変だった細い道に入らないという最低限の目標だけはクリアできましたのが救いでした)。誘っていただきありがとうございました。K&Kさんには電気技術的な面でいろいろ教えたいただき勉強になりました。
5月10日の午前9時半ごろ、X1おやじさんが拙宅にいらっしゃり、2時間半ほどdonguri部屋の音を聴いてもらった後、伊豆のAuro3D邸へX1おやじさんのお車(運転)で向かいました。午後4時ちょっと過ぎにAuro3D邸着となりました。八ヶ岳から伊豆に移動するとまず感じるのが温度より湿度でした。
さてAuro3D邸のオーディオシステムのこの1年半の変化と言えば、2大ポイントとしては、スピーカーチャンデバ利用マルチアンプ化とネットワークオーディオ再生関連ハードのアップグレードということになるでしょうか。
Sonus Faber Sonnet VIIIのチャンデバ利用駆動
この1年でAruo3Dさんは、メーカーオリジナルのパッシブネットワークを外して、デジタルチャンネルデバイダー(ストームのプリアンプを利用)によって周波数帯域を分け、ウーファー、スコーカー、ツイーターを別々のパワーアンプで駆動するという大改革をなさっていたのでした。詳細はこのリンクとなります。
チャンデバ利用によって、本来のSonnet VIIIの音は一度リセットされたはずですが、その後の調整で結局はAuro3Dさんごのみの音に調整した結果を今回聴かせてもらったものと理解しております。
1年半前の音の印象との対比、評価が正しくできる自信はなく印象としか言えないかもしれませんが、中・高音域は拙宅のB&W 805D3との音の傾向は異なり、柔らかく、シルクの肌さわりの音が気持ちいです。以前の音にくらべてもスムーズ感アップとの印象をもちました。
Sonnet のもともの設計ではウーファー部とスコーカーの位相が逆相になっているところを正相で鳴らしたいということがチャンデバ化の1つの大きな目的ではあったと思いますが、めでたく修正した上でSonnetの美点をさらに追及した音になったかと思われました。
低音に関しては、donguriとしてはもう少し締まった感じがいいなあとおもって聴いておりました。Auro3Dさんのお部屋は基本かなりライブですので、Auro3Dさんの好みの低音がこれなんでしょうね。
音場については、横方向は、実際のコンサート会場の真ん中編で聴くようなオケの良い感じの広がり、さらに奥行き感も素晴らしく、donguriの10畳の部屋ではできていない表現であり、Auro3D邸の素晴らしさですね。donguri部屋でこのようにならせる日がくるのか?難しそうだなあと思って聴いておりました。
最近のネットワーク信号伝達系のアップグレードについて
Auro3Dさんは、今後ネットワーク経由で聴くストリーム再生が主流となることを見越し、ネットワークからLANにまつわるハードを集中的に強化なさっております。詳細はこちら。これは前回訪問時との比較にはなりませんが、とにかくディスクを再生しての音と同等以上にしたいということで、ダウンロード音源、ストリーミング音源ともRoonサーバー+Roonブリッジ経由の音を聴かせていただきましたが、ディスク再生との差はもうないんじゃないかとdonguriレベルでは思っておりました。
今回は、デジタルデータの転送にかかる、ハブ、LANケーブル、HDMIケーブルについてのオーディオグレード製品の利用、また機器へDC電源を供給するAC電源アダプター機器への配慮など、一般的な電気回路やデジタル技術では「違いが出るはずがない」と思われる部分の変更によって、「音が良くなったように感じるのはなぜか」という議論が結構盛り上がりましたね。デジタルオーディオも沼は深いと感じざるを得ません!
オーディオアクセサリの効果について
新しい薬剤の効果があるかどうかを科学的(統計学的)に判断するためには、二重盲検試験がゴールドスタンダードとなっていることに異論はないかと思います。これは、お薬ですよと言ってお砂糖をなめさせただけで、病気が実際に良くなる人がいる現象「偽薬(プラセーボ)効果」が厳然として存在するからですが、オーディオグレードといわれる高額な機器やケーブル等を導入した際に「音が変わった、良くなった」と感じられる効果の結構な部分はこれじゃないかとdonguriは推測しております。この効果がけしからんというつもりはないです。聴いてみて自分が良くなったと思えればそれでいいじゃないですか。実際、今回X1おやじさんが持ってこられた、数万円はするという太いAC電源ケーブルをストームのプリアンプに使ってみるというお試しを体験いたしましたが、donguri、正直低音の閉まりが良くなった気がいたしました。お金に余裕があるなら導入して悪いことは無いかと。ただ、AC電源ケーブルを代えたことによって、スピーカーから出てくる音波(物理現象)の変化として、しかも人間が感知できる範囲にある十分大きな変化をきっちり証明したデータを添付している商品はありますでしょうか?オーディアクセサリを代えた場合に通常の手に入る測定機を使って、測定値の変化として示すことはかなり困難であり、さらには人間の個体ごとの音の認知・識別機能にも大きな差「人によって音を聴いているポイントが違うよね」があることから、オーディオアクセサリの効果が「ある」とも「ない」とも科学的には結論をだすのは困難、というよりほぼ不可能だろうなと最近思っていると、放言させていただき、Auro3Dさん、X1おやじさん、K&Kさんから、どちらかというと同意的に捉えられていたかと思っております。
ART (Active Room Treatment)の効果について
「人によって音を聴いているポイントが違うよね」というのを再確認したというのが今回の合宿の成果?
このことについて、身をもって感じたのが、ARTの効果の有り無し試験でした、ARTをいれると低域がスッキリ・締まる効果が出るよねと、皆さんおっしゃったと思うし、donguriの以前聴かせていただいたときの印象もそうでしたが、今回なぜかdonguriはART OFFのときより ONの時のほうが、中低音が骨太で力強く聴こえる真逆のような効果として感じられたのでした。たぶん皆さんが聴いているポイントはdonguriが気になる周波数よりもっと低い所を聴かれているたんだと思います。自分の認知ポイントが以前とは変動したということもあるかもしれません。ということでdonguriの音に関する印象・評価など、客観的に通用するものでもないし、自分のなかでも時間軸で変化する実に頼りない物であるなあと感じ、途中で聴くのをやめてソファーに寝っ転がってしまったのでした。
今回の比較試聴からは、ARTがCinema 30 で使えるようになったら、donguriの部屋でもすぐ導入したいということにはならなかったです。
とりあえず今回の訪問記は以上です。
比較試聴した曲に関することは今後追記するかもしれません。

コメント ※編集/削除は管理者のみ
donguriさん、こんにちは
Auro3D邸の最新の音を聞いてこられましたか!私も一度聞きに行かねばとは思っているのですが、残念ながら、機会を得ることはできていません。ARTは前回の訪問の時に聞かせて頂きましたが、チャンデバ化後の音や「これでもかっ」と言えるほど徹底したデジタル系の高純度化の成果は私にとって未知の世界です。
オーディオアクセサリに関するdonguriさんのご意見にも同感です。物理的変化を記載したスペックシートを添付したオーディオアクセサリは聞いたことがありませんし、物理的変化を測定した記事はほぼ全て、差は無いという結論になっているのではと思います。しかし、人間の聴覚が検知している物理量そのものが良く分かっていないのかもしれませんし、効果についての議論は結論の無い議論に終始していると理解しています。本当は、プラセボを考慮したコントロールされたブラインドテストを行って欲しいものですが、オーディオメーカーにとっては諸刃の刃なので、絶対にしないのでしょう。
光HDMIケーブルについては、A/B切り替えテストができることに気付き、テストしてみました。記事にしていますので一度ご覧ください。
ARTについては、拙宅のAVアンプでもできるようになれば、是非試してみたいと思っています。ただ、かなり先のことになるような予感もしています、笑。
Tomyさん
コメントありがとうございます。
Auro3Dさんのアグレッシブな取り組みって
なかなか追いつけないですね。
光HDMIケーブルの検討について、
これから読まさせていただきます。
Donguriさん
早速にレポートいただき、ありがとうございます。
オフ会での感想をいただくというのは、K&Kさんのように節目節目で比較的頻回に来ていただいている方の意見とはまた違って、今回のように「1年半ぶり」という方の意見は、「逐次の個別の変更に対する感想」ではなく、その間の「トータルな音のベクトルの変化の有無」に重点があるので貴重です。
オーオタというのは往々にして「木を見て森を見ず」になってしまう傾向があり、「このケーブルを交換したから」といった微細な個別の部分の眼前の変化を<楽しんでしまいがち>ですが、それが例えばその前の電源の交換やその前のアンプの交換、さらにその前のルムアコやセッティングの変更などを含めた「トータルの変化」を俯瞰するような、数年単位での音の変化を<記憶の中で、時間=経緯を飛ばして比較>して意識化するのは人間は非常に難しいものです(いわゆる、「ゆでガエル」化するのが普通)。
その意味で、この1年半の間にチャンデバ化に伴う調整に苦闘する中で、ややもすると方向感を見失いがちになっていたところで(汗)、「柔らかく、シルクの肌さわりの音が気持ちいです。以前の音にくらべてもスムーズ感アップとの印象をもちました」「Sonnetの美点をさらに追及した音になったかと思われました」という評価をいただけたことは、お世辞と分かってはいても(笑)、「ゆでガエル」では気が付かない、「記憶の間隔」をお持ちの方だけが指摘できることだとありがたく思っております。
個別のご指摘に関しては、一緒にいらしていただいたX1さんも記事をUPしていただいているようなので、ダブらないようにそちらの方でコメントさせていただきますが、まずは、チャンデバ化という「目的地も海図もない航海」に出てしまった拙宅のシステムが、次から次に来る荒波と戦うことに追われて自分がどちらに進んでいるかが時に分からなくなる中で(汗)、遠くから見ている方には、それなりに「正しい方向」(リンク先をご紹介していただいた記事にあるように、私はSonusの<音を変えたくて>チャンデバ化したわけではない)、に進んで見えているのだということが分かり、とても安心しました(笑)。
Auro3Dさん
コメントありがとうございます。
今回色々書きましたが、
正直、客観的な音の評価法、正しい音の評価法って
どうすればできるのでしょうか?
という疑問が沸き上がっておりました。
donguriにはオーディオ関連の経験が限られており、
「個人的感想ですが」にとどまらない、
一般性、客観性のある評価を発信できるという
自信は正直ないです。
Donguriさん
>
今回なぜかdonguriはART OFFのときより ONの時のほうが、中低音が骨太で力強く聴こえる真逆のような効果として感じられたのでした。たぶん皆さんが聴いているポイントはdonguriが気になる周波数よりもっと低い所を聴かれているたんだと思います。
>
今しがた、この点についての設定の確認をしてみましたところ、K&Kさんにもお話した通り、50Hz~100Hz前後の低域を3~6㏈ほど持ち上げているDirac LiveによるDefaultの補正を残しつつ、暗騒音対策で20Hzあたりから下をスパッと切り落とすという「ハウスカーブA」(笑)をお聴かせしてしまっていたようです(汗)。今、15Hzぐらいまで再生する代わりにフルフラットにする新たな「ハウスカーブB」(前回聴いていただいた時の特性に近いもの)を構築して、『Magnificat』のオルガンを聴いているところですが、ご指摘の通り、Aが変にこれ見よがしに低域が強調されて聴こえるのに対し、Bは「わかりやすい低音」の量感が減る代わりに、暗騒音(恐らく、コンプレッサーの音)までしっかり聞き取れるようになりました。
<オーディオマニア的>には、「暗騒音」が聴こえると、システムのクオリティの高さを示しているようで満足感を得られる部分もありますが、<音楽愛好家的>には、実際のコンサート会場じゃあ聞こえないような音がカットされている方が好ましい面もあり、個人的には、ambivalentな感覚がありますが…。
ARTの名誉のために(笑)、取り急ぎのご報告です(汗)。
Auro3Dさん
ARTに関する追加コメントありがとうございます。
最重低音が、それよりも高い周波数領域の聴感に
影響をあたえるのは間違いないようですね。
ARTについては、自分が導入できるようになったら、
一旦部屋内の物理的アイテムの抜本的見直しをしなきゃならん。
大変だなあと思っております。
Donguriさん、
遠路はるばるお疲れ様でした。
いろいろお話ができて楽しかったです。
アクセサリーの評価は難しいですね。
X1さんとDonguriさんがお帰りになった後、USBパワーコンディショナーとLANアイソレーターの有り無し比較をさせてもらったのですが、USBパワーコンディショナーの効果にはちょっと惹かれるものがありました。でも私にはちょっと手を出しにくいところです。
Donguriさんの偽薬(プラセーボ)効果」に注意が必要というお話は私にとっては貴重です。
その一方、Auro3Dさんはあえてキリギリス的ライフスタイルをとっているとおっしゃっていますが、その判断も良く理解できます。その資金力で日本経済に貢献していただきたいと思っています。(笑)
Auro3DさんがコメントされているハウスカーブAでは低音盛り盛りに感じるのに私が良く使っている超低音チェック音源では超低音が聴こえないのでちょっと驚きました。
個人的好みはハウスカーブBなのですが…この辺は好みの問題ですね。
K&Kさん
>Auro3DさんがコメントされているハウスカーブAでは低音盛り盛りに感じるのに私が良く使っている超低音チェック音源では超低音が聴こえないのでちょっと驚きました。
この部分ですが、「ハウスカーブB」(笑)を加えて、今日一日、いろいろな音源をいろいろな補正f特で聴きなおしてみましたが、不思議なことに、同じように50-100あたりに山があっても、超低域部をカットした方が、人間に分かりやすい低音がより強調されて聴き取りやすくなるようです。
もちろん、K&Kさんがお持ちになったような音源は超低域をカットした「A」では、聴き取れ(感じ取れ?)ませんが、今回の<プチ実験>から、「なぜ、理論上超低域が出せないバスレフ型の大型SPは、JazzやRockなどで低域がモリモリに聴こえるのか?」が少し理解できたような気がします。
Auro3Dさん、
>不思議なことに、同じように50-100あたりに山があっても、超低域部をカットした方が、人間に分かりやすい低音がより強調されて聴き取りやすくなるようです。
これ、なんかわかる感じがします。不思議ですよね。一般的に多くの方がイメージする低音というのは50~100Hzくらいの帯域を言うようです。私はかなり前からサブ・ウーファを使っているので低音の量に不満がある方からサブ・ウーファ導入について意見を求められたことがあります。その場合サブ・ウーファでは低音不足の不満は解決しませんよとお伝えしています。
良質なサブ・ウーファのカバー範囲は50Hz以下なのでそれでは低音不足の不満はほとんど解決しないからです。
私はコンサートホールの雰囲気を再現するツールとしてのサブ・ウーファが好きですが、なくても音楽は十分楽しめるので一般的には不要なのかもしれません。