メーカー製のLANケーブルを同一音源で試聴する機会を得ましたので記事にしようと思います。メーカーによっては最上位機種だったりしますが お値段的にもっと上があるのでミドル級という位置付けになると思います。
Ansuz A2 Digitalz Ethernet:¥124,000
Ansuz X Digitalz Ethernet:¥78,000
Nordost Heimdall2 Ethernet:¥90,000
Nordost Blue Heaven Ethernet:¥50,000
Cardas Clear Network:¥51,100
テレガードナー MFP8 IE Gold LAN Cable:¥65,000
いずれも1m、税別のメーカー希望価格です。
おまけ:
テレガードナー M12 Switch IE Gold:¥350,000(ハブ、電源、ケーブル2本のセット)
DAC付属LANケーブル:¥不明
使った音源:
LiSA unlasting
曲の入りはピアノとボーカルでしっとりと。サビはコーラス、電子低音入りのリズム帯をバックにLiSAの力強いボーカルが歌い上げます。極端に難しい音源ではないですがサビの低音電子楽器のドォゥーンと沈み込むところがちゃんと鳴ると気持ちいいです。
0. 何でLANケーブルの比較なんてしたの?
DAC付属のLANケーブルを使っていますが見た目いかにも普通のケーブル。ボトルネックになっているのではないかと心配になりまして…
1. 音量は80dB固定
PCとDACをLANケーブルで直結しての比較です。
音量は毎回必ずノードストテストCD(SYSTEM SET-UP & TUNING DISC)のピンクノイズ ステレオを再生し、手元のスマホ騒音計で80dBになるように合わせます。
余談ですがこのスマホ騒音計、iPhoneにアプリを入れただけの至極簡易なものなのに地下鉄銀座線の走行中騒音が85dBだったのと、アンプのボリューム値(Attenuation level)と相対がぴったり合うので気に入ってあちこちで使っています。
音量をきちんと揃えてからLiSAのunlastingを聞きます。
2. いきなり総評
評価のポイント
1) ボーカルのセンター定位とその場で歌ってる感
2) 前後左右上下の音空間の広さ
3) 低音センター定位
この観点で左から好ましい順に並べると…
Ansuz A2 = Nordost Heimdall2 > Cardas Clear Network = Nordost Blue Heaven Ethernet = Ansuz X = テレガードナー MFP8 IE Gold LAN Cable
トップふたつ以外見事に団子です。A2とHeimdallはどちらも歌心が増してボーカルが好ましいように感じられましたが、他はノーマルと比べて一聴してわかる大きな改善には感じられませんでした。(よーーーく聞くと、うん、良くなったかなぁ??くらい。まあオーディオはそういう事の積み重ねという側面もあるのですが…。)
全般にこの価格帯のLANケーブルは費用対効果が悪いようです。ノーマル品が健闘し過ぎる傾向。
今回比較していないもっと安いクラスではどうか。わかりませんが経験上価格差を覆す商品はそのジャンルの鉄板として広く知れ渡ります。私の見識が狭くて情報を拾えていないだけなのか、それともお値段なりなのか…。
ところでこれにM12 Switch IE Goldを加えると当然トップグループ入り、つまりノーマル品と比べると明らかな改善を感じる事が出来るのですがコストが今回聞いたケーブル単体の倍以上かかる割にケーブル単体からの改善という点ではその差は大きくはなかったです。(※個人の感想です)
参考までにケーブルが固い順に並べると…
テレガードナー MFP8 IE Gold LAN Cable >> Ansuz A2 = Ansuz X > Nordost Heimdall2 = Nordost Blue Heaven >> Cardas Clear Network
でした。
3. 個別評
テレガードナー(両端RJ45)が頭ひとつ抜けて固いです。固いものを無理矢理伸ばして接続せざるを得ないためか、ケーブルに余計な歪みが加わって損をしている可能性があると想像します。Switch付きにすることでSwitch本体の性能もさることながら結果としてケーブルが長くなり、取り回しに余裕ができて音が良くなった可能性も否定しきれません。取り回しを犠牲にするほど高いシールド性能のためか情報量は多いですが音にも固さを感じるから不思議でした。取り回しで無理のかからない長さや、機器配置にする事で性能向上が図れると思います。(うちでは無理でしたが)
M12 Switchの試聴は今回は付属のアダプターを使用したのと、足元お姫様扱いが推奨されているのに雑にリラクサの上に置いただけでしたので伸び代を残した状態での試聴と思ってください。ちゃんとした直流電源に変えてそこに定価100万クラスの電源ケーブルを使っている人たちがいる事から想像するとどれだけの伸び代があるのでしょう…うまく想像できません。
Ansuz A2とHeimdall2はどちらも甲乙付けがたく良かったのですが、共通の特徴としてunlastingのサビ「あーなーたのかおーりー」がグッとくる 心にしみる そういうフィーリングが他のケーブルよりも強いように感じました。値段を先に知っていたのでプラシーボ効果の影響で実際より良く聞こえてしまった可能性は否定できませんが。ミドル級ゆえ、より上位のLANケーブルを知る人からすると欠点があるかも知れませんが(unlasting以外の)私のリファレンス音源を聞く分にはこれくらいでいいのかなと思いました。もしAnsuz A2やHeimdall2より良く歌うLANケーブルが在れば価格帯関係なくご紹介頂けると幸いです。(俺の自作が最高!という方もいるかも)
Ansuz X は固さも見た目もメーカーホームページのスペックもA2と酷似しているのに何故か音はA2に肉迫せず、一部音源ではノーマル品に追いつかれる場面も。安くて美味しい、は中々ないですね。目で見てわかる違いがひとつありました。Ansuz A2には絆創膏よりちょっと大きいくらいの黒いチューブ状の物がケーブル中程に巻かれていました。Xにはそれがないです。上位のD2やdt-cには亀のような物体がケーブル中程に付きます。A2の絆創膏サイズのものはそれになり損なった物でしょうか…。それの差だけだとするとちょっとの事で大きく変わるのが悩ましいですね。(音も値段も)
Blue Heaven と Cardas Clear Network は価格も近く見た目も青いので音も近いのかと思いきや違いました。Blue Heavenはノーマル品と同じどちらかと言えば中庸な傾向の音でノーマル品より奥行きと情報量が改善されますが余り変化が分かりやすくないです。同じ5万を投じるなら電源ケーブルや壁コン、インシュレーターの方が変化が分かりやすいでしょう。(音変わる=良くなるとは限らない。その変化がなんであるか捉えることが肝心)
Cardas Clear Networkはこの中ではノーマル品を除き最も柔らかく、聞きやすさと情報量がバランス良いです。若干ドンシャリ気味明るめの色調に振ってあるようでカルダスのクリアーシリーズらしい音作りと言えばそうなのかもしれません。この傾向、音源によってはハマると思います例えば交響曲とか。ゴールデンクロスやゴールデンリファレンスのような音がするLANケーブルあったら聞いてみたいですね。
日本語ではLANケーブルですが海外ではEthernet cableが一般的な様子。中にはNetwork cableなんて表記してるところも。
以上、長々と綴った文章最後まで読んでいただきありがとうございました。
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