改良型 内部振動アーシング・メソッドのつづきになります。改良型の狙いは、振動伝達部と振動板の仕様はそのままに、振動吸収部の仕様であるエプトシーラーの音とゲルの音のいいとこ取りをするものです。
1:現状のエプトシーラー吸収
半年前の日記から採用時の音の変化を抜粋すると以下となります。
【音質傾向】
「全域にわたるSNの向上」と言えますが、特筆すべきは、『低域のSN比の向上』です。機器の内部振動が音楽信号に付帯音をつけて、音をマスキングしていたことを実感します。電源やデジタル信号のノイズ抑制では、主に高域よりのSN向上を感じてきましたが、内部振動のアーシングは低域での効果が目立ちます。
これを基準にゲル吸収にしたときの音の変化を確認しました。
2:ゲル吸収
具現化にあたり下記の指標で製作をしました。
「プルプルと横に動くことで振動吸収させる。荷重点には適度なダンピングを与えて共振を抑える。」
ゲルは100均ゲルの柔らかいタイプを小さく切って重ね貼りしたものです。(10mm)中央のダンピング材はエプトシーラー(20mm)
【音質傾向】
1:エプトシーラー吸収と比較して、帯域バランスが中高域に寄ったと感じるほど、中高域のSNが上がる。透明感が増して、空間が広がったように感じた。(補足:最初はウエルフロート採用時と同じで、低音の量感が減ったと感じたが徐々に回復してきた。)
ここまでで、大筋の1:エプトシーラーと2:ゲルの得失が把握できたので、次のステップでよいとこ取りを目指しました。
3:エプトシーラーとゲル吸収のハイブリッド吸収
実験では、上図の逆パターンのゲル吸収の上にエプトシーラー吸収を重ねる形でハイブリッドさせました。
【音質傾向】
機材の底面に近い構造の音が支配的になる。
エプトシーラー吸収を上に重ねて聴いたところ、1:エプトシーラー吸収に戻ったかと思いました。そこで、逆に重ね2:ゲル吸収を上にするとゲルの音になります。直列に重ねると、底面に近い部分の音になるようです。
そこで、下記に構造を見直しました。
ゲル吸収とエプトシーラー吸収を並列にしたのです。
「いける!」
音を出した瞬間に感じました。低域が明瞭で中高域も透明です。ここでこの構造と仕様でいくことを決めました。変化が大きいと感じていたCDPで試していたのですが、その状態で聴き込みを続けると馴染みが出てどんどん音がよくなります。昨日の日記は、この聴き込み中に書いていました。
上の写真の振動板が大きいものが2:ゲル吸収で、小さいものが1:エプトシーラー吸収です。フリーボールの位置はゲル吸収が回転ユニット取り付け部とトランス近傍を狙っています。エプトシーラー吸収は回転ユニット対角の取り付け部狙いです。限られたスペースへのレイアウト上、やむなく斜め配置となりました。吸収部を比較すると下記となります。
CDPのアーシングが概ね馴染んだところから、待ちきれずにAMPも同様にゲル吸収とエプトシーラー吸収を並列に展開しました。旧式のAMPでこれがなかなかの難物でしたが、AMPまでやることで、更に音に力が出ると感じます。きっと更なるSNの向上が進み、より音楽信号が浮き彫りになるためだと思います。
【結論】
ゲル吸収とエプトシーラー吸収を並列のハイブリッド構造とすることにしました。
ここからは、1日馴染ませたところでの音の感想です。
『定点観測用ソフト』
普段からサウンド調整に使っているソフトでは、一つ一つの音がより克明になり、音像がピタリと決まり、音に力が出たと感じます。
『空間系ソフト』
上記に加えて、これまでに比べ空間が広がったように感じるので自宅のサウンドながらに感動します。空間系のソフトは全部いいです。
『ピアノ・ソフト』
これまではピアノより弦が合うサウンドでしたが、今聴くとピアノの方がいいかも?と感じるくらいに変わりました。ピアノのタッチの1音1音がびんびんと響きます。
このハイブリッド・アーシングはめっちゃいいです。簡単に作ることが出来ますので、試してみることをおすすめします。
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ヒジヤンさん
おめでとうございます!
今回は目から鱗、発想の横展開にヒジヤンさんの発想マジシャンとして面目躍如といったところですかね。
1点メカニカルアースという言葉の呪縛があると、2点2系統(周波数別)アース・複合アースといいますか…の発想は起きにくいし、どうしてもピラミッド構成で積み木式になってしまいます。
ジェルも含めて材料は揃っているのですが、こちらも調整が終わったばかりなので半月は馴染みを見てからの実験にしようかどうか、心乱れる日記です(^^)
ますます持ち手のコマも増えて、様々なアプローチで横展開もできる状態なので、じっくりと構えて取組んで行くかも…問題はバズケロの好奇心がそれをさせてくれるかというと事が悩みのたねです(笑)
成果を堪能しつつ、音楽を楽しまれて下さい!
では、では
byバズケロ at2017-02-05 14:03 [このレスを削除する]
バズケロさん、ありがとうございます!
AMPは難航しましたが、CDPが順調に進んだので今日は筋肉痛で体の動きもおかしいですが、満足感でいっぱいです。
>1点メカニカルアースという言葉の呪縛…..
そうですね。振動の逆流や循環に注意すれば問題ないと思います。この構造だとはっきりと縁切りした構造ですからね。
バズケロさんの取り組みも終えたばかりなのですね。それだと確かに馴染み待ちが順当ですが、一つの機材だけで試してみるとか、ハーベス部屋で試してみるとか。。。悪魔のささやきをしている、筋肉痛マンでした。
これからは当分の間は音楽堪能致します。でも、気になるところが出てくるものなのですよね。そして、またどうしようかと考えてしまう。。。アースループや振動ループよりも、一番怖いのはオーディオループです。
でも最高に楽しいループですよね(^^)i
byヒジヤン at2017-02-05 20:24 [このレスを削除する]
「並列」って・・・?
ヒジヤン様 こんばんは。
最初は、どのような形をしているのか全く分かりませんでした。わかってみると、エーェッ!?まさに言葉に呪縛されていました。
最近、フェーズメンションのDACが電源トランスダイレクトグランディングと称するメカニカルアースを採っていたと知りましたが、振動処理は本当に重要ですね。
拙宅のCDトラポやDACは電源が別体なので、やはり1点アースで攻めるのかな~と思っています。
今日はDACの1点アースを見直していました。フリーボール式、厚5mmアルミ板、アルミ板の四隅にαゲルです。センターに小さく切ったエプトシーラーを置くかどうかや、押しつけ圧力でかなり音質が変わりますネ。
エプトシーラー片を置くと、ピアノの音でいうと、ピーンと純度高く毅い音になるのですが、うっかりするとこれにキーンという微かな響きが乗ってしまいました。もっとも、これまでキーンという音が乗ってしまう上手くいかないアルバムばかりで検聴しているので当然といえば当然ですが。
最終案としては、アルミ厚5mm、αゲル5mm+3mm、鋼球12mmとなりました。
この度のヒジヤン様のアーシングでは、アルミ厚やボール径はいかほどでしょうか?
byそねさん at2017-02-05 21:24 [このレスを削除する]
そねさん、こんばんは。
備忘録に触発されて踏み出しました。本当にオーディオ弄りは楽しいですね。この内部振動アーシングは機材のシャシの剛性や重量。そして、振動源の周波数特性や大きさなど、様々な特性との相関で最適解が変わると思いますので、細部の仕様は各々が追い込んだものでよいと思います。
ただ、この構造だとまったく1点にこだわる必要はないと思います。完全に縁切りした構造ですので振動が循環することはあり得ない構造だからです。
その上で、拙宅のアルミ厚やボール径ですが、
エプトシーラー吸収はアルミ2mmです。これは、振動板を振動しやすくしてエプトシーラーが熱エネルギーに変換して吸収しやすくするために薄板が適していると判断したためです。
一方、ゲル吸収は振動板を横方向に動かすことで吸収する狙いなので、3mm厚としました。支点も遠くて剛性確保が必要なためです。振動板自体の共振は好ましくないと判断しました。ただし、動くことで運動エネルギーに変換しますので、動きやすいように軽量にする方が好ましいと思いました。ですから、共振しにくい最低限の厚さの確保をしたものです。もっとも、計算したわけでもシミュレーションしたわけでもなく、手感と板を叩いたときの音感からです(笑)
あと、圧縮率はゲルが20%くらいに軽く当てる感じで、エプトシーラーは50%圧縮くらいで使用しています。
この厚みは、CDPもAMPも同じです。
ボール径はCDPがφ9.5で、AMPがφ15です。
これはスペース制約上と、狙いの周波数から考えました。AMPはトランスの50Hz狙いですからやや大き目の方が有利だと思いました。CDPは回転体が様々に変化しますが、聴診器を当てて聴いてみると低周波から中域くらいまで幅広い感じでした。だから、ボール径は大きくない方がよいかと思いました。これは山勘です(笑)・・・低周波ほど大きく重く、高周波ほど小さく軽くですね。
最後にですが、どうも音を聞いた感じと構造原理から考えると、ゲルタイプの主な機能は振動源の振動を吸収することで、エプトシーラータイプの主な機能は、シャシの振動を防振することのような気がします。これもかなり山勘ですが(笑)
今回の取り組みを触発していただき、ありがとうございました。
byヒジヤン at2017-02-05 22:32 [このレスを削除する]
ヒジヤンさん
やってますねぇ。
ハイブリッドというか、スペクトルアースと称するのがよいのでしょうか。私の理解では、中高域と低域とユニットを分けたマルチウェイ・スピーカーなのかなぁという感覚です。回転メカとトランスとは振動帯域が違うのでそれぞれに最適な振動吸収をあてがうということでしょうか。やはり、反射や別経路伝達を防ぐ振動遮断が前提ですね。
小さい編成の弦楽アンサンブルの楽器ひとつひとつの音まで克明に感じ取れるようになるとか、空間表現がより鮮明になるというのはその通りですね。その分、立体感が浮かび上がってきます。微小振動ノイズや附帯音にマスクされていた微小な音の応答が聞こえるようになり、なおかつ左右chやユニット間の誤差が極小化するからなのかなぁと思っています。
効果を感じるまでにちょっと時間がかかるのは、聴き手がだんだん慣れてくるということもあるような気がします。耳が慣れてきて聞こえるようになるのに少し間が必要なのではないでしょうか。言い換えれば、耳(聴覚)が鍛えられるということで、感覚が進化します。そうするとそれまで気にならなかったことが気になったりしてきます。私の場合、関係のないはずのアナログ再生にまで波及してきました。
ループというよりドミノ効果みたいなものでしょうか。
byベルウッド at2017-02-06 13:12 [このレスを削除する]
ベルウッドさん、レスありがとうございます。
この内部振動アーシングは効果が大きくて楽しいですね。オーディオ弄りが楽しくてやめられません。
>効果を感じるまでにちょっと時間がかかるのは、聴き手がだんだん慣れてくるということもあるような気がします。
そうですね。この時間がかかるのは、ご指摘の馴れと、馴染みと、錯覚が影響していると感じています。変わった音が帯域バランスが変わったかのように感じることもよくあることですが、計測しても周波数特性の変化は見受けられない。でも聴感上はそう感じる。ケーブルの比較や機器の比較なども同じように感じることはよくありますね。このあたりも深堀すると面白いと思います。
それにしても、言葉の使い方も人それぞれでイメージが多岐にわたるのですね。自分は自動車屋さんなので、ハイブリッドカーのシリーズ式とパラレル式のイメージを思い浮かべました。
ループはアースループから展開したものですが、確かにイメージがよろしくないですね。ドミノは…..これももう一つです。出来るなら、オーディオにおける飽くなき音質追求は永劫回帰です!くらいに大ぼら吹いておきたい気もします(笑)
今回のお試しの源泉を作っていただきありがとうございました。ベルウッド邸で見た、あのプルプルは忘れられないでいました。
byヒジヤン at2017-02-06 20:15 [このレスを削除する]
再レス失礼します
PCトラポに並列してみました
これは良いです!
byそねさん at2017-02-06 21:28 [このレスを削除する]
そねさん、は、早いですね!
そのスピードに追いつけません。
パラレル式アーシングよいでしょう。ハイブリッドカーにおいても、パラレル式はエンジンとモーターのいいとこどりをする思想なんですよ(^^)
byヒジヤン at2017-02-06 22:08 [このレスを削除する]
ベルウッドさん、思いつきです。
1月に訪問させてもらった時のαゲルタイプの音の件です。あの時は、高域の伸びが減退する原因は底面を強く押えすぎだろうと思いました。押し込みを緩めることで高域の伸びも改善するだろうと思ったのですが、どうでしたか?
拙宅でのゲルタイプは、中高域のSN改善が目覚ましかったです。
ベルウッド邸では、低域寄りの改善が目覚ましかった記憶があります。だから、高域が伸びなくなったわけではなく、低域が目立つために高域が伸びなくなったと錯覚したのではないかと?
もしかすると、ゲルタイプは振動版の厚み(重さ)で効果的に吸収する周波数が変化するために、このような感じ方の違いが生じたのではないかとの仮説を持ちました。
いかがでしょうか?
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