定点観測を続けるベルウッドさんのお宅に最新状況を聴かせてもらいに行って来ました。前回訪問からは1年以上経っていますので、久しぶりの試聴タイムとなります。
リビング兼用のオーディオ・ルームは、パッと見た感じは大きな変化は感じられませんでしたが、オーナーからの解説では今回の変化点は大きく下記の2点とのことです。
1)強化型ウェルフロート・バネの採用
2)PCオーディオの充実
この1年間のサウンド変化はどんな変化なのかと興味津々で聴かせてもらいました。最初に定点観測用のDiscからのCD再生からスタートです。
1、カリヨン/幸田浩子
もう何度も聴かせてもらっている定点観測Discです。その変化はすぐに感じました。定位がぶれない変化です。1曲目のアヴェマリアはヴォーカルしかり、弦楽合奏しかり、特に定位が揺れやすい音源です。1年前と比較して、定位が安定しているので、実在感が大幅に向上していると感じました。この変化はスピーカー下に設置した、強化型ウェルフロート・バネの採用によるものだそうです。
2、パッヘルベルのカノン/オルフェウス室内管弦楽団
こちらも何度も聴かせてもらっている定点観測Discです。このCDはどこで聴いても、一見よい音に感じるDiscなのですが、正確に心地よく再生するのは難しい音源です。左~中央~右へと流れる弦楽郡の演奏を、心地よい響きを伴って輪唱する様を描き出すのは高度な再生と言えるでしょう。今回聴かせてもらったサウンドは、目の前で演奏する様子が見えるようでした。よくマニア宅で定位の話をすると、定位は気にしていないと言われる方がいますが、この特性ほど捉えやすく、同じ土俵で評価もしやすく、しかも音楽性に大事な要素だと感じています。この特性に大きな進歩が得られるのなら、強化型ウェルフロート・バネは侮れないアイテムだと思います。
ここで、CD再生とPC再生の比較試聴が始まりました。
同じパッヘルベルのカノンをPC再生に切り替えて音楽が流れます。音が鳴り出した瞬間は、眉をひそめてしまいました。体の周囲に感じる音が大幅に減ったように感じたので、情報量が減ったように感じたからです。ですが聴き続けていると、この判断は過ちであったと思い直しました。CD再生が音が前に出るのに比較して、同じ曲のPC再生では響きが後ろに回り、深々とした演奏の情景を見通しよく、しかも上品に描き出しているではないですか。この様子に思わず唸りました。これまで幾度となく、CDとPCの比較は様々なお宅で聴かせてもらいましたが、PCの優位性を感じたことはなかったからです。今回はPCでの再生の方が断然気に入りました。
PCでの再生が気に入った流れで、USBケーブルの比較に進みました。先程聴かせてもらったのが、現時点で標準としているオリジナル仕様です。その状態からUSBケーブルのみを付け替えての比較試聴の実施でした。USBケーブルその2、USBケーブルその3と比較して聴きましたが、やはり最初のオリジナル仕様がよかったです。その2、その3では音が前に出て来て、見通しがよい、上品な再生が失われてしまうと感じます。ちなみに、オリジナル仕様が一番お安いケーブルとのことでした。
その他にもいろいろと聴かせてもらいましたが、圧巻だったのはハイレゾ音源のPC再生でした。
3、ローマの松/大植英次&ミネソタ管 Reference Recordings
この音源は、8年ほど前に初めてベルウッドさんのお宅を訪問した時に聴かせてもらったものです。聴かせるのは“ローマの松”ただ1曲!と宣言され訪問した、思い出深いオフ会だったのです。この時とは再生機器の違いはありますが、同じ部屋、同じ配置での再生です。ですが、8年前とは比較にならないレベルの再生だと思います。音源の差があるとは言え、その差は仰け反ってしまうほどのものだと感じました。
8年前の様子
やはり継続的にオーディオに取り組んでいる方の進化は違います。最近の1年間の変化に驚き、8年間の進化に仰け反った久しぶりの訪問でした。
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久しぶりの定点観測でベルウッド邸の飛躍ぶりに驚かれましたか。私は来月訪問予定でまだその新しい音を聴いてはいないのですが、ヒジヤンさんの日記からも十分に期待できそうですね。(^^)
強化型ウェルフロート·バネは、フルコンメカとよばれているものでございます。以前ベルウッドさんが日記でご紹介されたものはピアノメカでしたが、その後このフルコンメカに変えられておられますね。以前ヒジヤンさんにもご紹介させていただいたと思いますが、SN、解像度、定位が改善され、重心も下がって音楽性が高くなるなど、換装された方々から聞くことが多いです。
PCはMFさんのサポートによるもので、私も使用しておりますが、実際に聴いていただくと、そのレベルの高い音に驚かれたことと思います。拙宅ではエソのK-01はかなり前から超えておりますが、ベルウッドさんのK-1のトラポとの比較でもそうなのですね。(^_^;)
SNが良く、中低域も厚くローエンドまで伸びる音は今後のオーディオの新たの展開を期待させますよね。
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先日はありがとうございました。
CDとそのリッピングファイルのPC再生とのガチンコ勝負。PCの勝ちでしたね。ついにここまで来ました。うれしいと思う半分、大変なことになったなぁと。
USBケーブルは、私自身と全く同じ評価でうれしかったです。これはまた後ほど詳しくレポートしたいと思います。
「ローマの松」は、私にとってもヒジヤンさんとのオフ会デビューでしたので思い出深いです。最初の「ボルゲーゼ荘の松」は、「おもちゃ箱をひっくり返したような…」と評されてしまいました。当時はそれでいいのだと思っていました。ところが、システムアップが続き、ついに176.4KHzのハイレゾまで来たら、ぜんぜん違っていた…。そのことに私も愕然としています(大笑)。
オーディオは楽しいです。仲間との交流はそれ以上に楽しいですね。
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どんぐりさん、レスありがとうございます。
本当に蓄積された進化に驚きました。この1年間での変化にも驚きましたが、8年ぶりに聴かせてもらった音源では仰け反るほどに。。。
自分もPCからの送り出しの音は、リッピング音源ではこれまでCDを超えると思ったことはありませんでした。PCオーディオは色々いじるのが楽しいからやるものだと。まして、CDからのリッピングでCDよりよくなるはずはないとまで思っていました。ですが、今回聴かせてもらった再生はPCからの再生の方が気に入りました。技術は進歩するものなんですね。
ベルウッド邸のサウンドは、8年前から変化がある度に聴かせてもらっています。確かにバッテリー電源のよさも認めています。ですが、失われるものもあるので、絶対的にバッテリー電源がよいとは思えないです。それでも、ベルウッド邸での上品な音を支えているのはバッテリー電源であることは間違えないですね。
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Harubaruさん、レスありがとうございます。
本当に強化型ウェルフロート·バネの効果は高いものがありそうですね。フルコンメカと言われるのですか。自分が捉えたよさは、定位がぶれなくなったことでした。この音像定位はかなり厄介な特性で、使いこなしが出来ていないと、ピタッと決まることはない特性です。
具体的には、スピーカーから出る音と部屋の音響特性を整合させることや、帯域ごとの部屋の反射や残響特性も整えていかないと音像定位はぶれてしまいます。あとは、機器やケーブルの振動でもぶれは出てしまいます。その上で、ベルウッドさんが丹念に調整されたスピーカーと部屋のマッチングやチューニング、そして機器の振動対策を詰められた上での効果と想定しました。そして、機器の中の振動源であり振動によるサウンド影響の大きいスピーカーの揺れを硬いバネで支えることにより振幅を抑えた効果が定位の安定化に大きな効果を生んだのだと推定しました。単に強化型ウェルフロート·バネのフルコンメカを使えば、定位はぶれなくなるわけではないと思われます。経験的に煮詰まったセッティングは、少しの物理的な変化でも、大きなサウンドの変化に繋がるものです。ですから、この驚くべき変化はこれまでに蓄積された根気強い調整の賜物だと思いました。PCからの送り出ししかりですね。オーディオは、機器や部屋だけでどうにかなるものではない所が面白いです。
来月に訪問されるのですね。楽しみですね。相互交流は人的交流の楽しさと、切磋琢磨し合う刺激や励み、本当にオーディオを通じた交流は代えがたいものがあると思います。
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ベルウッドさん、1年間の変化と8年間の進化を存分に堪能させていただきました。
しかしながら、そのことで自分が8年前に想定したことは過ちであったことを証明されてしまったようです。その時は室内音響を主眼にサウンド磨きをしていましたので、そこに目がいっていたようです。ベルウッド邸の変形のリビングではコンサートホールを彷彿させるような再生は難しいのだろうと考えました。ですが、その考えは間違えであったと。ここまで追い込みを進められたことに拍手です。
それにしても定点観測用の音源を使い、変化を聴き合うというのは緊張感がありますね。その時によく鳴るものを聴かせるのは、比較的安心ができますが、ずっと聴き合ってきた音源はよくなった点も悪くなった点も全て露にしてしまいます。今回の試聴音源では、以前より落ちたと感じた点はひとつもなかったです。
>オーディオは楽しいです。仲間との交流はそれ以上に楽しいですね。
まったく同感です。真剣になればなるほど、交流することによる厳しい点も出てきますが、そんなことを遥かに超えるメリットや楽しさがありますね。今後ともよろしくお願い致します。
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日記を見ている側としても、定点観測的な手法は変化が分かりやすいように思います。
実際に伺ったことのあるお宅の音なら特にですけれども。
私が伺った時はウェルフロート導入直後でしたが、その後の変化は機器の変更もあって別次元的な進化のようですね。
キッチリと詰められたベルウッドさんとそれを真正面から受け止められるヒジヤンさんに拍手です。
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fukuさん、レスありがとうございます。
本当に定点観測は変化がわかりやすいと思います。そして、オフ会の冒頭に定点観測Discがかかるときは自信があるんだろう、最初は別のDiscから進行されたときは何か引っかかりがあるんだな、などの想像も入ってしまうのが楽しいです。
>私が伺った時はウェルフロート導入直後でしたが、・・・
その時期は、音は綺麗なのだが、カリヨンの幸田さんの歌声が、右を向いて歌ったり、左を向いて歌ったりしていませんでしたか?自分の記憶では確かそのような記憶があります。
定期的な訪問によるサウンド確認会は、岡山でも毎年行われているご様子ですが、楽しくも刺激のある会になりますよね。
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同じ音源で何年もという話染み入ります。記事もさることながらコメントに金言が!
> スピーカーから出る音と部屋の音響特性を整合させることや、帯域ごとの部屋の反射や残響特性も整えていかないと音像定位はぶれてしまいます。あとは、機器やケーブルの振動でもぶれは出てしまいます。
拙宅の最優先課題である定位に これ程直結した示唆は初めてです。ヒジヤンさん恐るべし。それと同時に取り組んでいる方向性は間違っていないのだなと再確認することができ少しほっとしました。
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ヒジヤンさん 初めまして 最近入って来た者です
この音像定位はかなり厄介な特性で、使いこなしが出来ていないと、ピタッと決まることはない特性です。
とありますが、、いえいえ、左右のスピーカーの音圧レベルが同じであればセンターから必ず聴こえます。すべての答えはスピーカーが出します。駆動力不足などジャストミートしていないといろいろな現象が起こるのでしょう。皆さん、あの手この手でよくやるなと感心してます。
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high speedさん、レスありがとうございます。
定位は使いこなしの指標ですね。どんなに高い機械を使っても、どんなに素晴らしい部屋を作っても、それだけではアヴェ・マリア/カリヨンとカノン/オルフェウスのピタッとした定位は出せませんからね。使いこなしが出来ていなければダメダメになります。
だからこそ定点観測用のDiscとして最適ですし、追い込み用やサウンド確認用としても適しています。自分のシステムも何かいじったら、必ずこの2曲はチェックしています。
この2枚はサウンド確認用として持っていると便利なソフトです。
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