「聴きたい音楽を聴きたいようにセッティングする腕前」、それは時としてとんでもないことを仕出かしてしまうことに気付いたJBL部屋でした。
前回に聴かせてもらったのは、2021年春です。半年ほどの経過でした。ですが、そこに流れるサウンドはまるで違うものになっていました。「いい意味では正常化、悪い意味では没個性化した」です。
前回の感想から引用すると下記とあります。
『生演奏とは別物ですが、「オーディオ的快感のおばけ」とも言えるようなサウンドが流れました。目の前に現れた巨大スクリーンに映し出された様なサウンドでした。このような音は聴いたことがありません。端正とは対極をなすようなサウンドです。ですが、オーケストラもオペラも楽しくて止められません。帰りの電車の予定時間も遅らせて、時間の許す限り楽しませてもらいました。』
前回は、オペレッタの「ジプシー男爵」が楽しくて止められませんでした。目の前の巨大スクリーンに映し出された音像が、平面的なのに立体を感じる、まるで『ピカソの絵』でした。・・・それが今回は生演奏を楽しむような感覚です。
幸田浩子の’カリオン’では、前回はコントラバスが右スピーカーの外側1mほどの位置で鳴っていました。・・・それが今回は定石通りにチェロの後ろに位置しています。
前回は幅方向にギューと引き伸ばして目の前の巨大スクリーンに映し出すようなサウンドが、今回は幅方向は左右のスピーカーの間に音像が出来て、奥行きも感じる音像配置のサウンドでした。
あの個性的なサウンドはどこに逝ってしまったのでしょうか?ハード的なことを考えると、前回は「バイアンプ仕様」で、今回はパワーアンプ故障で「シングルアンプ仕様」です。ここから音の変化の原因を考えると、『前回はすでにパワーアンプが壊れていた』との見解に至りました。
こうして思えば、「なぁん~だ」と言うことになるのですが、
【壊れた機械で耳を惹きつけるようなサウンドを生み出す手腕】
これは只者ではありません。こんな笑い話からも、バズケロさんの凄腕を垣間見ることが出来ますね。
さて、今回のJBL部屋のサウンドはいかがなものであったのか?
今回の主役はCDPの’プッチーニ’でありました。
メカユニットとシャーシの取り付けを限界まで追い込み、足元の砂箱も一旦全部バラして追い込んだとのことです。CDPを支えるウェルデルタ改の下には、サンシャインVシリーズのマグネシウムボードが敷かれていました。更に、砂箱の中の最上層にはクリスタルチップがキラキラと光っています。
このような追い込みがされた’プッチーニ’のサウンドは、どんなジャンルの音源も楽しく聴かせてくれるものでした。そして、これまでの’プッチーニ’では考えられないような芯の通った力強い音が出ていました。
一番感銘を受けたのが下記の音源です。
‘Jazz at the Pawnshop’
ライブ会場で奏でられるジャズ・セッションが、とても生々しく自然で耳が惹かれました。
Auro3Dさんの持ち込みDiscのダイアー・ストレイツの’LOVE OVER GOLD’も、キレある音とノリノリなリズムで、ロックの楽しさを味あわせてくれます。
◇JBL部屋はジャズやロックがいいですね。両盤とも、帰宅後にさっそく注文しました。
更には、クラシックの弦楽アンサンブルやマーラーまでも鳴らしてしまうJBL部屋には、いつもながらに驚かされます。
そんな中で、今回気になったのはサラ・ヴォーンの「How Long Has This Been Going On? 」のアナログ再生でした。
バス:「サラ・ヴォーンの声がいいんです。この人は本当に歌が上手いですよね。」
と言いながらレコードをセットして、針は降ろされたのですが・・・
サラ・ヴォーンの歌声が床から聴こえてくるではないですか。「もしかして、また何か壊れたのか?、こうゆう音源なのか?」などと頭の中がグルグルしたのですが、「歌声が床から聞えて来ます。」と感想を述べますと、
バズケロさんはにこやかに言いました。
「ホーンの上下の指向性が狭いのでよくあることです。椅子のリクライニング角度を変えながら聴くと焦点の合う場所があるはずです。」
言われるままに試してみると、確かにクライニング角度を変えながら聞いてみると、歌声が聞こえて来る位置が変化しました。アナログ再生では、他にも気になることがありまして、この辺りは次回の日記に書いてみようと思います。
そんな経過もあってか、今回のJBL部屋での印象は’プッチーニ’のデジタル再生が好印象でした。聴かせてもらう度にアナログとデジタルの優位性が入れ替わり、時には事件も引き起こすJBL部屋。そして、散々苦労した’プッチーニ’をここまで仕上げて来るとは思いもよらなかったです、バズケロさんのオーディオ愛を感じる2021年 冬のバズケロ邸訪問でした。
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