ヴォーカルの定位についてのお話なのですが…
ヴォーカルを聴いていてリスニング・ポイントから体を右や左に少しずらした時に歌手の立ち位置が体の移動に伴って同じ方向に移動してしまうという経験をされた方は多いと思います。
僕はそれが自分のシステムに問題があるためだと思っていたのですが、どうもそうではないようです。
録音によってかなり違うことがわかってきました。
総じてポピュラー音楽系の録音では体をずらした時の音像の移動が大きいのです。
ジャズ系のヴォーカル、ナタリー・コールのアンフォーゲッタブルやリンダ・ロンシュタットのフォー・センティメンタル・リーズンズは僕のお気に入りなのですが、残念ながら定位に関しては音像の移動があります。
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この両者ともヴォーカルのコンプレッサーはあまりかかっていないようでアコースティックなヴォーカルが楽しめるのですが…定位に関しては前述のとおり。
それに対して、クラシック系ソプラノの録音では音像の移動があまり感じられない録音が多いようです。
ちょっと面白いのは鮫島有美子さんの日本のうたの2枚組CDで、DISC1ではホールや教会での録音で、音像の移動があまり感じられないのに、DISC2の最初の方の曲では旧日本コロムビアでのスタジオ録音なのですが、これは音像の移動が感じられること。
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森摩季さんの日本のうた-花は咲くではちょっと微妙で音像の移動は大きくはないですが、ややある感じ。
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何でこんなことに気がついたかというと頼まれて自宅でソプラノの録音をした時に僕の録音では音像の移動があまり感じられなかったことがきっかけです。
僕の録音は極めてシンプルないわゆるワンポイント・ステレオ録音で、業務用のコンデンサーマイク2本を15、6㎝ほど離して設置するやり方。
この方法だと自然な音像の奥行き感と安定な定位を得ることができます。
試聴はこちらで。
CDはこれなのですが…
ポピュラー系の録音で定位の移動が大きいのはヴォーカルの録音にマイクを1本しか使わないことが原因なのではないかと思っています。
以下の写真はリンダ・ロンシュタットのCDのジャケット写真ですが、このようなマイク1本録音がポピュラー系録音では主流だと思います。
このやり方だと後から人工的に残響を付けても音像の自然な奥行き感を得るのが難しいのではないでしょうか?
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クラシックの録音ではステレオ配置のアンビエント・マイクとヴォーカル専用の近接マイクのミックスだと思いますが、そのミックスの比率で音像の安定感が異なってくるのではないかというのが僕の推察です。
この辺のことについてはもっと詳しくご存じの方がいらっしゃるのではないかと思っていますが…ご意見、情報などありましたらお願いいたします。
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