拙宅の窓際オーディオにはFostexのサブウーファーCW250Dがあります。
個人的にこのシリーズは気に入っていて以前はCW250Aを使っていました。
小型スピーカーとの繋がりが良かった印象です。
↓これは現在のCW250D。右側に置いてあります。真っ黒です(^^;
[:image8:]
CW250の宣伝文句をみるとMFBが挙げられています。
https://www.fostex.jp/products/cw250d/
[:image9:]
<ポイント>
●フィルタを掛けると群遅延が生じる。低音が遅れる。MFBで少し改善するらしい。
●CW250のクロスオーバーは12dB/oct。案外緩やか。
という訳で、今日は本当に低音が遅れるのか?
考察してみます。でも、自分でもよく分かっていませんので
先に謝っておきます。ゴメンナサイ。
自分が最初落とし穴に嵌ったのは「位相」と「群遅延」の区別です。
位相が180°回転した状態は、
「その周波数で本当に1/2周期の遅れが発生している」場合と、
「単純に位相反転しただけ」の二通りが考えられます。
※位相を反転しただけでは遅延はゼロです。
位相として「角度」が提示される場合はそこに気を付ける必要があります。
LTSpiceという回路シミュレータで本格的に解析したいところですが
面倒です。お手軽に OKAWA Electric Design 様 の技術ツールを
活用させて頂きます。
技術ツールで解析を行います。
Sallen-Key2次フィルタで[「50Hz」のカットオフします。
つまりCW250Dのクロスと同じ12dB/octです。
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■■■ローパス■■■ ①周波数特性
[:image1:]
■■■ローパス■■■ ②群遅延
[:image3:]
■■■ローパス■■■ ③位相
[:image2:]
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■■■ハイパス■■■ ①周波数特性
[:image4:]
■■■ハイパス■■■ ②群遅延
[:image6:]
■■■ハイパス■■■ ③位相
[:image5:]
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先に位相の問題を片付けましょう。
ローパスフィルタとハイパスフィルタの③位相を比較しますと、
片方は -90°、もう片方は 90°。
つまりクロスオーバー周波数50Hzに於けるローとハイの
位相差はぴったり180°です。
これが-12dB/octの特徴です。
スピーカーの内部でツィーターに繋がる配線をプラスマイナス逆に
接続するのが-12dB/octのネットワークのお約束?でもあります。
この180°は遅れではなく位相ですので、このように
片方をひっくり返せば平坦な周波数特性が得られます。
次に群遅延の問題です。想像では高域側も遅延するのだろうと
勝手に想像していましたが何と何と。遅れるのは
ローパスの場合でもハイパスの場合でも低域側だけでした。びっくり
ローパスとハイパスの②群遅延の図を見比べると・・・・
似ていますが微妙にローパスの方が「遅れが大きい」です。
ここであるスピーカーを思い出します。
Technics SB-E100です。これは昔、学校にあって
大音量を浴びせられた思い出があります。
図:オーディオの足跡様よりSB-E100画像(https://audio-heritage.jp/TECHNICS/speaker/sb-e100.html)
[:image7:]
低域よりも高域の方が早く人に届くので高域ユニットを後ろにズラした
リニアフェイズ構成です。でも、ずっと疑問だったのです。
音速は気温に左右される事はあっても周波数によって速度は変化しません。
速度は一定です。なんで???というのが10代の私の疑問でした。
で、ようやく分かったような気がします。
フィルターによって低域が若干遅れる。それを追いかけるように
して高域ユニットの位置を後ろにズラしていたのだろうなと。
※勘違いかもですが
低域の遅延は強烈なフィルタをかければかけるほど、
大きくなるようです。世の中にはLPFでもHPFでもない
APFなんてフィルタ(All Pass Filter)があって、これは遅延だけを生みます。フィルタを掛けた結果達と足並みを揃えたい場合に登場するようです。
※アナログ・デバイセズ著「OPアンプによるフィルタ回路の設計」「OPアンプ大全 第3巻」第6章11項に記載あり
なんとなく長年の謎がスッキリと解けたような気がした土曜日でした。
※勘違いかもしれないけどね(^^;
CW250Aは「サーー」というノイズが常時出ているという情報がありますが
CW250Dでそれがあるか確認すると・・・耳をくっつけて確かに無音では
ありませんが「サー」ではなくそれにLPFかけたような目立たない音です。
50cmも離れたら聞こえません。※拙宅の環境では
CW250Dの宣伝にアンプ部のS/Nを高めたと書いてあるので、
確かにそうなのでしょう。
ついでに、フィルタを通ると信号が変形して「歪む」かというと・・・
そうではありません。-6dB/octネットワークの電気的合成が
伝達関数「1」だとかいう有名なお話を出すまでもなく、片方だけみると「変」に見えても合成すると良くなったりする訳で?
そのほか、拙宅にはJBL4344用のアナログチャンデバがありまして290Hzでクロスしていますが、これに1kHz正弦波を入れて出力のTHD+N(全高調波歪み率)を測定しましたら「歪み率 0.0016%」を得ました。
(DACの公称スペックは 0.001%,歪み率計はPanasonic VP-7721A 30kHzLPFをON)フィルタをかける事で信号がグチャグチャになると恐怖されている人は、そんなに怖がる事は無いのかもしれません。
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