電研精機研究所の<<ノイズカットトランス TM>>の報告が多数あがっています。
従来試されてきたノイズの低減を謳う製品とも明らかに違う音質。
特に低音がしっかりするとはいったい何なのでしょうか?
今日はその秘密に迫ってみようと思います。
仮説は、下記のサイトで語られています。
『『『高速電源の罠 – After』』』
本日の日記を読む前に↑こちらに一度目を通しておかないと、意味が分からないかもしれません。
[:image1:]
面倒くさがり屋の人のために少しかいつまんで書きますと、
アンプの電源のコンデンサーを沢山入れて容量を増し、コンデンサーのESR(等価直列抵抗)を低くして電流で充電できるようにする。更にトランスも巻き線を太く大型なトロイダルトランスを採用して瞬時供給電流を可能な限り向上させる。電気配線も高純度銅を採用した蛇のように太いケーブルへ。そんな事をするとどうなるか?コンデンサーへの充電が大電流で行えるようになり、その充電電流は針のように鋭いパルス様の波形になっていく。つまり目指す音質とは逆方向に音が悪くなっていくというのです。でも、消費者は抵抗は低い方が良いと思い込み、高純度の銅を買い求めたり金や銀に手を出したりと、抵抗を減らそうとします。それにメーカーも迎合して?製品カタログでさぞインピーダンスが低そうなアピールをします。
ご存じのように、アンプの電源部は、50Hzあるいは60Hzの電源波形の『頭の部分』 しか 活用できません。それが、一般的な コンデンサーインプット電源 です。その1秒間に50ないし60回(またはその2倍)訪れる充電の機会に充電を済ませます。電気が流れやすければ流れやすいほど、充電は一瞬で完了します。抵抗があれば、下手すると必要な充電を終えることがそのサイクルではできないかもしれません。
その電流波形の例を菊水電子工業株式会社のホームページから少し拝借します。
[:image2:]
電圧は正弦波でも、電気が流れるのが頭の部分だけです。電気が流れやすければ流れやすいほど?電流の波形は横が短く縦が針のように長くなる可能性を持ちます。
先の『高速電源の罠 – After』のAuthorはまさにこの「針のように鋭い波形」を心配していました。これは単にアンプの中だけに留まらず、針のような消費電流はアンプを繋いでいるコンセントにまで悪影響を及ぼします。そう、スパイク?ノイズや「高調波」として。実際に、アンプの電源ケーブルの電流波形を観測すると、ボールペンの先のような電流波形が観測され・・・それが、電研精機研究所の<<ノイズカットトランス TM>>を介すことでそれが短く穏やかになります。
ただ、そこで懸念があります。穏やかに????それってアンプの内部基板(やMOS-FETなどの出力素子)に供給される電圧が電圧降下によって低下しているんじゃないの?という疑念です。
実際、ノイズレストランスやフィルター系を繋ぐのを拒絶するタイプの人は、電気の流れやすさを妨げる「インピーダンスの上昇」というキーワードで恐れています。インピーダンスには実数部と虚数部があるのですが(Z=R+jx)、トランスがRになるとお考えのようなんですよね。まぁそれはさておいて、アンプの電源部のバルクコンデンサとアンプ部のインピーダンスは低く保たねばなりませんが、それよりも前の部分はそうとは限りません。良い例が、真空管アンプのチョークトランスです。一見、電気の流れを邪魔するように見えるチョークトランスが優れた働き(jx)をします。(戦時中は銅など金属資源が不足して、チョークトランスの代替で抵抗器(R)が使われた・・・悲しい時代も)
↓これがチョークインプット電源の回路です。
↓インピーダンスが低くないといけないのはバルクコンデンサとアンプ部
[:image3:]
書籍「真空管ギターアンプの工作・原理・設計」から拝借しました。
[:image4:]
興味がありましたら Amazon で 試し読み できるのでぜひ!!↓
[:image8:]
https://www.amazon.co.jp/B-W/dp/4899774095/ref=tmm_pap_title_0?_encoding=UTF8&sr=&qid=
気に入ったら購入しましょう。私は既に所有してました。
オームの法則から電源のレギュレーションまで色々と書いてありますよ~♪
今すぐ読みたい!そんな人には↓こちら
「超初心者のための真空管アンプの工作、原理、設計まで」
同じ著者で中身も書籍と同じです(^^;
■だいぶ遠回りしましたので、本題に戻りましょう。
こんな感じに 『A級パワーアンプとその電源部』 を模擬することしました。
[:image1:]
裸電球がA級動作のアンプ部で、コンデンサーとトランスが電源部です。この今回使用するトロイダルトランスは定格10Aの2次側が2個あって計20Aが連続出力できる大容量タイプです。昔、最高のパワーアンプを作ろうとしてボツになったトランスです。このまま使うとスッカスカで音が悪いです。
さっそく、コンデンサーに流れ込む電流の波形を見ていきましょう。
[:image5:]
コンセントから電源をとるよりも、<<ノイズカットトランス TM>> NCT-I2から電源をとったほうが電流のピークが25%ほど低いです。あっちゃー、これは抵抗みたいにブレーキがかかってロスしちゃったのかな?と、思ってしまいそうです。
しかし、よーくみると充電時間が長くなっています。これはもしかして、チョークインプットみたいな働きをしている???
とにかく、針のような激しい電流を抑制していることは確かです。
ちなみに、抵抗器を直列に接続して電気の流れを邪魔した場合は、電圧降下が生じますので負荷側の電圧は通常より下がるのが普通です。
さて、裸電球に電気を供給しているバルクコンデンサの電圧はどうでしょう?
裸電球を点燈しているコンデンサの電圧をみてみます。
[:image6:]
[:image7:]
あれぇ?コンセントから直接供給したときよりも、裸電球と灯す電圧は
ノイズカットトランス NCT-I2 から供給したときの方が0.7Vだけ微妙に高いですね。少なくとも、コンセントとアンプの間に何かを挟むとインピーダンスが上昇して電圧が下がってしまうぞ・・・という説の心配は、不要と言えるかもしれません。
※トランス一般のお話ですが、負荷がかかったとき100Vになるように設計されるそうです。無負荷では数%出力電圧が高くなります。拙宅では大雑把に無負荷のときは107Vくらいでしょうか?オーディオ機器のように殆んどの時間、トランスの容量のごく僅かしか使用しない用途では、二次側電圧を少し下げる(巻き線を少し減らす)特注をする場合もあります。
————————-【まとめ】——————————
<<ノイズカットトランス TM>>を使うと・・・
●電気機器の内部のコンデンサ充電電流はピークが低くなり穏やかに充電されるようになる。≒ノイズの抑制。≒電気機器内部の電源トランス振動の抑制
●ピーク電流が穏やかになることで、電気機器自身が電源1次側を高調波(※高周波ではない)で汚す量が減少していると推測される。というか、電気機器とコンセントの間にノイズカットトランスがあるので、そうでなくても電気機器自身が発生させるノイズが家庭の電源環境を汚す危険性はなくなる方向ではある。
●以上の事から<<ノイズカットトランス TM>>は、チョークトランスを積んだ真空管アンプまたはチョークトランスを積んだパワーアンプ(現行製品ならTechnics SE-R1)へ適用しても、劇的な改善は見込めないと推測されます。ほんの少しだけ相手を選ぶ感じ。
●最後に、これは全くの想像ですが、高級電源ケーブルは急峻な消費電流に何かしら作用していると思われますので<<ノイズカットトランス TM>>によってそのような電流が無くなると、その働き・存在意義を失ってしまうかもしれません。つまり<<ノイズカットトランス TM>>の2次側とオーディオ機器との接続に高級電源ケーブルを使用しても、過去にそのケーブルで経験したような感動は最早得られないし、効果や変化を感じる事ができないかもしれない。。。オーディオマニアのどなたか、耳で検証されてみませんでしょうか?
************* 検証動画 Youtube *************
*******************************************
【ダイオードからバルクコンデンサに流れる電流波形の違い・ノイズカットトランス】
https://youtu.be/5KMuTRtXIuI
*******************************************
——————————————————————
このように、外部からのノイズに対抗することを考えるうえでは、
CやRで構成されたノイズフィルターも有効な対処の一つだとしても、
電気機器内部で発生する電流やノイズを抑えるという今回みられた働きは、それらノイズフィルターとは一線を画す働きだろうと思いました。
低域の力が増すという報告も、
平滑整流後の電圧が僅かながら上がっている点と、
<<ノイズカットトランス TM>>が外部からチョークトランス的な働きをさせて功を奏しているのかな?などと妄想をしてみると、納得です。
※私は電気を習ったことがない電気の素人です。
変な事を書いているかもしれないので中身を鵜呑みにしないように!!
<<おまけ>>
もう少し画像を貼れたので、電流波形ではなくて電圧波形をお見せします。いわゆるリプルという奴です。理想的な直流は電圧が横一直線に見えます。
一般的な整流ではこれが50Hzか60Hzまたはその2倍の頻度で上下します。この上下の振れが小さいほど良い直流です。これをリプルが小さいといいます。
●コンセントから給電時のコンデンサー電圧
[:image9:]
●NCT-I2から給電時のコンデンサー電圧
[:image10:]
振れ幅は、微妙に NCT-I2 の方が小さいです。でも、その差は少し。誤差程度かな?
それよりも着目すべきは、波形の角です。NCT-I2の方は、電圧立ち上がりの角が『丸くて』明らかに形が異なります。これは整流によって発生する高い周波数成分がコンセント直接給電時よりも少ない事を示しています。<<ノイズカットトランス TM>>を使用するとやはり、電気機器自身の内部から発生するノイズも減少するようです。
以前の日記に書きましたが、オーディオアンプの電源トランスが、コンセントから来る電気の直流成分が原因で唸っている場合、<<ノイズカットトランス TM>>を挿入することで、オーディオアンプの唸りを抑える事ができました。このように電気機器の内部の『振動』を少なくする事も、音質が良くなるという評判へと繋がっていると思われます。ただ、この直流重畳を原因とする唸りを抑える効果は<<ノイズカットトランス TM>>特有のものではなくて一般のアイソレーショントランスでも得られるはずです。当然、オーディオアンプの電源トランスが唸らなくなった代償に、アイソレーショントランスが唸るという事が起きますので、置き場所は考える必要があります。注:トランスは大なり小なり唸るモノです。唸りを無くす事は出来ません。気にならない程度に抑えるのみです。
コメント ※編集/削除は管理者のみ