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「直伝:イマーシブオーディオ再生技法」セミナーに参加しました。

日記・雑記
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東京都江東区辰巳にあるWOWOW放送センター内の試聴室、スタジオ機器で有名なMusikのSP群で構成された我々にとってはイマーシブオーディオの聖地と言える場所で開催されました。セミナーの内容はdonguriさんの記事PhileWebの記事で詳細に既に報告されていますので、少し趣向を変えて、まずは試聴室のSP達から。

【WOWOW試聴室のSP達】

(WOWOW試聴室のフロントSP達

   WOWOWスタジオのSP達まず目に着いたのは、上の写真のように、正面にサイコロ形状のアクティブスピーカーが5つ並んでいることです。試聴室の広さはざっと見10mx10mより少し大きいくらい。その中で見るこれらのアクティブSPの大きさは意外とこじんまりとしているので、どのくらいのウーハーのサイズかと、そばに寄って手のサイズと比べてみました。結構大きい!15インチ程度はあるサイズのウーハーでした。後で調べてみると恐らく400mm径のウーハーを備えたMusik RL901であることが分かりました。

低域 400 mmコーン

中域 125 mmコーン

高域 25mmドームツィーター

ウェブサイトで調べたカタログ特性がこれです。25Hzでー6dB程度で素晴らしい特性。

(Musik RL901 3Way同軸アクティブスピーカーの周波数特性)

一方、サラウンドやハイトSPはもう少し小型で2Wayのアクティブスピーカーで、多分Musik RL940ではないかと思います(下の写真参照)。

使用ユニット:低域 205 mmコーン、高域 25 mmドーム

少し小型とは言え、周波数特性は大したもの!38Hzでもー6dB程度のようです。

(サラウンド側の様子、右側のPC画面奥はセッティング中の入交先生)

(サラウンドSP、Musik RL940?)

(wowow試聴室のサラウンドバックSP達、中央の方は麻倉先生)

この試聴室は無補正(デジタルルーム補正無しと言う意味)で、ベースマネージメントもしていないと聞いています。これらのSP特性を見ると納得ですよね!!

そうそう、正面下側の二つのSP(大きな方)は多分LFE用のアクティブサブウーハーで、恐らくMusik BASIC14Kです。これも、400㎜径のウーハーを備え、1kWのアンプで駆動、25-120Hzをカバーします。

SPの配置はAURO-3D(多分7.2.6)仕様とATMOS仕様が2種です。ATMOS仕様の2種の違いはフロントハイトにあるようで、仰角などが少し違うとか。この違いを聞き分ける試聴もありました。写真にも少し映っていますが小ぶりなスタジオ風のコンソールがあり、それで再生、音の調整などをされておられました。私が着いた時は入交さん自ら調整作業をされている最中でした。サラウンドバックSP奥の椅子に座っておられるのは、かなり早めに来られて待機中のオーディオ評論家の麻倉怜士さん、この後セミナー進行の打ち合わせがあり、午後2時にセミナーのスタートでした。

リスニングに使った音源は、192kHzのサンプリングレイトのマスター音源(ミックスはされたもの)とこれを基に、Auro3D(恐らく96kHz/24bit)とATMOS(恐らく48kHz/24bit)のフォーマットにエンコードしたものを使うとのことでした。

【22日のセミナー風景】

(セミナーの風景、 左側が講師の入交先生、右側が司会の麻倉先生)

まず、Auro-3D友の会のグランドスラムさんから開会のご挨拶があり、その後、麻倉先生の司会でセミナーが始まりました。会場は勿論満員、入場の案内役を務めていたので、試聴室には最後に入りほぼ最後尾のサラウンドバックSP近くの席で試聴、少し残念(笑)。最前列から1~3列目がベスポジだったと思います。講師は勿論、WOWOWのエグゼクティブクリエイターの入交英雄さんです。

【第一部:イマーシブオーディオ講義】

音場、温度、風の音の進行への影響や、(方向性、経時)マスキング、先行音効果(ハース効果)の話、また制作スタジオと一般のリスニングルームの違いなどに関する詳細な話と実演がありました。以下、私が面白いなと思った点をご紹介します。

『マスキング効果とその低減法』

(経時マスキングの説明図)

多くの楽器が同時になると再生音が混濁し易いのはオーディオ好きの我々には頭の痛いところですよね。その原因の一つがマスキングです。写真はその時のスライドの一つ。大きな音が鳴った後に次の音が鳴ると、後の音は先行音にマスクされて聞こえ難くなるという図です。経時マスキングと言うそうです。時間だけでなく、周波数が異なる二つの音が同時になる場合も、周波数が近いとマスキング効果が大きくなるという現象も起こるそうです。これらは実演付きで説明があり、実感することができました。周波数が異なる場合高音側がマスクされ易かったと記憶しています。

もう一つマスキングはイマーシブオーディオの重要な点で、角度を変えることによって、マスキングを低減させられるということでした。同じ周波数、同じ時間に二つの音源があったとしても、聞こえる方向が違うとマスキングされにくいという現象です。これ故に、多数のSPを使って広い音場に音を分散させたれるイマーシブオーディオは高分解能であると言える・・ということです。

『音の方向感』

じゃあ、その音の方向を感じさせる要因は何かと言うことについての講義もありました。写真はその時のスライドの一枚。45°右の方向から音が来る時の左右の耳の、①時間、②音量、③入射角度が音源の距離によって異なることが示されています。

(方向と距離の違いによる両耳に届く音の差)

重要な点は、以下のようなものです。

1)音源が近いと左右の耳の間の①時間差、②音量(レベル)、③入射角度差は全て大きい。実演付きで2ch再生でL/Rの①時間差(位相)、と②音量差が同様に音の聞こえる方向を回転させることを実感できました

2)音源が遠いと左右の耳の間の①時間差は同じ、だが②音量(レベル)、③入射角度差は小さくなる。

面白いと思ったのは、音源が遠いと、位相差が方向感を支配するんだなあ~と言うことです。位相はやっぱり重要ですね!

【第二部:イマーシブ音源の試聴】

ざっとご紹介をします。

1) 京都市交響楽団が収録した「マーラー:『千人の交響曲』」

PhileWebの記事にもありますが、22日もこの曲を使って、マスター録音、Auro-3DATMOSの聞き比べを詳しく行ったように記憶しています。残念ながら、私の位置(サラウンドバックSPの間)では、これらの差はほぼ判別不能でした(残念!)。勿論これだけでなく、以下の音源達でも2ch、5.1ch、ATMOS、Auro-3Dなどの音の差を聞かせて頂きました。

2)林間部でのせせらぎや野鳥の声の録音

心休まる気持ちの良い音でした。この音源欲しいなぁ。下側の写真はその時のマイク配置。

3)バチカンなどの大聖堂での教会・クラッシック音楽

天井の高さが100mもあるバチカンの大聖堂やその他の大聖堂での演奏音源。高さを表現するのが得意のAuro-3Dの本領発揮でした。

4)Jazz:山本剛トリオ、Bob Jamesトリオ

Auro-3DのJazz音源が少ないのはJazzファンの私にとって最も痛いところですが、この二つの音源は素晴らしい。山本剛トリオの音源は今年中には発売されるとのことですが、Auro-3DのBDは未発売。発売日がホント待ち遠しい!。

一方、Bob James トリオの音源は勿論購入済み、この時の再生は、席を少し前に移し試聴しました。流石にピアノの音の実在感は大したもの。実は、このトリオはBlue-Noteで目の前で生を見たことがあるんです。写真はその時のものです。ピアノの音は、生の音(もちろんBluenoteのPAも含む音)より良かったように思います。これ、2ch録音の音源に、Auro-3Dのギャラクシースタジオで作製した環境音(スタジオで2ch再生して録音)を付帯音として作ったものだそうです。Jazzの有名録音全てを是非こうして欲しい!、^o^/。

【第三部;Q&A】

質疑内容を控え忘れてしまいました(汗、笑)。現在は2chだがイマーシブオーディオに興味があり、大変勉強になったという方を始め、オーディオルームセッティングのプロからのご質問などもあったと思いますが、割愛させて頂きます。

と言う風な状況で、非常に充実した、楽しい一日でした。イマーシブオーディオ同好会各位、Auro-3D友の会各位、また入交先生、麻倉先生お忙しいところ本当にありがとうございました。また、お目に掛れることを楽しみにしております。

 

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. Tomyさん

    さすが、エンジニア・理論派のTomyさんらしいご報告、素晴らしいです!採点業務は終わったばかりですが、このレポートには「S」を差し上げたいですね(笑)。

    私が担当した二日目と、麻倉先生が担当した一日目では、少し内容に違いがありまして、Philewebさんが記事にしてくれた方は二日目で、この日は山本さんのJazzは無かったのでTomyさん的には初日でよかったかもしれません。

    初日は一般客が多く、二日目は業界関係者が多かったので、前者は麻倉先生のご提案で「なるべく多くの種類の音楽を、Auro-3Dを中心に聴いていただく」という方針で、後者は入交さんと私との事前打ち合わせの中で、セッティング方法について重点を置く、という方針を立てました。

    実は今回は入交さんにかなり「論理的にAuro-3Dの優位性を説明したい」との強い希望があり、前半は大学レベルの「音響学」の講義のようになりましたよね(笑)。人によっては理解不能な部分があったようですが、TomyさんやDonguriさんのような方には満足度が高かったようです。二日目の内容はCmiyajiさんに記録用の録画をしていただきましたし、入交さんと何度も相談して作った進行案のメモも手元にあるので、そのうち、詳細な講義ノートを(誰かが・・・笑)公開できるといいのですが。

    常々、入交さんは、先行音理論、平面波理論など「Auro-3Dは最新音響工学の理論に基づく、非常に科学的で合理的なフォーマット」であることを強調しておられ、今回も、そのいくつかの「理論」が説明されていましたが、Tomyさんがこの記事で取り上げた「マスキング効果」もその一つですよね。音の出どころが1カ所(Mono)や2か所(Stereo)だと、周波数帯の近接している音は大きい音や近くからの音に消されてしまうという現象で、例えば弦楽四重奏曲などでビオラの音がバイオリンの音で聴こえにくくなる、というようなことが2chステレオだと起きているのですが(気が付かないだけ)、Auro-3Dのように出音の場所(耳への入射角)が複数ある(実際のLiveだとホールの反射音)と両者の違いが正しく耳で聴きとれることが可能になり、結果、こんな音が入っていたのか、と、「解像度が上がる」。

    これ、よく、ピュア派の人の中には「食わず嫌いで」(笑)、「マルチchは音のピントを合わせにくいので<解像度が下がる>」と<思い込んで>おられる(実際、今回の参加者から主催者の私の元に届いた感想メールにも、「マルチchで音楽を聴くなんて邪道だと思い込んでいました!目から鱗です!!!」というメールをくれた方が複数おられました)方がおられます。

    実際は逆で、弦楽四重奏曲などの一音一音が2chよりAuro-3Dの方がくっきりするのは誰でも聴けばわかるんですが、「マルチchは映画用」と決めつけている人が多いので(ショップもそのように売り込んでいる)、そもそもそれで音楽を聴く機会を持とうとしない・・・(泣)。

    「体験すればその良さは誰でもわかるのだが、肝心の体験できる場所が少ない」、というのがAuro-3Dの普及のネックの一つとなっていて、それゆえに今回のセミナーに参加してくださった一般の方やショップの方(某オーディオ評論家は自宅のAuro-3D化を決めたそうです!)などが、1システムでも多くAuro-3Dシステムを揃えていただいて、友人やお客さんに聴かせる機会が増えることが、企画側の狙いですので、Tomyさんも引き続き、今回得た「うんちくと共に」(笑)、オーディオ仲間にAuro-3Dの音を聴かせてあげてください!!!

    • Auro3Dさん、レス有難うございます。

      レポートの内容はdonguriさんとあまり被らないようにと思ったので、私の興味の順、および時系列順で書いたんですよ。WOWOWのスタジオは初めてでしたから、視聴室に入ってまずしたことは、入交さんに「機器の写真撮って良いですか?」と確認して、Musikの写真を撮ったことです。実際、30㎝口径のウーハーくらいに見えたので、近寄って、手のひらのサイズ(広げて親指と小指の先のサイズ)と比較すると、約2倍もあり、15インチやな~っと思ったのが大変印象に残っています。レポートの内容は「s」を貰えたので、良かったです。ちなみに、私の時代には「s」は無かったですけど・・笑?

      二日目はプロの方が多くて、1日目とは雰囲気が違ったようですね。
      Auro-3Dは音が良いので、是非もっと普及してほしいですね。

      • Tomyさん

        そうでしたね、Tomyさんは、あのWOWOWの「入交スタジオ」に行かれたのは今回が初めてでしたね!(私は4回目かな…笑)。

        あそこは、普段、WOWOWで放送する前のオリジナル作品を、Executives に「最終審査」をしてもらうためのお部屋だそうで、だから普通の録音エンジニアのモニター用のスタジオよりはるかに広く、Sweet Spotsは数人分(3×3=9とか)確保されているようです。私の司会の回では、誰もがSweet Spotsの音を体験できるように最後の曲では座席を自由に移動して回遊させたのですが、初日はそのような工夫は無かったようで、残念でしたね。

        ただ、お気づきになったと思いますが、あそこは、「本番配信直前の、最終チェック=あら捜し」をする場なので、一般家庭のリスニングルームより、かなりdeadです(壁中に吸音シートが貼ってあるのに気が付かれましたか?)。さらに当日は満員だったので(しかも冬だから服も分厚い!)、設計値以上にdeadだったと思います。

        ゆえに音色に潤いというか艶が少々足りなかったとお感じになりませんでしたでしょうか?初日は『Magnificat』を、二日目は『LUX』という、それぞれ一般人でも入手可能なBDの再生を今回は企画に入れていたのですが、K&Kさんなんか、「Auro3Dさんの家の再生音の方が僕は好み」なんて耳打ちしてくれたぐらい(笑)、音色は一般家庭のものとはかなり違っていたと思います。これはムジークのプロ用モニターだからという部分もありますが、お部屋が相当「普通じゃない」ですよ、あそこは(笑)。

        でも音色はともかく、音場と音像はやはり緻密な設計に基づくプロのお部屋らしいものなので、Auro-3D再生のReferenceを体験された意義は大きいと思います!

        今度は奈良の入交さんのシン・スタジオでTomyさんが真っ先に体験して、是非報告してくださいな!!!

        • Auro3Dさん、レス有難うございます。

          >私の司会の回では、誰もがSweet Spotsの音を体験できるように最後の曲では座席を自由に移動して回遊させたのですが、初日はそのような工夫は無かったようで、残念でしたね。

          これは打ち合わせでは一日目も行う予定だったので、期待していたのですが、何故かなかったのです。2日目はあったとのことで良かったです。

          私のいた席はかなり後方でそのために、音が今一つびしっと来ないのだろうと思っていました。スイートスポットでも、潤いが少なめだったのですね。スイートスポットで聞いておられた方々にレポートして頂けると有難いですよね?これから機器を構築しようと思っている方に、Musikの音のレポートがあれば大変参考になるでしょうし。

          奈良の入交スタジオは楽しみです。

  2. Tomyさん

     donguriのレポートとかぶらない、しかも詳細なレポートをありがとうございます。
    特にスピーカーについては自分ではとても調べる根性がないのでありがたい情報でした。
     あのスタジオに入るなり感じたのが、デッドだな!ということでした。
    マルチチャンネル再生には向いているが、ステレオだと響きが寂しすぎるなあという印象をもちました。
     個人のリスニングルームやホームシアターの音響の至適ポイントって何なんだろうと考える今日この頃です。

    • donguriさん、レス有難うございます。

      donguriさんの視聴位置は写真から推測すると、前から2~3列目の右端だったでしょうか?音質の印象、音像感の印象をもう少し詳しく聞かせて頂けると有難く。私の印象(後方で聞いていた)は、①予想していたほどはデッドではなかった ②後方では低音の質と量は共にかなり良いが、中高音は少し物足りない、③詳細な音像配置は後方位置では分からない、それで視聴位置のために十分には判断できないのだろうと思っていた次第です。ど真ん中のスイートスポットでの音のレポートが欲しいですよね?友の会の方でど真ん中で聞いていた人いたかな?

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