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ハイドン・ランダムノーツ5:ビーチャムとサンデルリンクを聞く

日記・雑記
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                     2021年11月23日

今日は午前中、寒い風がピューピューと吹いて
外出時はさすがに今シーズン初めてダウンのものを羽織りましたが
陽が陰ってくると、今度は底冷えの感じがしてきてます。。。
そんな晩秋から初冬の今日この頃
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

今日もハイドンの音楽のお話ですが
事の始まりはこの本でした。

村上さんといえばジャズというイメージが先行しがちですが
小澤征爾さんとの対談集では、クラシックにも造詣が深いことを
われわれ読者に初めて印象づけたように思います。
事実、私もかなり面白いと思って、読んだ記憶がありますし
聞くべき要所を外さないセンスの良さに、さすがだな~と
思ったものでした。。。

その村上さんのクラシックのレコード棚をのぞいてみた感じの書物が
この『古くて素敵なクラシック・レコードたち』だったのですが
ハイドンのシンフォニーのレコードも紹介されていて
94番「驚愕」のやや古めのもの(50~60年代のもの)4枚から
ベストな1枚ということで選ばれていたのが
ビーチャム指揮ロイヤルフィルのレコードでした。
51年録音のモノラル盤(spotifyでは聞けました)を
村上さんはイチオシされていましたが
57年のステレオ盤は入手も容易だったので聞いてみたというわけです。

「Haydn – Symphony No 94 ‘Surprise’ – Beecham, RPO (1957)」
https://www.youtube.com/watch?v=LBa1_A6b1BE

「春風駘蕩」
村上さんはビーチャム盤をそう評しています。
寒くなってくると春風にあこがれ。。。という気分でもないんですが
俊敏系のハイドンばかり聞いているのも芸がないかという思いもあり
荘重系の演奏に親しんでみよう!という意気で聞いてみたのです。

聞き始めた最初のころは
「意外にメリハリはある感じ」ぐらいの印象がしたなんていうと
失礼でしょうか。。。
現代的なハイファイ感はありませんし
演奏全体に漂うゆったりしたムードは
のんびりした気持ちに聞く者を誘ってくれるのですが
でも溌溂とした部分や勘所の部分は、ノッて聞いていけるし
ハイドンのシンフォニーの本質にある
ある種の上機嫌さのようなものにはアクセスできる演奏だな~
というぐらいの印象だったということです。

しかし何回か聞いていると
不思議な境地が眼前(耳前?)にあらわれてきます。
肩の力を抜いて聞ける分、スッと上機嫌さにアクセスできるのです。
なるほどな~と腑に落ちる感じがしました。
「春風駘蕩」の評にも、うなずけるものを感じた瞬間でした。。。

そうすると他の荘重系シンフォニーにも
俄然興味がわいてきて、行きついたのが
サンデルリンク指揮 ベルリン交響楽団の演奏による
パリセット6曲を収めたアルバム(1971年)でした。

「Haydn – The Complete Paris Symphonies 82-87 L’Ours, La Poule, La Reine + P°(rf.rc.: Kurt Sanderling)」
https://www.youtube.com/watch?v=jplhJGuu8Dw

とても定評のある盤でしたが
独特のホールトーンっていうんでしょうか
ゴージャスな響きがまずは印象的。
そのゴージャス感で立派に聞こえすぎかな~と
最初のうち思わされたのですが
ちょっと引いた感じや弱音部の箇所にも
神経が行き渡っている感じが徐々に理解できて
演奏・指揮ぶりに没入していける懐の深さを感じるように
なっていきました。。。
ビーチャム盤より居ずまいを正して聞く感じではありますが
これはこれで気分がとてもよろしい。
おそらく万人受けするタイプのハイドンのシンフォニーじゃないかと
思いました。

さて、さらに深入りしてみるべく
こんどはサンデルリンク指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏で、
45番「告別」、104番「ロンドン」の2曲を収めたLP(1967年)を
「ハイドン音盤倉庫」さんで教えて頂き、
ヘリオドール国内盤(オリジナルはエテルナ盤?)の中古を入手。

「Kurt Sanderling – Joseph Haydn」
https://www.youtube.com/watch?v=HNEvm7lULtE

カートリッジもELACのSTS-455-Eに使用できる代替針を
JICOで新調し、万全の準備でお迎えいたしました。。。

これはもう「告別」が絶品なんじゃないでしょうか。
ローファイなんていうのは憚られるのですが
ちょっとくぐもった霧の中から
そのミストと混然一体となったオケの響きが聞こえてくるのです。。。

それがSTS-455-Eのトレースぶりとも相まって
なんともいえない趣を醸し出すのです。
このカートリッジ、最近のものとくらべると
低音がたっぷり出るのですが
バランスを失わない程度に高音も聞こえてくるという
ちょっと不思議な魅力があり
それとのマッチングが良かったのでしょう
ディープなミストを深く堪能できる
俊敏系の対極にある演奏に出会えた気がしています。。。

こうしてハイドンのシンフォニーを巡る小さな旅をしてきてみると
自分自身の変化にも思いをめぐらせないわけにはいかなくなるのですが
俊敏系の典型のような
アントニーニによるHAYDN 2032のシンフォニーを聞き込んだ経験が
やはりばねになっているように思います。
幅広い解釈・音質(録音)を受け入れる素地ができてきたと
思うからです。
これからハイドンのシンフォニーもどんどん聞いていける
そんな愉しみを得たこの晩秋でした。

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