以前から「いつかSMEの309欲しいなぁ」とか思ってはいたのですが、ある日名古屋のオーディオショップのHPで、素敵な中古アームの出物を見かけてしまったのです。SMEのSeries Vです。古いものとはいえショートアームのハイエンド。私には過ぎた品ではあることは重々承知しているのですが、このような機会を逃すことは出来ませんでした。
我慢しきれずくだんのショップに出向いてしまいました。基本的なアプローチを知りたい場合、正直に問うのが良いと思っています。「トーンアームを良い物に替えて、音は変わるものなのですか?」。
社長曰く「ダイナミックバランス型の音は全く違うので、直ぐ分かるでしょう。調整に当たっては、マニュアルの設定どおりで終わってしまわれる方が多いのですが、必ず音を聞きながら調整をしていただきたい。針圧、インサイドフォースキャンセラー、オーバーハングさえもマニュアル記載値どおりで良いわけではないのです…」と。
ところでこのSeries Vですが、前オーナーさんは付属品をほとんど処分してしまったようで、残っているのはアームケーブルとシェル用金具1セットのみ…。社長さんは代理店より「入手可能なパーツを全て」取り寄せてくださいました。しかし残念なことにアライメントプロトラクター及び星形ドライバーと思われるHTAキー・VTAスクリューは入手できませんでした。専用工具が無くても、ベース固定ボルトを緩めて調整できるとのことでした。オーバーハングの調整に必要な「アライメントプロトラクター」が無いのは致命的かとも思いましたが、幸いM2-9用のゲージが使えそうです。ところでバーツ取り寄せはかなりコストがかかるそうで、六角レンチ1本でCDが買えるとの噂も…。これだけのパーツ取り寄せで、いくら掛かったのか、怖くて聞けませんでした(笑)[:image1:]
オーバーハングは専用ゲージでセットが簡単です。やはり高さの調整は一番手間がかかります。工具がないので、両手で少しずつ動かして調整します。ところで「HTAキー」って何だったのだろう?
さて、肝心の音ですが、とりあえずショルティの悲愴を掛けてみました。[:image8:]
聞き始めると、なんだか針を上げたくなくなってしまう。[:image10:][:image9:]写真の左上で、M2-9が少し寂しそうにのぞき込んでいますが、もうすぐお立ち台が手に入るので、それまで待っていて下さい(笑)
第一印象は彫りの深いダイナミックな音(プラシーボ効果もかなりあると思いますが)。しかし最初の音出し時点で以前のM2-9では出なかった盛大なハムノイズが乗ってしまい、「すわアームの不良か?」と思いましたが、色々とチェックしていき、フォノイコの位置を動かすとノイズ量が増減するのが判明したので、アームケーブルで拾っている可能性が高そうです。また原因は不明ですが、「サー」というサーフェスノイズもかなり乗っています(もちろん針を落とす前の状態)。とりあえずはハムノイズの原因究明あたりまでで、今日は時間切れとなってしまいました。
このアームのデザインは、機能美の一言で、すばらしいものだと思います。[:image7:][:image5:][:image4:][:image3:][:image2:]針圧及びインサイドフォース調整は無段階の(かなり硬い)ダイヤル式です。またアームの動きをオイルでダンプする独特のフルードダンパー機構が装備されており、ダンピング量の調整でも音が変わるようです。[:image6:]
取りあえず当初は社長さん推奨の「ダンピング無し」状態。
難点はシェルがアーム一体型なので、カートリッジの交換が大変なこと(R-1000cosmosにようなスケルトンタイプは超デンジャラスです)。また前述のフルードダンパーは、横にするとオイルが漏れます。本来は一度オイルを拭き取ってからカートリッジを交換するべきなのですが、それを忘れていて、そのままその作業をしてしまいました。オイルの硬い冬場だった為か、ほとんどこぼれませんでした。裏を返すと、季節によってダンピング量を調整する必要があるのかもしれません。ちなみにお店の社長さんは「フルードダンパーの無い音の方が好き」とのこと。なるほど調整ピンもかなり上げてあります。
あとダイナミック型の特徴なのか不明ですが、アームの下りる速度が非常に遅いです。音は出ますから針圧が掛かっているのは間違いありませんが、これは針圧計が必須の予感…。
追加のアームベースとモーターベースが届けば、ダブルアーム化して、音の違いももっと確認出来るのではないかと思いますが、これから耳を鍛えてセッティングを詰めていくのは大変そうです。
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