タリス・スコラーズ＠ミューザ川崎

タリススコラーズは、世界最高峰と言われるアカペラ声楽アンサンブルです。教会で演奏する宗教曲なので、初めて聴きますし予習もしなかったです。ではなぜ聴きに来たのか？、第1には声楽の発声とハモリを学びたかったこと、第2にはアカペラ演奏をオーディオ目的で耳に焼き付けたかったこと、第3にミューザ川崎でアカペラの声楽アンサンブルはどう聴こえるかを確認したかったことです。ですが、聴いたあとは、気持ちは別のところに持っていかれました。

<出演>

指揮：ピーター・フィリップス 合唱：タリス・スコラーズ

<曲目>

　ギボンズ：手を打ち鳴らせ

　ウィールクス：いと高きにある神に栄光あれ

　トムキンズ：神よ、高ぶるものが逆らって立ち

　ミューリー：ラフ・ノーツ

　パーソンズ：おお、慈悲深きイエス

　アレグリ：神よ、われを憐れみたまえ（ミゼレーレ）

　パーセル：神よ、われを憐れみたまえ（9声のミゼレーレ）

　ゴンベール：ダヴィデはアブサロンを憐れみぬ

　ジョスカン・デ・プレ：アブサロン、わが息子

　A.ペルト：息子はどこへ

◇要は初めて聴く曲ばかりです。

座ったのは、最前列のセンターです。救済サイトにこの席が出ていたから行くことにしたと言っても過言ではありません。ミューザで聴くアカペラの声楽アンサンブルならこの位置が最高と思ったからです。

実際にこの席で聴くタリス・スコラーズはよかったです。最前列でも歌手陣との距離は5m位離れていましたので、一人一人のきれいな歌声が聴けて、ハモリも心地よく響き、少し遅れて届くホールの響きに包まれる感覚は天に昇ったような気分でした。そして一人一人の歌声は極上です。決して無理して歌っている様子はないのですが、透明な歌声がブレずに音程がびしっと決まるので、ハモリが美しい。この歌声を2000名規模のホール中に届ける声量もさすがです。声の通りの良さは、歌声に響きが多いからでしょう。オペラ歌手の驚異的な歌声にはいつも驚かされますが、5声の合唱でこの歌声ですから、世界は広いことを実感しました。

しかしながら、さすがに初めて聴く宗教曲です。第1部では心地よくて目をつぶって聴いていたところ、途中からすやすやとしていたようです。第1部終わりの拍手で、はたと気づき慌てて拍手をしました（笑）異教徒に対しては狙い通りなのかなと自分に言い訳しておきます。

感動が走ったのは、第2部冒頭に歌われた”アレグリ：神よ、われを憐れみたまえ（ミゼレーレ）”でした。ステージ上で5声/5名が歌い、4階の最上部から5声/5名が歌いました。心が洗われるなんていい曲なんだろうと思い、地上と天上からの掛け合い歌う様からは、えもいわれぬ荘厳さを感じ身も心も震える思いです。この感動は初めて聴くからこそ大きかったのでしょう。この1曲を聴けただけでも満足でした。

帰りの電車の中でもこの曲のことが忘れられずに、帰宅後にはさっそく音源を物色しました。

タリス・スコラーズのアレグリ：ミゼレーレ

よさげなCDが見つかりましたので、さっそく注文しました。早く聴きたくてウズウズしながらオーディオで聴いたのですが、コンサートの感動は蘇りませんでした。教会録音でしたが、響きが多くてもう一つ歌声が響いてきません。男声がリードする演奏ももうひとつです。地上の歌声はよいとしても、天上から降り注ぐはずの歌声が地上と同じ位置から聴こえてくるのも違和感を感じました。この曲はAuro-3Dで聴きたくなりますね。

いいわけは数々ありますが、自宅のオーディオ再生もまだまだだと思いました。もしかするとソフトの影響もあるのかもしれません。この素晴らしい曲を満足して聴けるようになるまでは頑張らないとです。