ムンサラット(モンセラート)、ヌリアという女性の名前のうんちくを
前回の日記で披露したのは、やはりカタルーニャ出身の二人のソプラノ歌手
モンセラート・カバリエとヌリア・リアルを意識してのお話でした。
実はヌリア・リアルのアルバムは、このところよく聞いていました。。。
きっかけは、先日リリースされた
ボッケリーニの「スターバト・マーテル(悲しみの聖母)」と
「シンフォニア」を収録したアルバムを聞いたことでした。
「Boccherini: Stabat Mater」
https://www.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mYyo0KwUS9NCowz05i2t8vuuEFu1ojGRc
この人の歌声になんだか魅かれるところが私にはあって
それは世評でいわれているところの「清楚さ」というのも
もちろんあるのですが、発表されてきた楽曲のセンスというか
音楽的なスタンスに好感を覚えてきたということも背景にあります。
彼女の歌声に最初に出会ったのは、
クリスティナ・プルハール率いるラルペッジャータという
前回ご紹介したレオナルド・ガルシア・アラルコン率いる
古楽グループ「カペラ・メディテラネア」と似た趣きを持つ
というか、その先駆けとなったといえそうなグループの
アルバム数枚に、彼女が客演していたころです。
例えば、プルハール&ラルペッジャータ
『メディテラネオ~地中海音楽~』(2013年)は、
古楽器の編成で、地中海沿岸諸国の民族音楽を
ジャズ(やカントリー)の風合いもある演奏で提示してみせた
ということでいうと、前回ご紹介の
『スペイン古楽、ラテン音楽の「いま」と出会う』と
コンセプトの類似性を大いに感じる音楽で、
個人的にはけっこう好きなアルバムでした。
次にヌリア・リアルの歌声に接して印象に残ったのは
ギターのホセ・ミゲル・モレーノと組んだ
スペインの古い歌謡の作品群です。
現在はストリーミングでしか聞けませんが
『スパニッシュ・アルバム』(2011年)なんかは
CDでぜひ再発してほしいアルバムです。
「The Spanish Album」
https://www.youtube.com/playlist?list=PLyo9icJXXuACstDeVQWgeNUH1RYqHSmO8
そして最近出会ったのが、この2枚のアルバムでした。
「アヴェマリア」(2008年)
「ハイドン:オペラのための挿入アリア集」(2009年)
CD通販のアリアさんのニュースに詳しいです。
http://www.aria-cd.com/arianew/shopping.php?pg=99/99new01
以下、私より魅力を上手に解説されているので
少し長く引用させてもらいます。。。(汗)
「アヴェマリア」に関しては
「ヌリア・リアルが独ベルリン・クラシックスで録音していた初期・中期バロック秘曲集。バロック弦楽作品とリアルの歌う声楽作品がいい按配で配置されてます。とてつもない名曲があるわけではないのだけれど、リアルの清楚な歌と、初期バロックのストイックな楽想が切ないほどマッチ。何度聴いても、というか何度でも何度でも聴きたくなる愛らしいアルバム。」
「ハイドン:オペラのための挿入アリア集」に関しては
「ハイドンの中でも大変珍しいアリア集。これらの作品は、ハイドンが他の作曲家のオペラに追加挿入したものです。エステルハージ家の大宮廷で他の人気オペラを上演するときに、ハイドンは適宜自作のアリアを挿入して上演していたということなのでしょう。。。なんですが、実際はこれらのアリアは、エステルハージ家お抱えの歌手、ルイジャ・ポルツェッリのためにハイドンが作曲した作品と言われてます。ルイジャ・ポルツェッリ。。。このアルバムのタイトルはArie Per Un’amante「恋人のためのアリア」。。。
そう、鋭い。ハイドンはルイジャ・ポルツェッリを愛してたんですね。
30歳も年下で容姿端麗のポルツェッリ(ハイドン40代後半、ポルツェッリはまだ10代。。。)。ハイドンには有名な悪妻が、ポルツェッリにはお爺さんの旦那がいましたが、二人は深く愛し合ったみたいです。」
特に後者のアルバムに食指が動いた方もいらしたのでは。。。(笑)
こういう切り口でハイドンを料理して見せたセンスが
なんかニクイって気がするのです。。。
さて、そんな来歴をお話しした後で
話を冒頭のボッケリーニの「スターバト・マーテル」に戻します。
いつもの彼女の歌声です。
第一に透明感を感じるってことはあるのですが
何度も聞いていると、ふわっとした中に感じる情熱っていうか
芯の太さのようなものに魅かれている自分を
感じるようになったのです。
そんな折、モンセラート・カバリエを聞く機会がありました。
ちょうどモンポウの歌曲を聞いていたときに
「ああ、モンセラート・カバリエもヌリア・リアルも
やっぱり同じカタルーニャの女なんだな~」
と思った瞬間が訪れたのです。。。
単なる思い込みかもしれないと承知で心情を綴ってしまうと
それは上で述べた
ヌリア・リアルの「スターバト・マーテル」で感じた思いでした。
モンポウの歌曲を歌う30代のカバリエは
オペラのときのようなヴィブラートはやや影をひそめた感じで
若い女性特有ともいえる物憂さをたたえた様子で
そこにリアルの面影を感じ取ったということなのだと思います。
というわけで、このところ
このふたりのカタルーニャ生まれのソプラノの歌声を聞かぬ日は
なくなってしまいました。。。
妙な漂流をしている気もしますが
二人の歌心に誘われての漂流は
まんざら悪い気もしない今日このごろなのでした。。。
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