大地へのアースをどのようにとるべきかやアースループについての議論を時々目にします。
アースループがあると外部磁界などの影響を受けてノイズ源になることはEDさんが記事にされています。
全くそのとおりです。
でもアースループの弊害はそれだけではありません。
アースループによる迷走電流の影響を理解しておいた方がいいと思っています。
頭の中で考えているだけではわかりにくいので図にしてみました。
実際にはステレオなのでLとRについても考える必要があるのですが、簡単にするためにここではモノラルで考えてみます。
まずは1点アースの場合。
[:image1:]
この例ではCDプレーヤからのみ大地へアースをとっています。
CDプレーヤー、プリアンプ、パワーアンプの外側の四角いボックスはシャーシ(ケース)だと考えてください。
この場合赤線で示したプリからパワーへの+側の信号電流はパワー側の入力抵抗を経由してーラインから同じ電流がプリに帰ってきます。
他に流れるルートがないからです。
CDプレーヤー、プリアンプ、パワーアンプからそれぞれ大地に接続してしまったのが次の図。
[:image2:]
この場合、プリからパワーへの+側の信号電流はパワー側の入力抵抗を通った後、プリとパワー間の接続ケーブルのー側に流れる電流とアース線を通ってプリに戻るものとCDプレーヤのー側まで経由してプリに戻ってくる3通りの経路をたどることになります。
戻りの電流ルートをオレンジ色の矢印で示しています。
各経路の電流量はそれぞれのルートのインピーダンスの比によって決まります。
ここでCDプレーヤからプリアンプに供給される信号の電流経路を重ね合わせてみます。+側から供給される青の矢印で示した電流は水色の矢印で示された電流に分かれて戻ってきますが、プリとパワー間のオレンジ色の矢印の電流と干渉することになります。
図の線は実際にはインピーダンスを持っているので電流が通ることで電圧が生じ、それが信号の質に影響を与えます。
というわけで多点アースにすることで本来流れるべきではないところに信号電流が流れ、電流の干渉によって結果的に信号が汚されることになります。
多点アースの最大の問題がここにあると考えています。
さらに実際にはステレオなのでLとRのー側の電流はLRが混じったものになり、より複雑な汚染状態になりますが、これについては別の機会にまわしましょう。
私の自分自身の頭の中を整理する意味で図にしてみましたが、これで少し理解しやすくなるのではないかと思っています。
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