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クラシックの「原音再生」とは?生コンサートとオーディオ比較考

日記・雑記
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先日、久しぶりにクラシックのコンサートに行ってきました。東京シティフィルの定期演奏会です。私はそこでの演奏の良しあしをうんぬんできるような音楽的素養はないのですが、たまたま、演目の一つに過日、Storm AudioのAVプリを試聴させていただいたときに使ったものと同じ、モーツァルトの交響曲第40番が入っていたので、少し、「オーディオ的な考察」を。

今回の席は売れ残りを直前に予約したので、オーケストラのコントラバスと第二バイオリンの両端(コロナによるレイアウトのせいか、普通右に来ることが多い気がするコントラバスが左に配置されていました)を一辺とする正三角形の頂点からはかなり後ろで、かつオフセンターでした。

さて、その「余韻」が残るうちに、伊豆に移動して拙宅のシステムで写真にある4つのアルバム(すべてSACD)の40番の第二楽章を聴き比べてみました。[:image1:]

実験の手法は、A)5.1ch録音のもの(左側の2枚)は、①ITUに準じた同一円周上配置で、AVアンプの補正をオフにするPure Direct②Auro-maticを利用してAuro-3D再生の2種類、B)2ch録音のもの(右側の2枚)は、①Sonetto VIIIを使い、一辺2.5Mの正三角形の頂点で、Stereo Pure Direct②Auro-maticを利用してAuro-3D再生の2種類の、計4種類での聴き比べです。

クラシックのオーディオにおける「原音再生」には二つのアプローチがあると思っています。一つは、「コンサートの客席で聴いた音の再現」を「原音」とするもの。もう一つは、「各楽器音の再現」を「原音」とするもの。この両方が両立するのが理想ではあります。で、今回は、前者の「(数日前に)コンサートの客席で聴いた音の再現」性をチェックポイントとしました。

<結果発表>
1.「最も似て非なるで賞」 TACETレーベル Netherlands Chamber Orchestra (上記写真左下)の A-①
これは、ある意味、最もオーディオの楽しみを味わえるともいえる。ジャケット内部に録音時の写真があり、それがこれ。[:image2:]

つまり、マイクを取り囲む形で楽器を配置している。これはたぶん、普通のオケだったら、チェロの第一奏者か、第一バイオリンの前列の一番奥の方の耳に届く「原音」。前からは第一バイオリン、第二バイオリンが左右にわかれ、後ろから、ファゴットやクラリネットが左右に分かれて聴こえる。とても不思議な音体験ができる(笑)。ただし、「楽器音」の方は、録音機に真空管を使っているそうで、なかなか「原音」に迫っていると思う。

2.「最も、数日前の体験に近かったで賞」 Tokyo FM スウィトナー ベルリン国立歌劇場管弦楽団 厚生年金会館 ライブ録音(上記写真右上)のB-②

これは古いライブ録音ということで、恐らくマイクの数も少なく、ミキシングもほとんどしていないのだと思う。それでもステレオ再生では(私のSonetto VIII程度では)、音が「押し寄せる感じ」がAuro3Dに比してかなり劣る。「楽器音」の「原音再生」の観点からは、この4枚では最低レベル。やはり録音が古く、機材の性能が低い感じがする。

3.「オーディオ的に、最も満足できるで賞」 LINNレーベル Scottish Chamber Orchestra (上記写真左上)のA-①および②、EXTONレーベル Czech Philharmonic Orchestra (上記写真右下)のB-②

この二つは前者が5.1ch、後者が2chだが、やはり録音が優れているのが一聴してわかる。前者はITUポジションとAuro3DどちらでもGood。もちろん、味わいは異なり、個人的には言うまでもなく私のハンドルネーム(笑)、Auro3Dの方が前にエネルギーが集まる感じが好きだ。もちろん、ホルンの音の「抜け」感にも差がある。「楽器音の原音再生」はややITU 推奨が上か。

2chのEXTONのものは、何でも「ダイレクトカッティング」とかで、技術的な事は私はさっぱりだが、「音」のいい録音技術?を使っているらしい。ゆえに「楽器音の原音再生」のレベルは高いが、「コンサートの客席で聴いた音の再現」という面では、どうしても2chでは拙宅のSonetto VIIIでは役不足のようで、Auro3Dにエミュレーションした方が好み。

しかし、この2枚とも、はっきり言って、「指揮者の位置」でのオーケストラの音だと思う。実際のコンサート会場の客席では、こんなにくっきりはっきりと弦の擦れる音や、フルートから空気が抜ける音は聴こえない。それに最も違和感があるのが、各楽器の定位感。これって、オーディオ的には定位が優れているのをよしとするけれど、実際にコンサートに行って(特に真ん中より後ろの客席で)、目を瞑って聴けば、フルートとオーボエの位置関係なんてわからない(少なくとも私の耳では)。それが「わざとミキシング段階でわかるように録音されている」のを「原音再生」しても、「コンサートの客席で聴いた音の再現」にはならないように思う。もちろん、私では絶対に立てない「指揮者の位置」でのオケの音を聴かせてくれるのは、(人工的な)オーディオの楽しみとしては、格別だが。

結局、ソースが「生音」のクラシックといえども、人工的な音源を使うアニソンやロックのように、最終的には「録音エンジニアが聴かせたい(加工された)音」の再現が「原音再生」である、ということなのだろうか?

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