昨日、K&Kさんを伊豆の拙宅にお招きし、「当面の最後」の実験・試行錯誤を行い、現状ベストと思われる接続方法を決定しましたので、ここにご報告します。
今回の狙いは、拙宅のフロントLCRに設置してあるソナスファーベルのSonettoVIII(3Way)とそれ以外のソナス(Sonetto I、Amator III=2Way)の位相問題に発する接続方法に、「聴感上の音質の面から」決着をつけることでした。実験に際しては、コミュニティの皆様から頂いた実験環境に関する助言を考慮し、なるべく「スピーカーからの音」だけで判断ができるよう、私の部屋でできる限り最大限のシンプルさを追求しました。
具体的には、①部屋のレイアウトを一時的に大幅に変更し、試聴ポイントから同心円状に5chを配置することで、AVアンプによる距離補正の介入を除く②その半径を約1.7Mと短くすることで、壁などの設置環境にあまり左右されにくい直接音重視のセッティングとする③AVプリアンプ・パワーアンプの影響を最小限にするため、8805にはOppo205からのアナログマルチチャンネル出力から入力し、パワーアンプはSTA-9を4台利用し、LCRはシングル接続(「K&K」フィルター接続時はバイアンプ接続)、サラウンド(以下、SLRと表記)はステレオ接続とし、8805の補正は一切使わず、ボリューム調整だけを担わせる―としました。
[:image2:]
各スピーカーの高さは視聴位置の耳の高さに合わせ、スピーカー間の角度は、LRがセンターから約45度、SLRが約105度に配置しました。ITU規定よりややLRが広がっていますが、これは、L-C間、C-R間の定位をみるためにある程度の広さが必要と判断したためです。
<実験結果>
1.定位感
前半は定位感を、実験用の音情報を再生してチェックしました。使用したのは、前回も使ったDenonのものと、K&Kさんが持ってきてくれた、ピンクノイズが5chで一周するものを使いました。
[:image1:]
接続方法は、VIIIがA:上下とも正接続、B:上下とも逆接続、C:上だけ逆接続と、a:K&Kフィルターなし、b:同ありの組み合わせ。サラウンドにはSonetto Iを使用し、すべての実験において上下とも正接続。
Findings:
① LCR間の定位感は、ABCおよびabいずれの組み合わせも良好で問題なかった。
② LとSLおよびRとSR間の定位感は、BCの方が優れていた(理論的にも中高域の位相が合っているので当然の結果ではある)。abの差異は感じられなかった。ただし、前回の日記で報告した通り、またTomyさんも追試をしていただいた通り、Aでも顔を前に向けているのであれば、LとSLおよびRとSR間にある程度の定位はする。ただし、LとSLおよびRとSRに正対するとやはり分離してしまう。これらの点についてはK&Kさんも確認された。
2.音質・音色・音場感など
まずは「K&Kフィルター」の影響をチェックするため、Sonetto VIIIのLRのみでステレオ再生し、A-aとC-bで比較試聴した。結果、多少、C-bの方がボーカルなどの主題が引っ込み、やや音がすっきりする(痩せる)感はあるが、その差は微細なものであることを確認した。ちなみに、A-aとB-a間には差は感じられなかった。
「K&Kフィルター」の有無の影響が小さいため、LCRとも「K&Kフィルター」を装着したうえで、5ch環境で、以下のマルチチャンネルソフトを再生し、A-bとC-bを比較試聴した。
ア) ピンクフロイド『狂気』
イ) 鬼太鼓座
ウ) 室内楽
エ) オルガン
Findings:
① ア)では映画のように、LとSLおよびRとSR間に音が動く(飛行機の音とか、靴音とか、時計の音など)のであるが、A-bとC-bの差があまり感じられなかった。
② イ)では、はっきりとC-bの方が、A-bに比して空気感・臨場感において優れていた。
③ ウ)では、(実は私はコーヒーを淹れるために席を外していたので、K&Kさんの意見によると)、C-bの方が、A-bに比して優れていた(そうである)。
④ エ)では、残響音の消え方・空間表現などにおいて、C-bの方が、A-bに比してはっきりと優れていた。
<結論>
やはり、中高域の位相がそろう接続法(つまり、VIIIの中高域を逆接続する)が、マルチチャンネル再生のメリットである空気感・臨場感をうまく表現できる。Bの接続は、図らずしも過去に実践して来ていたが、やはりこれだと低域が相互に逆相になっているので、量感・質感とも劣る。C-aは以前報告した通り、LRのみですら音に違和感が出る。つまり、消去法で、C-bがこの中ではベストである。
<残された火種…>
実はこの「当面最後の実験」を行う直前に、Tomyさんからこのサイトを紹介されました。
この記事にはSonetto VIIIの先輩機種である、Venere Sのネットワークのスロープに関する部分に触れている部分があり、技術的な詳しいことはK&Kさんが日記で書いていただけると思いますが、もしかすると「K&Kフィルター」の効果に?を投げかける問題のようです。ただ、一つだけ言えることは、今回は、「聴いてなんぼ」に徹したわけで、私の駄耳だけでなく、このコミュニティのベテランメンバーで、多くのオーディオファイルのリスニングルームを訪問して耳の肥えておられるK&Kさんの評価とも一致して、「マルチチャンネル再生においては、上だけ逆接続、K&Kフィルターあり」がスロープなどの工学的データに関係なく、聴感上、現状ベストであるという結果になったことは変わらないわけです(ただ、この記事が正しい=現在、ノアとダイナに照会中=とすると、「ベター」が存在する可能性は否定しませんが、How? No one has the answer.)。
ゆえに、当面、この接続で9.2.4対応のドルビーAtmosとNeural:Xおよび7.2.5.(1)ではAuro3Dを楽しみたいと思います(今回新設したFront Wide Speakerの評価については、稿を改めます)。
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