私がこのコミュニティに入れていただいて、最初のオフ会としてお招きいただいたのがK&Kさん。その時の「訪問記」はここに書きましたが、何しろオーディオにまじめに取り組んでいる方のお宅にそれを目的にお邪魔する、というのが人生初でしたので、いろいろと勝手もわからず、また、「訪問記」の方もマナーもわからず、素人目線のくせに結構「忖度せずに=笑」書いていて、今読むと冷や汗ものです。
元エンジニアで、電子工学や音響工学に明るいK&Kさんは、私が勝手に「お師匠」として(こう書くと怒られますが=汗)、ご助言を受けてきて、私のSonettoVIIIの中高域逆極性問題の解決策として、「K&Kフィルター」と命名させていただいたDeviceを手作りいただいた方です。
さて、そのK&Kさんから、「AuroさんのISP MK2のDirac Liveに刺激を受けて、自分のシステムを調整しなおしたので聴きに来ないか」とのお誘いをいただきました。同じ方のシステムのBefore/Afterを聴く機会はこれまでなかったので、二つ返事でOKし、このほどお邪魔してきました。
前置きが長くなりましたが、お部屋にお通しいただくなり、ソファとその位置が変わったのにすぐに気が付きました。以前は後ろの壁にぴったりソファの背中が付いていたのですが、15センチぐらいでしょうか、壁から離してあります。[:image7:]これ、前の訪問記で私が指摘した部分でして(汗)、とても恐縮するとともに、私のような若輩者・初心者に毛が生えた程度のものの「助言」を真に受けて(もちろん、その適否をご自分で判断されて)、実行に移される、「科学者」としての謙虚さ(「正しいこと」はその発言者の属性に関係なく「正しい」と認識できる態度)に、いきなり感動しました。
もう一つ、このソファには仕掛けがあり、それはこれです。[:image6:]
ソファの足に「ゲタ」が履かせてあるのが分かるでしょうか。これは、前回私がお邪魔した際に、「美空ひばりの口がうちのAmatorIIIより大きい」と言ったこと、つまり定位の問題を彼なりにお考えになった結果、私とK&Kさんの座高の高さの違いに思い至ったと伺いました。つまり、耳の高さが違うわけですが、これがK&Kさんのシステムでは決定的に重要なのは、メインスピーカーがバーチカルツインの仮想同軸になっているからです。
この写真にあるように、同一の二つのSPを縦に組み合わせて、チャンデバやたくさんのアンプで駆動されているのですが、この真ん中にあるパイオニアのSTWの高さに耳を合わせない限り、その上下にあるツイーターやウーファーからの耳までの距離が上下で差が出ることになり、それが音像を歪ませる、不慣れな言葉を使えば、今回のK&Kさんのテーマであった「位相」を狂わせることになるからです。[:image1:]
もちろんこのソファはK&Kさんの座高に合わせて高さ調整をしてありますので、私が試聴させていただく際には、ものすごく寝そべるか、ものすごく前かがみになるか、またはソファの前の床に正座をするか(笑)という姿勢を強いられ、実は帰宅後少々腰が痛くなりました(笑)。
さて、ここで出てきたキーワードの「位相」ですが、K&Kさんが今回「人間Dirac Live」に取り組まれるきっかけになったのは、この拙日記に掲載した、「ステップレスポンス」のグラフだったそうです。これは、先日導入しましたISP MK2のルーム補正ソフト、「Dirac Live」を走らせたあとに測定したものです。正直言って、私には何の発見もない(ここからなんの「意味」も見いだせない)ただのグラフなんですが(Tomyさんのご要望で渋々=笑)、エンジニアのK&Kさんは、これを見て「ここまで位相を揃えられるのか!」と驚いたそうです。そこで彼のエンジニア魂に火が付き、様々な測定手法やソフトを駆使して、手動でご自宅のシステムの位相を合わせることに挑戦したということでした(ヘタレな私は、すべて機械任せ=笑)。
調整は測定と実践を繰り返しながら、数か月をかけ多岐にわたったそうで(その中にはスーパーツイーターが逆極性だったという発見もあったとか!)、詳しくはK&Kさんご本人からそのうち報告があるかもしれませんが、素人目に一番わかりやすい「工夫」は、この左右サラウンドスピーカーのツイーターです。
[:image4:]
この写真に写っているものは、元々はきれいに(笑)エンクロージャーに埋め込まれていたツイーター(ホーン型だそうです)を、わざわざ金具を継ぎ足して数センチ前に出してあるのです。このためサランネットがつけられなくなり、下にあるウーファー保護のためにやむなく「無粋な=笑」ネットをかけているのだとか。
まあ、いわゆる「リニアフェイズ」というやつなんでしょうか(よくわかっておりませんのでこのぐらいで=笑)。これ以外にも、「位相」調整と関係あるかどうかは私にはわかりませんが(汗)、フロントが従来の内振りから、平行法へ、サラウンドもややリスニングポイントに角度をつけて設置してあったのが前回との違いです。
肝心な出音ですが(K&K邸は、4.1.2構成で、2chとマルチを聴く際は、AVアンプを使わず、ディレイはOPPO205で、音量はチャンデバなどで調整しておられます。また、SWはAVアンプを使う映画鑑賞時にはLFEとして、それ以外ではアドオンとしてこれもチャンデバで調整しておられます)、2chでは、1.ボーカルの定位感が抜群に良くなった(中央定位だけでなく、前後の立体感も改善された=これらは最初の一声だけで、すぐにわかりました)2.出音が楽しく、ノリが良くなった(前は大人しかったんです=汗)、4chでは、1.空間が広がった2.音場空間にあるエーテルが澄んだ感じになった、クリアで透徹した音(元々、この音色系統ですが、さらに磨きがかかった)になった―と駄耳では聴きました。特に4chの音は、まさに、かつてMCACC-Proを始めて走らせて聴いたときの音、最近、Dirac Liveを走らせた後の音、つまり「各チャンネルの位相が合っている音」です。これは「位相の専門家」(嘘です=笑。ただ、これに対する苦労と研究は人一倍しました)の私がいうのだから間違いありません(駄耳ですが=爆)。
何か新しい機器を入れたわけではないのに、正直言って、ものすごい変化量で驚きました。私は無知の上に無精なので、「使いこなし」というのはほとんどしていませんが、「使いこなし」(といっても、相応の工夫と努力、工作をしておられます)だけでここまで音が変わるのかと、改めて勉強させていただきました。
K&Kさん、この度はありがとうございました。今回、「技術」と「知識」と工夫を厭わない「熱意」さえあれば、そんなにお金をかけなくてもオーディオの音質はかくも高められるのだということを学びました。私も「リタイアして金策が尽きたら(笑)」またよろしくご指導お願いします(笑)。
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