この記事は、以前書きました、「2+2+2というフォーマットをご存知の方、いらっしゃいますか?」
の続報です。ドイツのMDGレーベルというところから、「怪しげな」(笑)<2+2+2>というフォーマットで録音したものがあるらしい、というのが前回のご報告でした。その時は、結局、買ってからこのフォーマットの存在に気がついたショパンのSACDは、「普通の」5.1ch録音であったことが判明したのもご報告した通りです。
今回はそのリベンジというか(笑)、伊豆に置いてある、同じMDGレーベルの『Haydn-Portrait』という音楽BDに、<2+2+2>が選択できるようになっているのを覚えていたので、伊豆に行きたくてうずうずしていて(笑)、このほどやっと時間が取れて来ることができましたので、早速実験をした次第です。
写真1.[:image4:]
この写真は、今回取り上げるソフトのDiscケースの裏面です。下の方に、よく見ると、Stereo、5.1ときて、「怪しげな」(笑)<2+2+2>、さらにその隣に謎の表記、<2222+/Auro3D>とあります。
写真2[:image3:]
で、それを再生しようとすると、この写真のような「メニュー選択画面」が出てきます(ブルーレイですので、普通のSACDのようにすんなりPlayはさせてくれません)。
まずは、注目の<2+2+2>を選択して聴いてみました。ISP MK2のモニターを見ると、なんと、8.0chにInputがあると表示されています。
写真3.[:image1:]
この写真をよく見ていただきたいのですが、上のInputsと書いてあるところ、CFとSUB(それぞれ、センタースピーカーとサブウーファー)が、-100、つまり、入力ゼロとなっています。入力があるのはフロントLR(LF,RF)、サラウンドLR(LS,RS)、リアLR(LB,RB)の1F 6chと、2FはフロントハイトLR(LFH, RFH)の、計8chです。えっ、<2+2+2>って、6chじゃないの?と思いましたが、これはサービスか?(笑)どちらかというと<2222+>がこれじゃないかとは思いましたので、次に、<2222+/Auro3D>を試してみましたが、こちらはこうなります。
写真4.[:image2:]
なぜか、私のISP MK2では、<AURO信号>を感知すると、すべての音源をAuro3Dの上限規定の13ch入力にエミュレーション(?)するようで(汗)、SWを除くフルデコード表示となっていました(ちなみに、下のOutputsでは拙宅の環境を反映しているので、SUB3台とチャンデバをかましてあるLF, CF, RFの3つが出力番号#22-24にも入っています)。
さて、肝心なのは音です。聴感です。オーディオですから(笑)。
幸い、このハイドンのアルバムは、ピアノ三重奏曲、トランペット協奏曲、交響曲とバラエティに富んだ構成なので、おのおので<2+2+2>(事実上は、恐らく<2222+>の8ch音源なので、以下「8ch」と表記)と、このディスクの「Auro3D」フォーマット音源を比較試聴してみました。
1. ピアノ三重奏曲
Auro3D推進派(笑)の私ではあるが、正直このソースは「8ch」の方が良かった。録音にもよるだろうがピアノ三重奏ではAuro3Dのアドバンテージである「ホール感」はあまり重要ではなく、むしろピアノの「打楽器」としての力強さやSolid感が、Auro3Dだとやや損なわれる感じがした。「8ch」はさすがにフロントハイトが入っているだけあって、普通の5.1chの音源よりはホール感もあり、さりとてAuro3Dほど「演出過剰」(このソースに限り=汗)にはならず、コンサートホールのかなりピアノに近いセンター席で聴いている感じがよく出ていた。
2. トランペット協奏曲
これは結構互角だった。これまで多くの非Auro3D音源をAuro-Maticで疑似Auro3D化して聴いてきた経験から、金管楽器は一般的にAuro3Dとの相性がいいと思う(詳しくはいずれ稿を改める)が、この「8ch」ではフロントハイトのお陰で結構、天井から「舞い降りる」金管楽器の残響音が表現されている。ただし、これは拙宅の構造がかなり急な勾配天井で、フロントハイトからリスニングポイントに向かって天井が落ちてきているので、リアハイトなどの助けを借りずとも音が後ろに回り込みやすい構造になっていることも理由の一つかもしれない。もし普通の直方体形状のリスニングルームであった場合は、別の結果(Auro3Dのアドバンテージ大)になった可能性は否定しない。
3. 交響曲
これは有名な『驚愕』の第二楽章を聴いたのだが、ティンパニーを中心としたフォルテッシモの’Surprise’の「あと」のホール全体に徐々に吸い込まれていく「ホールトーン」の360度の残響感は、圧倒的にAuro3Dの勝ちであった(友の会会長=自称=としてはホッとしました=笑)。 コンサートホールのリアリティの再現性に明らかな差が出た。
【結論】
前の日記に書いたように、このフォーマットはAuro3Dの「先祖筋」に当たるような気がするのですが、前方上部に2つのスピーカーを加えるというアイデアは当時(いつかは正確には知らないが=笑)では画期的なものだったと思います。なんとなく、昔ヤマハがAVアンプで独自のDSPを始めた頃、通常フォーマットの5.1chに、「プレゼンススピーカー」という名称のハイトスピーカーを加える提案をしていたのを思い出しました(=元ユーザー)。
DSPで人工的にハイトに振り分けるヤマハと違って、この<2+2+2><2222+>?はディクリートに音が入っている(しかも24/96のハイレゾ)ので、音の素性はこちらの方がいいし、上記実験結果からも明らかなように、音源(演奏形態の違いか、録音の違いかまでは厳密には判別できず)によってはAuro3Dより「いい感じ」に聴こえるものもあるようでした。
この「8ch」なら対応しているスピーカー配置をお持ちの方は少なくない(センターレス派、サブウーファーレス派の方にピッタリ!)と思われ、Voice of Godを要求するAuro3Dよりは導入しやすいのが最大のメリットでしょう。
残念ながらこの<2+2+2><2222+>フォーマットは、今や恐らくAuro3D以上に希少音源(笑)だと思うのですが、もし、他に見つけた方がいらっしゃったら、是非ワタクシにご一報ください(笑)。今はサンプルが少なすぎて確定的な事が言えないので、もう少し、探求してみたいですから。「MDGの8ch音源」、オーディオ界にはまだまだ面白いものがあるんですね(笑)。
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