今回は小ネタです。私は、「XXを買いました!」みたいな報告を自慢げに語る、「いけ好かない金満野郎」(笑)だと思われているかもしれませんが(汗)、今回は、1円も使っていません。ただ、自らの足と腕をプルプルさせただけです(笑)。
さて、「末端効果」という言葉をご存知でしょうか(知らなかったのは私だけ?=汗)。これは、ミネルヴァさんにレスのやり取りの中で教えていただいたのですが、彼はこのような記事にもしておられます。
例えば、最近私も気になっている電源に関して、電気屋さんが屋内に配線しているケーブルは普通、1Mで数百円(?)程度の<安物>(オーディオマニア目線なら)なのに、最後の最後、壁コンセントから機器へのケーブルを、数十万円(?)のものに交換するだけで、「音が良くなる」。これを「末端効果」というそうで、ミネルヴァさんによるとこの「末端効果」は電源ケーブルだけでなく、スピーカーケーブルでも、Lineケーブルでもあるそうです。
ということを知った時から、ずっと気になっているところが拙宅にはありまして。それがAuro-3Dでいうところの2nd Layerに設置してあるスピーカー群7台の、ココ(写真1)[:image1:]
これらヤマハのスピーカーに接続されているケーブルは、なんと、普通の「電灯線」(汗)。今まで拙宅にお越しになったPhilewebのお客様には「舞台裏」は隠しておりましたが(笑)、これを知られたら、genmiさんの「キャスター事件」(笑)のように、卒倒されそうです(爆)。
一応、私もオーディオ歴は短くないですから、「いくら何でも、これはヤバい」ということは重々承知しておるのですが、なぜこうなったかというと、この家を建てた20年前、母の介護に追われていてハウスメーカーとろくに打ち合わせもせずに、「ここからここに、スピーカーケーブルを引いておいて」と設計図書で図示した<だけ>だったんですね。で、完成後に気がついたのが、大工さんにとっては、「スピーカーケーブル=電灯線」だったうえに(笑)、さらに悪いことに、これらが「壁内埋め込み配線」されてしまっていたこと。つまり、もう交換ができないのです(これを読んでいる、これからオーディオルームを新築しようとしておられる若い方たちは、間違っても私と同じ轍を踏んではいけません(笑)。CD管を埋め込んでもらって、ケーブル類はいつでも交換できるように大工さんに頼みましょう!)。
ということで、この「恥部」を知っているのは自分だけではありましたが(汗)、長い間、内心悶々としておりましたところ、この「末端効果」というのがあることを知り、突如、光明が差したのです(笑)。以来、いつかはやろうとは思っておりましたが、すべて約2.5Mの高さにあるため、脚立を使う必要があるし、ケーブルを切ったり剥いたりかしめたり、が面倒くさいなあ、と(つまり、その程度のライトオーディオマニアなんです=爆)。
で、この夏休みについに重い腰を上げて、「末端処理」を行いました。
「末端処理」用に使うSPケーブルは、ミネルヴァさんのご経験では「50センチ」ぐらいで十分とのことでしたが、「念のため」(笑)、75センチにしました。当初、音色の統一感が多少でも出るならと、LCRに使っているのと同じ、オヤイデの太っとい銅線ケーブルにしようかと思いましたが、グランドスラム邸訪問後、どうも2FのSP群は高域を強調するほうが、透き通った、広がりのある空間感が演出しやすい、という自分なりの気づきがあり、その目的のために、コレを選びました(写真2)。[:image2:]
これはオルトフォンの「銀ケーブル」で、恐らく、私が持っているあらゆるケーブル類の中で最も単価の高いものです(笑)。昔、celestionというブックシェルフを持っていたころ、この「品のいい、シルクドームの高域」に徐々に物足りなさを感じていた(あの頃は若かった…ClassicよりRockの方をよく聴いていましたから)ために、吉祥寺の第一家電というお店のオーディオコーナーのお兄さんに相談したところ、「このSPケーブルを使ってみては」、と勧められて、「清水の舞台から飛び降りる」覚悟で購入したものです。大学生の身にはとても高かったので、長さも当時のセッティング環境を勘案して、ギリギリの4.5M(LR分)という、<刻んだ>(普通、メートル単位ですよね=笑)買い方をしたのを今でも覚えています。結局、これでも物足りずに、Fostexのホーン型のスーパーツイーターをさらに購入したんですがね(恐らく、オルトフォンは、かなり高い音域に効果があったが、「突き刺さるシンバル」などの分かりやすい高音にはFostexの方が効果があったと総括しています=青春のいい思い出です)。
ところが、それから40年近い歳月が過ぎる中で、次第にこのケーブルが演出する高域の「シャリシャリ感」が気になるようになり、同じく「イタい」高音を出すFostexのSTとともに、いつしか「お蔵入り」していたのです。
今回の「末端処理」に際して、このオルトフォンのケーブルのことを思い出し、「2FのSP群の高域にもっと華を持たせられれば」と、ガラクタ箱から引っ張り出してきて、6本に切り分けました。(写真3)[:image3:]
実は今回の「末端処理」には、「末端効果」とともに、もう一つの狙いがありました。それは<写真1>をご覧になって気づかれた方は多いと思いますが、2FのすべてのSPは2Wayなのですが、ウーファーとツイーターを結ぶ、「連結金具」が入ったまま接続されていたのです。<写真4>[:image4:]よくオーディオ雑誌などでも、「この連結金具を普通のSPケーブルに替えただけで、音が<激変>(笑)」などと書かれているのは知っていましたので、今回使用したSPケーブルが4芯であることを利用して、この金具を外した「なんちゃって、バイワイヤ化(?)」も狙ったのです。
ということで、この作業を脚立を使って、腕と足をプルプルさせながら丸一日がっかりで6台分入れ替えました。仕上がりはこんな感じ。<写真5>[:image5:]
さて、次はワクワク・ドキドキの「試聴タイム」です。
まず、実は作業途中で、ミドルハイトSPを使って、R側だけオルトフォンの銀ケーブルに入れ替え(と言っても最後の75センチだけですが=汗)、従来の「電灯線」(泣)のままのL側と、ISP MK2の設定画面で出せるPink Noiseを再生して交互に聴き比べてみました。
「うーん、変わらん」(爆)
心にさざ波を立てたまま(汗)、その後も粛々と作業を続行し、すべて完了後に使用した試聴ソフトは以下の通りです。
<写真6>[:image6:]
これらは、私がAuro3Dの2Fの効果、特に高域をチェックするために愛用しているもので、すべてAuro-3D Native ソフトです。Blade Runner 2049以外は簡単に入手可能ですので、Auro3Dの再生環境をお持ちの方は、是非Tryしてみてください。今回はその「Auro3D友の会会長=自称=秘伝のチェックポイント」を少々公開しますね。
音楽ソフト4点を左上からZ順に:
最初の『LUX』は、感覚的に言えば、まさにこのアルバム写真にあるような、「天空から漏れる光」を感じられるかどうかがポイントです。具体的には、特に私がチェックするのは、1曲目の最初のコーダの部分と、11分過ぎごろにある、弦楽器総動員と思われるフーガ調に重ねてくる協奏部分です。このどちらも、「高さ」を感じたいです。音が竜のように登っていくような。そして見上げるような位置に、「光」(キリスト教の世界観では、「光」は「God」でもある)を感じたい。
次の教会音楽は、2曲目を聴きます。教会の尖塔部分(?)にあると思われる、鐘が打ち鳴らされる効果音がふんだんに使われています。この鐘は、トップスピーカー(Voice of God)のみならず、サラウンドハイトからも音が出ています。拙宅の場合は、StormXTという拡張機能により、さらにリアハイトからも音が出るので、都合5台のSPで鐘の音を演出しています。ここでの高音再生能力に関するチェックポイントは、打ち鳴らされた瞬間の音(これは低域再生能力やアンプのパワーも関係する)より、むしろその余韻です。尖塔の、さらに上の「空」に吸い込まれて消え入るさま。
次のホルン主体の音楽も、この「余韻」が大事です。特にホルンの場合は、コンサート会場のように、「余韻(残響)」が目の前を上昇し、後ろに回って降りてくる感覚が欲しい。
最後のオルガンは、普通は低音チェック用だと思われると思いますが、高音フェチの私的には(笑)、オルガンの奏でる「天使の声」のような(笑)高音が、教会上部のステンドグラスを揺らすかの如く上昇し、天まで届かせようという、中世の人々の「祈り」を感じたいですね。(写真7)[:image7:]
最後の『Blade Runner 2049』では、Chapter 2の雨中のラブシーンを使います。ここで雨の降る中、部屋の中から外へ出て雨に打たれるシーンがあり、ちょうど部屋から外へ出るシーン(20分40秒あたり。写真8)[:image8:]を境に、「家の外」で降っていた雨(つまり前側)が、自分の頭上から降る演出に変わります。ここは2F,3Fの全スピーカー(拙宅では8台)の出番で、「傘がないと濡れそうだ」(爆)と思うようなリアリティがどれほど出せるか。
先日、シバンニさんのところにお招きいただいた折りに(相互訪問しましたが、訪問記は書かない主義だそうですので、私もご報告を遠慮しています)、「Auro-3Dの聴きどころは何か?」と尋ねられ、上記で書いたようなことをお話したのですが、今、改めて考えると、音楽に関しては一言で言えば、「恍惚感」だと思いますね。私の耳と脳には、どんなに優れた2chより(先のTIASで総額1億円超えの2chシステムも聴かせていただきましたが)、曲による部分はありますが、拙宅でのAuro-3Dの方が「恍惚感」が得られます。一音一音の質はもっと上には上がありますが、トータルとしての「脳」による解釈の問題です。
と、やたら前置きが長くなりましたが(汗)、今回の「末端処理」に伴う「末端効果」はというと・・・
「まあ、なんとなく、あるような気がする」(爆)
オーディオ雑誌であれば「激変!」と書くところでしょうが(笑)、彼らと違って私はSPケーブルメーカーから何の接待も受けていないので(笑)、そこまでは言いきりません。ただ、私が若い頃に感じた、銀ケーブルの私の記憶の中に残る「シャリ感」は、40年も経った今の耳では、はっきり認めますが残念ながら恐らくそれほどは感じられないでしょう。
だから、「気分的に」で十分満足です。拙宅にいらしたことのある、耳のお若い方の再訪をお待ちしたいと思います!!!
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