電源周りの実験アレコレ−蓄電器、電源ケーブル、Black Box…さて、電源工事は「電源問題の最終的解決策」として必要か?

日記・雑記
Sponsored Link

このコミュニティも終わりが近づいてきており、皆様にご意見を伺える機会ももうそんなに多くないのが、私のように悩み多き者にとってはとても残念です。

今まで色々とご質問させていただき、その度に皆さんに教えられてきましたが、まだ自分の中で「納得・決着」してない問題の一つに<電源>があります。

オーディオにおける<電源の重要性>については、オーディオ歴40年超にして(汗)、ようやく皆さんに気づかせていただき、拙宅では現状、AVプリとユニバーサルプレーヤー用に蓄電器だけを導入しております。

実は過日、Tomyさんが拙宅にお見えになった際に、「蓄電器」の有無を体験していただきました。また、先日、「電源ケーブルマイスター(笑)」のグランドスラムさんが拙宅に起こしいただいた時にも、ケーブルの実験をしました。また、その後、genmiさんという、私が使っているのと同じOctaveというブランドの真空管プリメインアンプ(機種は違いますが)をお持ちの方のところにお邪魔する機会があり、Octave使いの間では有名な(使用率は7割以上かも?)、「Black Box」(genmiさんのお使いのものは、上級機のSuperです)の有無のブラインドテストを体験させていただきました。

これら3つの電源周りの実験結果をご報告し、現象と私なりの考えを少し整理したうえで、「メーターから専用線を分岐する本格的なオーディオ用電源工事」が「電源問題の最終的解決策」(やや不謹慎な表現でしょうか=汗)となるのかどうかを検討できればと思いレポートさせていただきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(写真1,2)[:image1:][:image2:]
<実験1:蓄電器の効果>

被験者:Tomyさん

実験内容:Tomyさん持参のJazzのSACDマルチ(Great Jazz Trio?)をOPPO205で再生し、ISP MK2を通じてパワーアンプへ。使用SPはLCRがSonetto VIII、サラウンドがAmator III、SWは4台。このうち、HONDAの蓄電器E-500に繋がれている機器は、OPPO205とISP MK2の2台。これを壁コンセント直接接続と比較。電源ケーブルは各メーカーの純正品を使用。

実験結果:「ぜんぜん違うねぇ!こりゃ、私も買おうかな!!!」とのコメント。静寂感と同時に力強さを増す、という上記のリンク先で書いた私の印象を、第三者が客観的に裏付けをしたという「追試」報告となった。

(写真3 グランドスラムさん提供)[:image3:]
<実験2-1:蓄電器に対する電源ケーブルの効果>

被験者:グランドスラムさん

実験内容:グランドスラムさんがスーツケースに一杯いれて(爆)持参された米国製(?)超高級電源ケーブル(すみません、メーカー名不詳です。後ほど、グランドスラムさんからフォローをお願いします!)を、上記と同様のOPPO205とISP MK2の2台に対して接続し、1.壁コンからの純正品VS高級ケーブル比較2.蓄電器からの純正品VS高級ケーブル比較の二つを行った。

実験結果:1は以前もやっているが、その効果は今回も確認できた。力強さが増し、立体的な彫りの深い音像となる。
問題は2で、意外なことに(?)そんなに大きな差は感じられなかった。つまり、蓄電器を通すのであれば、そこから機器までの電源ケーブルをおごる必要はそれほど高くない可能性を示唆した結果となった。

<実験2-2:デジタルパワーアンプに対する電源ケーブルの効果>

被験者:グランドスラムさん

実験内容:上記と同じグランドスラムさん持参の米国製(?)超高級電源ケーブルを、壁コンから接続されているSonetto VIII駆動用のデジタルパワーアンプ(STA-9。中高域は片チャンネル接続、低域はBTL接続でLR用計4台)に対し、純正品VS高級ケーブルを差し替えて比較した。

実験結果:意外なことに(?)そんなに大きな差は感じられなかった。グランドスラム邸ではパワーアンプ(Jeff, Krell)の電源ケーブルを交換すると音の変化はかなりあるそうなので、グランドスラムさんは首をひねっておられた。

(写真4 genmiさん提供)[:image4:]
<実験3:Super Black Boxの効果>

被験者:K&Kさんと私

実験内容:genmi邸にて、彼の持つSuper Black Box(以下SBB。Black Boxと基本的には同じ原理で作られているが、容量がより大きい)の有無による出音の好き嫌いを、genmiさん自身による操作によって被験者にブラインドの状態で切り替えて判断する。使用機器は、SBBを接続したプリメインアンプがOctave V70SE、スピーカーがB&W805SD、ソース機器はPC。使用音源は、女性ボーカルのPopsとクラシックのヴァイオリン協奏曲。ブラインド化は、SBBの電源ランプをマスキングして、これに電源が入っているかどうかが被験者からはわからないようにした上で、genmi氏が機器の裏に回って、SBBを抜き差しし、電源ケーブルをつなぎ替えることで行った。

実験結果:Popsの方は、音が出た瞬間に、「これ、アリでしょ?100万円賭けてもいいよ!」と断言できるほどの違いを二人とも感じた。最初のドラムやシンバルのひと叩き、ギターやベースのひと弾きでわかる、音の芯の強さというか実体感。特にPulsiveな出力に対する効果が高いように感じ、Jazz, Rock, Popsがメインソースの場合は、マストアイテムだろう(それにしてもお値段がちょっと高すぎる気もするが・・・汗)。
一方、バイオリン協奏曲の方は、あまり超絶技巧の曲を選ばなかったこともあるかもしれないが(個人的な好みでメンデルスゾーン=汗)、それほどSBB有無の差を感じることはできなかった。K&Kさんはどうお感じになったのかはわからないが、私個人は、SBB付きのほうがバイオリン自体は少し遠くなったと感じたものの、協奏曲としての奥行きというか深みと広さはあったと思ったので、「こちらが好きだ」とgenmi さんにはお伝えしたのであるが、バイオリンをクローズアップした感じが好きな方は、「SBB無し」を選ぶかもしれない。つまりこの曲ではPopsの時ほど<絶対的な良し悪しの差>は無く、これは好き好きだと思った。
本当はオケなんかでもやってみたかったが、流石にホストにそこまで手間を掛けさせるのは申し訳ないので、ここで終了となった。

<まとめと考察>

まず、1の「蓄電器」実験に関しては、「オーディオ用電源工事のオーソリティ」の一人である出水電器の社長もお認めになっておられるように、使用ワット数の少ない上流機器に接続する分には、S/N比、空間の表現力だけでなく、力感も増すことが第三者の耳でも確認できた。理論的なここでの問題は、瞬間消費電力量の多いパワーアンプなどの機器には、あまり効果がないというか、むしろボトルネックとなる可能性が指摘されていることである。

一方、「電源ケーブル」を扱った二つの実験のうち、2-1では、この蓄電器を通すと、電源ケーブルの差による音質の差が小さくなることが確認できた。これは、グランドスラムさんと話し合った仮説では、蓄電器は電流の波形(私は詳しくないので用語が間違っておりましたら、ご指摘ください)を整えると聞いているので、同じような機能を高級電源ケーブルも備えるためではないかと考えた。つまり、波形を整えるという機能がダブっているため、屋上屋を重ねれば効果が顕現しにくい、というロジックである。この点については、お詳しい方のご意見を賜りたい。

また、2-2の実験結果が示すところは、これも仮説的に言えば、スイッチング電源(STA-9はA/D級と言われている)を備えるデジタルパワーアンプの場合、あまり電源の質に出音が影響されない、と言えるのかもしれない。もちろん、これは他のアナログ電源アンプとスイッチング電源アンプを複数比較してみないと結論めいたことは出せないことは言うまでもない。

最後に3のSBBであるが、そもそもこの中身は、私レベルでは、キャパシター(コンデンサー)の塊、と理解している(これも、お詳しい方、間違っておりましたら修正をお願いします)。この理解が正しければ、SBBはつまり、電流の「ダム」として機能しているわけであるから、一時的に電流を大量に放出したい場合は、この「ダム」の容量が大きければ大きいほど対応力が上がることになる。SBB(BBでも)なしの場合は、アンプ自体に内蔵されている比較的<小さな>「ダム」だけで対応する必要があるため、Pulsiveな出力時は瞬間的な電流の量が頭打ちをしてしまうため、それが「歪み」などとなって出音に影響を与えるのではないだろうか。

私がOctaveのV70 Class Aを購入した際にも、もちろんこの(S)BBの話はショップのベテラン店員との間で出たのであるが、その際に伺ったことは、「(S)BBを付けて効果が出る可能性が理論的に見て高いのは、1.電力供給が不安定な状況の場合2.SPの能率が低い場合3.SPのインピーダンスが極端に下がることがある場合4.大音量で再生する場合」-とのことだった。今回の結果から見ると、genmi邸の環境では1−3は考えにくいため、4の(一時的な)大音量再生に該当したかもしれない。

ちなみに、今回は改めて実験をしていないが、かつて蓄電器を2台購入した際に、拙宅のOctaveのプリメインにも繋いでみたことがあったのだが、その時は、私の駄耳ではそれほどの効果を感じなかった。もしかすると、真空管アンプは、あまり電源の質を選ばないのか、それともHondaの蓄電器ではダムが小さすぎて、真空管が要求する瞬間的な供給パワーに足りなかったのかもしれない(真空管は時に瞬間的な大電流を必要とするのでしょうか?これに関しても、お詳しい方のHelpをお願いできれば幸いです)。

・・・・・・・・・・・・・・・

今回のレポートは以上なのですが、これを受けて私が最終的に判断しなければいけないことは、果たして拙宅のシステム環境で「さらなる電源工事」は必要なのか、という点なんです。

先の出水電器関連の日記のレス欄でも紹介しましたが、電源工事のメリットは、1.電圧2.ノイズ3.振動―それぞれへの対策となることだそうです。

1.上流機器に関しては明らかに現状の蓄電器で十分な効果が出ているし、電源工事をしてもこのまま蓄電器を使うのであれば、工事のメリットは上流機器に関しては全く無い(電源工事後は、上流機器に蓄電器を「使わない」ほうがそれ以前より圧倒的に音が良くなるなら話は別。ご存じの方、いらっしゃいますでしょうか?)
2.マルチがメインシステムである拙宅のパワーアンプは、Amator III用のOctaveを除けば、すべてスイッチング電源(Storm PA-16 EliteおよびSTA-9。またSWのFostex250A、ELAC Sub3070もいずれもD級アンプ内蔵)なので、今回の2−2の結果および、以前、理論的にはノイズが出ない蓄電器経由でSTA-9をドライブしてみた際に、それほどのS/N比の性能向上は感じられなかったことから考えれば、専用工事による電源の「質の向上=ノイズ減?」はデジアン中心の拙宅の下流機器ではあまり寄与しない可能性がある(上流機器には蓄電器を使うことを前提とした場合)

3の「振動」に関してはそのメカニズムやロジックがよく理解できておりませんので(汗)、ここではパスさせていただいて、つまり、2の「ノイズ」に関しては、上流機器に比してパワーアンプは鈍感であり、さらにデジタルアンプはアナログアンプよりも鈍感であるとするならば、拙宅のシステムでは、上流機器にはすでにノイズの少ない蓄電器からの電気が供給されており、パワーアンプ類はほとんどがデジタルなので、そこまでのメリットはない(唯一のアナログアンプは、BBをつければ十分?)かもしれない、と考えることが出来ましょう。

そうすると、素人考えでは、拙宅において電源工事のメリットが大きい分野があるとすれば、1の電流・電圧供給能力の違いでしょう(量及び勢い?)。STA-9の出力はカタログ値では、「120W x 2 / 290W x 1 (4Ω)」とあり、それが6台。PA-16のそれは、「200(8Ω)W x 16」=3200W(?)、Fostex CW250Aが300W、ELAC Sub3070は1200Wでそれそれが各2台あることから、これらへの電流・電圧を供給する十分な能力が「通常の屋内家庭用配線」(現状)では<不足>しており、「オーディオ専用回線」を引くことでその<供給能力が格段に向上する>かどうか。要するに「量とパワー・瞬発力」といったところへの効果の有無です。または電源工事「以外の」方法で、この「量とパワー・瞬発力」を高める方法ないのか(もちろん、安価に)。

電源工事だけはやる前に効果を確かめることが難しい。やってみてダメでも元に戻せないし「ヤフオク」で売ることもできない(汗)。またオタク過ぎる工事なので家のリセールバリューを上げるとも思えない(笑)。無尽蔵にお金があるわけではないので、拙宅のケースでは費用対効果が低いのであれば、「資源の最適配分」の見地から他にお金をかけたいところはまだまだある。「決してマイナスにはならないから、とりあえずやっとけば気休めにはなる」というのでは、三桁万円前後のコストをかけるにはあまりにも説得力が乏しい。

今回、この記事を書くにあたって、オーディオ用電源工事に関する先行研究も渉猟しましたが、特に優れていると思うのは、このコミュニティの会員でもある(はず)、Hermitageさんの一連のブログです(この方は、アースも含め、ほぼフルコースで工事をなさっておられます)。私と違って(汗)、かなりお詳しい方のようで、徹底的な測定による「オーディオ専用電源工事」の効果研究のレポートとなっておりますが、私の読解力では(汗)、電圧・歪率(ノイズ?)の両面とも工事を経た電源のほうが「決定的な極めて高い効果を上げている」とは<少なくともデータ的には 断定できない結果>を示しているようにみえます。

以前、グランドスラム邸に伺った際に、「(東北電力管内唯一の)マイ電柱の効果は?」と尋ねたところ、「それは比較したことがないからわからない。ただ、電源に関してはこれ以上やるべきことはない、という安心感は得られている」とおっしゃっておられました。フーム、確かに心理面はオーディオに限らず重要ですが(笑)、ただ「安心感」(プラシーボ?)を得るためだけに、3桁万円の投資は・・・と考えてしまう、合理的な(せこい、とも言います=爆)私がいるのは事実です。

<拙宅のシステムにおける>電源工事の有用性(一般論ではなく、各論)はどの程度高いのか、について、ここまでのレポート結果を踏まえて皆さんはどうお考えになりますでしょうか?

コメント ※編集/削除は管理者のみ

タイトルとURLをコピーしました