先に、WOWOW主催の、Auro-3D&MQAフォーマットによるストリーミングサービスの実証実験に行ってきた、というご報告をしましたが、
実は、その後のやり取りの中で、
WOWOW技術局エクゼクティブ・クリエイターの入交英雄博士
MQA Tokyo Officeの三上勉氏
のお二人が拙宅のAuro-3Dを聴いてみたい、ということになりまして、急遽、来週早々に伊豆までお越しになることになりました。
さすがに、「Off会」のノリではなく、彼らにとっては「On」でお見えになるので(汗)、大勢でワイワイというわけには参りませんゆえ、Attendは私一人で粛々と行いますが、せっかくの機会ですので、Philewebコミュニティの皆さんの中から、Auro-3D、MQA、WOWOWによるストリーミングサービス(ωプレーヤー含む)に関するご質問やご意見があったら、お二人とBreak Timeにお茶でも飲む際にぶつけてみようと思います。
ご存知のように(笑)、私は技術的な側面には弱いので(汗)、皆様からのご質問等に関しては、頂いたコメントをそのままお二人にお見せして、そのご回答を私がメモって、後日またここへご報告する、というスタイルを取りたいと思います。
ということで、次の日曜日(18日)の夜までに、お二人に伺ってみたいことがある方は、ここに書き込んでいただければと思います。
お見えになるお二人も、私のような素人相手に話をするだけより、よりお詳しい方の建設的な質問や意見を聞くことができればと思っておられるはずですので、奮ってどうぞ!
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以下、追記です(9月16日)
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きょやさんから情報提供いただいた、「スタジオ・マルチ収録作品におけるイマーシブ・オーディオの可能性」と題する、入交博士の報告を一読し、驚きの連続でした。特に「録音技術」に関してご関心のある方は特に「後編」は必読だと思います(私には理解不能の箇所も多く・・・汗)。
ざっと一読しまして、私レベルでの理解と問題関心に引っかかった部分を以下に引用します。
人の聴覚にはマスキングという現象が有る。マスキングには 「同時マスキング」、「経時マスキング」、「方向性マスキング」という3つの種類がある。その中で「方向性マスキング」というのは、2種類の音源があるとき、それらの音源方向が自分から見て大きく離れていると両者を同時に知覚できるが、音源方向を近づけると一つの音にもう一つの音がかき消されるという現象である。
すなわち、ステレオで聴いていると気になる部屋の雑音が、複数のスピーカで聴取者を取り囲む3Dオーディオ再生では、方向性マスキング効果によりスピーカから再生される音だけが聴こえるようになる
オブジェクトベースの最大の利点は、制作環境と再生環境のスピーカ配置などの音響パラメータを測定しておけば、それら差分に基づいてメタデータを変換することにより、再生環境においてスピーカ数やスピーカ配置が制作ミックスダウンスタジオと異なっていても、ミックスダウンした意図通りに再構成して再生できるという特徴を持っている。
一方チャンネルベースは乱暴に言えば通常の制作スタイルのことで、音量、音源位置情報、EQなどのパラメータは音声モードに応じたマスターファイルの中で各チャンネルの音量差、位相差、音色変化と言う形で固定されてしまう。
従って、チャンネルベースでは、制作環境と再生環境が一致することが前提となる。すなわち再生側で音声モードに応じた標準スピーカ配置が成されていないと、制作時の意図とは異なった状態で再生される。
「広がり感」は定位などの表現に優れるオブジェクトベースの方が制御しやすく、「包み込まれ感」は本質的にファントム音像を用いるチャンネルベースの方が制御しやすいと考えられる。
3Dオーディオは再生環境によって聴こえ方がかなり変わる。業務スタジオでさえスタジオによって印象が変わり、何を信じてミックスすれば良いのか判らなくなることさえ有る。
ということは家庭に普及した場合、各家庭によって全く異なった音で聴いている可能性が高いので、再生環境が変わっても出来るだけ制作時の印象を保てるミックス方法の確立が必要である。理想的なスタジオでしか成立しないようなミックスではとても家庭への普及にはおぼつかない。5.1サラウンドの轍を再び踏んではならないことを肝に銘じよう。
音楽の5.1サラウンドミキシングではC=ハードセンターを用いずにL-R間にパンニングする方法が採用されることが多いが、フロント3本のスピーカが同性能のスピーカであれば、私はL-C-Rパンの方が良いと考えている。3Dオーディオに限らず、マルチチャンネル作品ではできるだけスイートスポットを広くすることが必要であり、そのためにハードセンターを利用する方が良い結果を生みやすい。
しかしスイートスポットで聴けばうまくいっているように思えても、スイートスポットから外れたり、ミックス時とは異なるスピーカ配置で再生したりすると、想像以上に音質や音像が変化する可能性に注意する必要がある。これは同じ音源を複数のスピーカから同時再生するときに再生空間で起こる「コムフィルター効果」が原因で、多かれ少なかれ必ず生じるものだ。
AURO-3Dのエンコードは現在の所、AURO 9.1、AURO 11.1(7.1.4)までが96kサンプリング対応で、AURO11.1(5.1.5.1)以上は48kである。(AURO11.1は2種類あり、元々は5.1chを2段重ねにし、さらにVOG(天井の中心位置)を加えた方式であった。AURO 11.1(7.1.4)は後で追加されたフォーマットで、括弧の中の数字が物語るようにミッドレイヤ7ch、ハイレイヤ4chというATMOS 7.1.4と互換のあるフォーマットである。
48kまでのフォーマットは、いずれもVOGのあるフォーマットで、この理由を問い合わせたところ、世の中にAuro11.1以上で96k対応の民生用デコーダが存在しないので制限していると告げられた。理論的には192kにも対応可能なので、時代の進歩と共にハイレゾ3Dオーディが実現してくるだろうと思われる。
しかしながら作製したフォーマットは13.1なのでこのままAUROエンコードするとサンプリング周波数は48k止まりである。9.1であれば現在でもハイレゾ対応が可能だ。難しい選択ではあったが、家庭への普及を考えると13.1よりは9.1の方に分があり、今回は9.1chで作品化することにした。
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