本コミュニティにおける数少ない(泣)Auro-3D仲間で、Voice of Godを備える「Auro3D友の会正規会員」(爆)のdonguri邸を初訪問させていただきました。先に、donguriさんが伊豆の拙宅にお見えになったので(追記も書いていただきました)、「相互訪問原則」に則って、今回、私がお邪魔したというわけです。
ご自宅(というより別荘?)は、山梨の八ヶ岳高原別荘地内にあり、白樺の木々に囲まれて遠くの山々を見渡せる、素敵なロケーションにあります。
まだ建てて数年という真新しい高断熱ハウスの一角に、パイン材で壁を仕上げたdonguriさんの「聖域」(ここはどう使おうが、奥様は口を出さない、というお約束があるそうです=笑)がありました。
<写真[:image7:][:image6:]
お部屋の広さは10畳ほどの正方形に近い形で、「定在波対策が大変」とのことで、ご覧のように、部屋のコーナーには吸音材が工夫されておかれています。基本的にはDIYでなされているとのことで、不器用かつ無精なのでDIYが苦手な私からみると(汗)、これを見るだけで、やはり「マニア」だあな、と「仰ぎ見モード」に入ってしまいます(笑)。
なんと、donguri邸を訪問するオーディオ関係の知り合いは私が初めて、ということで、donguriさんはわざわざ、二日間かけて「準備」をされたそうです。その準備とは、これです。
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donguriさんとはすでにこれまでかなりレスやメールのやり取りで情報交換をしてきた仲なのですが、その中で、ある時私が、「この2、3FのスピーカーはいくらなんでもUpgradeした方が…」というようなことを口走ったのをdonguriさんは覚えておられて、わざわざ、私の訪問前に急きょ、4台のAuro用の2Fのスピーカーをご自分で交換されたというのです。
<写真[:image1:]この左下に映っているのが、以前のパイオニアのSP。VOG(とセンターハイト)はまだパイオニアのまま(「マイルーム」より拝借)
元々設置してあったSPはパイオニアの、まあはっきり言えば入門機(汗)で、実はこのシリーズのフロア型のものを使っていた友人がいて、たまたま彼のところで以前聴かせてもらったことがあり、そのあまりの<ラジカセ風の音>(笑)に、「さすがにもうちょっといいのに買い替えなよ」と言った記憶があったのです。何といっても、donguri邸は、フロントLRがB&Wの805D3、サラウンドもSBも同じ700シリーズで揃えておられるのを知っておりましたので、行く前(つまり聴く前=汗)から、「映画の効果音ならともかく、音楽鑑賞の場合はいくら何でも音質が揃うわけないだろう」と、どこかで差し出がましくも書いてしまっていたようです(実はこれ、自分にもブーメランしてくるコメントでして、これについては別稿で=汗)。
ということで、それを真に受けた(笑)donguriさんは、DIYにて700シリーズをフロントハイトLRと、サラウンドハイトLRの計4台、二日間で、ちゃんと角度をつける工夫までされてご自分で設置されたのです。
私はもちろん、Beforeの音を知らないので、donguriさんに恐る恐る「変わりましたか?」と伺うと、「全然違う!苦労した甲斐がありました」と言っていただき、なんとか面目を保ったのでありました(笑)。
例によって前置きが長くなりましたが、ここから試聴です。当然、Auro-3Dのネイティブソフト(教会音楽、ピアノ曲、マリンバなど)を中心に聴かせていただきました。donguriさんの好みは拙宅に比して控えめな音量ではありますが、不思議と物足りなさは感じず、むしろB&Wらしい静謐な音と、このWoodyなお部屋と、この景色(窓外には、白樺の木が散在し、その向こうには日本アルプスの山々の稜線が。しかもこの日は台風が通過したばかりで、雲の動きがまた幻想的で、『牧神の午後への前奏曲』なんか聴いたらよさそうだなあ=残念ながら私の知る限り、Auro-3Dではまだ存在しない=と)には、このぐらいの音量がマッチしているなあ、と感じ入りました。
[:image9:]
奥様の手作りのケーキと合わせて、とても優雅な午後を過ごすことができました。Cozy、という一言です。
さて、donguri邸で特筆すべきことは、わざわざ、ATMOSとAuro-3D用に、それぞれ最適なスピーカー位置に2FのSP群が各6台づつ設置してあり、それを切り替えて聴くことができるようにしている点です。
オタクな方はご存知のように(汗)、ATMOSとAuro-3Dの両方が再生できるAVアンプは数々あれど、厳密に言えば、「二兎を追う者は一兎をも得ず」で、普通はどちらの定義もごちゃ混ぜになったSP配置をして、それでお茶を濁している、と思います。
具体的に言えば、ATMOSでは2Fのスピーカー群は、「トップスピーカー」と総称され(ややこしいことに、これはAuro-3DではVoice of God、つまりリスニングポイント真上のSPの名称です)、理想的には天井埋め込みSPを<真下に向ける>、となっているはずです。
これに対し、Auro-3Dでは、基本的に2FのSP群は、「ハイトスピーカー」と総称され、壁の高い位置に、<リスニングポイントに向けて>設置することが推奨されています。
先日お邪魔させていただいたWOWOWのスタジオも、同じような考え方で、すべてのフォーマットで正規のSP配置による音を体験できるように、30以上のSPをスタジオ内に設置してありました(こちらはさらに、NHKの22.2chにも対応)が、一般家庭でこれを実践しておられる方は、私の知る限りではdonguriさんただ一人です。ゆえに、この10畳ほどの部屋の中に、両フォーマットで共有できる1Fの7ch以外、2Fは、ATMOS用の天井埋め込みトップスピーカーが6台(フロント・ミドル・リア)、Auro-3D用に別にハイトが6台(フロント、センター、サラウンド、トップ=VOG)プラスSW1台の計19台、つまり、7.1.12となっています(ちなみに拙宅は、9.4.8)。
この2Fの6台2セットを、ATMOSとAuro-3Dという再生フォーマットによって切り替えるためのスイッチが、これらです(もちろん、各SPセットごとにキャリブレーションをしており、それらは「プリセット1,2」としてAVアンプに保存されている)。
<写真[:image5:][:image8:](左下にトグルスイッチが見える)
そこで当然、オーディオ的な興味としては、これらのフォーマット・スピーカー配置の違いによる、音の変化がどのようなものか、にありますよね(笑)。早速、同じ曲を両フォーマットで録音されている、2LのBDソフトで聴き比べをさせていただきました。
[:image3:](『LUX』のオーディオフォーマットを選択する画面。5.1ch、2ch、ATMOS、Auro-3Dの順に並ぶ)
普段、donguriさんはATMOSセットは映画の時だけにしか使わないそうで、意外なことにご本人もこのような聴き比べは初めてなさるとか。
早速、Auro-3DのReferenceにしている、教会録音の少年少女(?)合唱曲『Himmelborgen』と、『LUX』というオケもオルガンも合唱も入ったグラミー賞受賞作品を聴かせてもらいました。
うーん(汗)。
「Auro-3D友の会会長=自称(笑)」としては、Auro-3Dがすべてにおいて圧勝だと聴く前から思い込んでいたのですが、意外や意外、『Himmelborgen』については、高さ感や、空間の広がり感はATMOSの方が感じるという結果に。これにはdonguriさんも驚いておられましたが、これはもしかするとATMOS用のKlipschの埋め込みスピーカーの位置が、物理的にAuro-3D用のB&W(この時点では、まだセンターハイトとVOGはパイオニアのまま)より1Mぐらい高い場所にあることと、お部屋が比較的コンパクトで、真下に向けてあるKlipschのスピーカーの高域が比較的指向性が弱く、広がりがあるからかなあ、と思いました。というのは拙宅では(もちろん、SP配置がAuro-3Dに最適化されているという点は差し引かねばなりませんが)、やはり何を聴いてもAuro-3DがATMOSより優れているので、個人的にはちょっと驚く試聴結果となりました。
ただし、これも二人の意見が一致したのですが、この差は、なぜか『LUX』ではあまり感じることがありませんでした。そして、発声の子音のくっきり感や、『Himmelborgen』の2曲目にある鐘の音の基音のリアリティ、『LUX』におけるバイオリンの活き活きとした生なましい音(tautology?)など、つまり「音質」は、やはりATMOSより原理的にハイレゾで録音されているAuro-3Dの圧勝でした(まあ、スピーカーの違いもあるのは間違い無いですが)。
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試聴はここまで。今回、音源(や部屋?)によってはATMOSに最適化したSP配置の方が、より優れた(=こちらが期待する?)音場感を演出することがあることを知ることができ、また一つ、3Dオーディオに対する自分の経験値を上げることができたような気がします。ただし(以下も自分に対するブーメランになりますが=別稿=汗)、こうしたフォーマットの違いによる「効果」は、各フォーマットが定義するスピーカー配置・数が<正確に>再現してあって初めてそれらの違いを「正しく」判断できるものであり、同じスピーカー位置のまま、Auro-3DとATMOSだけを単にAVアンプ側で切り替えて聴いて、「どっちがいい」とか「あまり変わらん」とは<軽々に言うべきではない>ということだけは、はっきりと理解できました(拙宅で行った両フォーマットの比較試聴はFairではなかった、ということです)。
このような手の込んだ貴重なシステムでの試聴機会を与えてくださった、donguriさんに改めて感謝申し上げます。
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