定在波計算(StndWave2.exe)を使ったバーチャルなスピーカー配置検討の記事です。今回は4/21に訪問させていたただいたタルガ邸、yasu邸の実測値を使わせていただきます。
<諸条件>
各種寸法は実測値でスピーカー位置はウーファー中心とします。ダブルウーファーの場合は中央をその位置とします。反射率は次の様に簡略化します。
対策なし、石膏ボードに壁紙、拍手で反射を感じる … 0.9
対策あり、カーテンや簡易対策、拍手で反射をあまり感じない … 0.75
対策あり、吸音パネル、拍手で反射を感じない … 0.6
<タルガ邸>
[A] 頂戴したデータより、変更前をシミュレーションします。この段階で実際に音を聞いた感じと全く合っていなかったら終了です。
[:image1:]
70Hz付近が50Hzや100Hzに比べて相対的に低いようです。ソースによって低音がやや不足気味に感じたことと一致しているかもしれません。(気のせいかもしれません)
[B] 実体験と同じ傾向がみられるか仮想聴取者に移動してもらいます。まずは前に歩く。1.5mほど進んだところで低音が増強されました。
[:image2:]
[C] 今度はそこからさらに横へ2.1mほど移動してもらいます。左スピーカーの左前あたりに低音が増強されるスポットがあったのでそれと一致するか確認です。
[:image3:]
およそあっていそうなのでこのまま進めます。まずは聴取位置を元に戻します。
[D] 50Hzと70Hzで20dBほどギャップがあるのでスピーカーを動かしこれが減る位置を探します。幅を片側0.7mほど広げた位置にそれらしき場所が見つかりました。
[:image4:]
[E] Dの結果、50Hzが必要以上に盛り上がってしまい、30Hzと50Hzのギャップが広がってしまいました。少し是正できないかスピーカーや聴取位置をいじります。なお聴取位置は生活利便性上、正面+4.1m以上には動かせません。聴取位置前方0.5mほどのところで少し改善する場所を見つけました。
[:image5:]
[総括] 500Hz以下は一見AよりEのほうが整ったように見えますが、元の配置でもそれほど不都合を感じなかったことから、Eの配置では低音は出過ぎると思われます。特に50Hzは+10dBほどになると推定され、ツーペダルのキレに悪影響が出るなど本末転倒となる可能性があります。あくまで実験的に試すに留めるべきでしょう。
<yasu126邸>
[A] 頂戴したデータより、変更前をシミュレーションします。この段階で実際に音を聞いた感じと全く合っていなかったら終了です。
[:image6:]
どうなんでしょう。。。あってるようなあっていないような。自信はありません。シミュレーション上は65Hzあたりの谷が課題のようです。
[B] yasuさんの部屋の縦横寸法は私と同じ。ここはひとつ自分の部屋で予定している配置に置いてみます。
[:image7:]
盛大にずっこけました。70Hzの谷は50Hzと100Hzが盛り上がったことでより大きなギャップとなってしまいました。
[C] 配置を元に戻し、少しでも65Hzあたりの谷が改善する位置をさがします。聴取位置を0.3m下げるとちょっとだけ改善しました。しかし後が続きません。200Hz近辺に現れた谷も気になります。
[:image8:]
[D] 聴取位置を元に戻し、スピーカーを前に0.1m出します。少しだけ改善したような気がします。
[:image9:]
[E] Dの状態から外側に0.1mずつスピーカーを移動します。
[:image10:]
[総括] EはAと比べて65Hz近辺の谷は5dBほど改善するようですが、500Hzまでのシミュレーションの範囲においてです。Aの配置でうまくいっている高音部分を損なってしまう可能性があります。yasuさんのシステムはスピーカーとリスニングポイントがかなり近いため、どちらかの位置が変わることの影響が他の家より大きく出る傾向にあると思います。その傾向はシミュレーション上でもあらわれていました。
前向きに考えればStndWave2.exeでいろんなパラメーターを手軽に探ることは現実的な解を探す手助けにはなるのかなと思いました。
拙宅のデータもあるのですが、写真がフルになってしまいましたので別の機会に。
謝辞:開発された神野久司さん、Windows版に移植されたminnさん、及び両氏の無償公開に関する同意に感謝します。
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