ほとんど需要のない定在波対策でスピーカーを動かす人向けの記事です。
住宅事情や機器配置、ケーブル長、はたまたやる気の都合上、日本人のオーディオ好きな人でスピーカーを動かす頻度は、ごく一部を除いて極めて少ないだろうと想像します。
確かにノウハウもなくやみくもに動かしても疲れるだけですし、ミスでもしようものなら大切なお体や機器を痛めてしまうかもしれず慎重にならざるを得ません。スピーカーによっては重量があり一人作業が危険な場合もありますし。
それでもあえて取り上げるのはスピーカーセッティングは音への寄与度がかなり高いため些細な変更が大きな効果を生むことと、一発勝負的な要素の多い調音機材導入に、前もって当たりをつける目処がついた(と私は思った)からです。
1.実測からのフィードバック
横75cm 縦114cm
横50cm 縦170cm
横72cm 縦125cm
横72cm 縦135cm
横80cm 縦135cm
横70cm 縦133cm
横70cm 縦124cm
横52cm 縦128cm
ここ数か月の間に動かした回数を指折り数えてみると8回。
定在波シミュレーターで良さそうな場所を探す → スピーカーを動かしてF特を測る → 測定とシミュレーションを比較し、パラメーターを見直す → シミュレーターで良さそうな場所を探す
この繰り返しでシミュレーター上のF特と測定の一致率を高めました。
かなり高まったと思います。比較波形は「3.置き場」へ。
2.考察(で、何がしたいの?)
当初の目的は、60Hz付近の落ち込みを最小化することでした。
EQ補正を行うにしても少ない補正量ですませたい。そのため、できればディップを10dB以下にしたかったのです。しかし見積もり精度を高めた結果、現状の反射率や部屋のサイズでは15dB程度が限界とわかりました。(図1)
15dBのディップがあっても、音は良いです。左右対称と水平は高度にそろえているためかスピーカーは消え、センター定位は明確。谷間の低音不足はあまり気にならず、低音から高音まで十分な分解能と情報量があり、苦手な音源はなく何を聞いても聞き疲れしません。(あくまでも過去の自分のシステムと比べての話です、音源もライブラリに入っているごく狭い範囲です。)
シミュレーターに戻り対策を考えます。こういう時シミュレーターは簡単です。
前面の反射率を側面並みにしてやれば60Hzディップを低減できることが判明。100Hzから300Hzが損なわれますがそこは場所を最適化すれば解決するでしょう。60Hzをなんとかするよりは容易なはずです。(図2)
側面と同じすのこ(苦笑、本来ならアンク)を正面にも導入するのは見た目を恥じなければ実行可能です。さらに追加で天井にQRDスカイラインのようなものを入れて反射率を下げるのも有効であることが示唆されました。(図3)
絨毯で床の反射率を下げるのも部屋音改良の常套手段ですが、60Hzディップに対しては有効ではないことが示唆されました。
得られた知見を元にさらなる改善に努めたいと思います。
図1.現状で60Hzギャップが最も小さくなる配置
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図2.正面の反射率を側面並みに変更
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図3.上記プラス天井の反射率を33%削減
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3.置き場
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謝辞:定在波シミュレータを開発された神野久司さん、Windows版に移植されたminnさん、及び両氏のStndWave2.exe無償公開に関する同意に感謝します。
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