あけましておめでとうございます。お正月は電源事情もよく、周囲も静かで試聴環境のSNがよいので、音が普段よりもよく感じ、オーディオ・ファンにはたまらないひと時ですね。
この日記は定点観測用・調整用のDiscとして使用しているカリヨン/幸田浩子のCDのことです。ちょっとしたきっかけがありましたので、このCDについて書いてみることにしました。
このCDは、今から10年ほど前に日本コロムビア・レーベルから発売されたソプラノ歌手:幸田浩子の2枚目のCDです。別サイトで話題にされていたので購入したものですが、選曲が親しみやすく、演奏も録音もよいのでお気に入りのDiscとなりました。しかも歌い手の幸田さんが、美人で歌も上手いときているのでたまりません。
しかしながら良く再生するには難易度の高いDiscです。マルチマイクの録音で、歌や楽器の音が明瞭に録られているにもかかわらず、その場で演奏しているような立体感も感じることが出来る録音だと思うからです。
少し話がそれますが、一つ一つの音を明瞭に録るにはマルチマイクでの録音が優れますが、立体感や臨場感に欠けてしまうのが難点です。立体感や臨場感を出すためは、ワンポイント録音が優れますが、一つ一つの音の明瞭さには欠けてしまいます。どちらがいいかは一概には決められませんね。
[:image4:]例えば、こちらのExtonレーベルのマーラー:交響曲第1番のDiscですが、マルチマイク録音盤とワンポイント録音盤の両方が発売されていますが一長一短で、どちらがいいかは決め難いと思いました。実際に、同じ場所で両方を聴き比べさせてもらったことがありますが、その場所ごとに印象も変わりましたし、同じお宅でも調整が進むと評価が逆転したこともありました。ただ、オーディオを趣味としている人は立体的な音像や音場を好む(目指している)傾向があるので、ワンポイント録音のほうが好まれる傾向があるように思います。
では、実際の生演奏を聴いたときはどうでしょうか?自分はステージの近くで聴くことを好みますので、編成が大きくても多くの楽器の音は明瞭に聴くことが出来ると感じています。そして、もちろん生演奏ですから立体感と言いますか臨場感があるのは当たり前ですね。ですので、一つ一つの音が明瞭で、かつ立体的な臨場感も味わえるような録音のものが好きです。
話をカリオン/幸田浩子のDiscに戻しますと、このCDは先のマルチマイク録音のよさと、ワンポイント録音のよさを兼ね備えているミキシングがされていると思えるのですが、それを再生する難易度が高いのです。だから調整用のDiscとして使用し、定点観測用のDiscとして聴き合っています。
CDの解説によると、録音した場所はイタリアのパドヴァ郊外にあるヴィラ・マルチェッロという、森の中にハンティング用のロッジとして建設された建物とのことです。
録音風景も掲載されていました。
2本のメインマイクと1本のボーカル用マイク、楽器用のマイクがパート毎に設置され、残響を拾うマイクも数本設置されています。(後半の2曲は、ピアノとオーケストラが入り、別録りの音源をミックスしているように聞えます。)
前段がながくなりましたが、このCDをどのように調整用に使用しているかです。このDiscの特徴として、どんな調整をしたオーディオで再生しても明瞭な音は出ると思います。ですが、定位が定まらなかったり、揺れてしまったり、響きも流れてしまったりで、目の前で演奏しているかのように再生するのはとても難しいです。模範とするのは録音風景の写真の様子で演奏しているように感じることが出来るかを指標としています。
サロンのような場所で、ボーカルを弦楽が取り囲むように演奏する情景を描き出すこととなります。マルチマイクで録ってミキシングされていますので、どのような情報が入っているかは計りがたいところがありますが、この録音風景を目指してミキシングされているはずです。
ここからは、これまでの各種の経験から思うことと、現在の自宅でどのように聞えるかを書いてみます。
<陥り易い現象>
・ボーカルの歌声が一点に定まらずに動いたり、揺れてしまう。
⇒調整を進めると、歌声はどの曲も同じ位置で再生され、正面を向いて歌い、歌声は動かない、揺れない。
・各曲にて、コントラバスの位置が不明瞭で、特に1曲目アヴェ・マリア(カッチーニ)では、ピッツカートの4回目(開放弦)の低音が異様に大きくボ~ンと響いてしまう。(大型スピーカーでも、小型スピーカーでも起こるケースがある。)
⇒調整を進めると、コントラバスの位置は弓で弾いても、手で弾いても、同じ位置から適度な大きさで聞えるようになる。(ただし、曲によりコントラバスの配置は変わり、コントラバスが入らない曲もある。)
このような現象は、特に1曲目のアヴェ・マリア(カッチーニ)がおき易いですし、調整が難しいので、1曲目に集中して調整すればよいと思います。
[:image5:](こちらは、GRFさんが来訪されたときにお土産としていただいた写真を撮ったものです。白黒の方がマイクの配置などわかりやすいですね。)
<現在の自宅での定位>:ポイントのみ記載
1.アヴェ・マリア(カッチーニ)
・冒頭のチェロの主旋律は右前方に定位する
・同時にコントラバスは、センターやや右の奥側で弓弾きしている ⇒《訂正》コントラバスは、右側やや奥の位置で弓弾きしている
・続く、歌声はセンター前で揺れない(歌声に自然にかかるビブラートもチェックポイント)
・コントラバスは1分13秒のところから、手で弾くピッツィカートに変わる
この時に、先の弓弾きと聞える位置が変わらないこと
・コントラバスのピッツィカートは、4打目と6打目が開放弦のようで、響きが増すが大きな音にはならない。
・続きヴァイオリンが主旋律を弾く。冒頭のチェロと反対側(左前)に定位する。
2.アヴェ・マリア(バッハ/グノー)
・別録り?のパイプオルガンとのミックスで特にチェックポイントはない ⇒《訂正》別録りではないとのこと
・ボーカルの位置は、1のアヴェ・マリアと同じ。
3.オンブラ・マイ・フ(ヘンデル)~歌劇《セルセ》より
・この曲もパイプオルガンが入るが、途中からチェンバロと弦楽が入る。
・チェックポイントを置くとすれば、奥行き方向に定位する位置関係か。
前から、ボーカル>チェンバロ>パイプオルガン
・コントラバスはセンター後方に定位する ⇒《訂正》コントラバスは右側やや奥の位置に定位する
4.涙の流れるままに(ヘンデル)~歌劇《リナルド》より
・この曲もチェンバロが入るが、ボーカルと低音楽器の位置関係の定位がチェックか。
5.アヴェ・マリア(マスネ)
・ハープが入り、左やや後ろに定位する。
・コントラバスはセンター後方に定位する ⇒《訂正》コントラバスは右側やや奥の位置に定位する
6.アヴェ・マリア(マスカーニ)
・この曲もハープが入るが、センター後方に配置され、コントラバスは右のやや前方に移動する。
7.禁じられた音楽(ガスタルドン)
・特に特徴なく、前曲とほぼ同じ。
・コントラバスはセンター後方に定位する。 ⇒《訂正》コントラバスは右側やや奥の位置に定位する
8.ヴィラネル(デラックァ)
・ハープとコントラバスが後方の左右に並んで定位する ⇒《訂正》6と同じ、ハープが後方のセンターでコントラバスは右のやや前方
9.くちづけ(アルディーティ)
・弦楽がやや下がった感じか。
・ボーカルは定位置
10.アリア(ヴィラ=ロボス)~ブラジル風バッハ第5番より
・特徴は、チェロとコントラバスの位置関係で、チェロが右前で、その後ろにコントラバスが定位する。チェロの音色とコントラバスの音色が混じらない。
・もう一つの特徴は、ほぼ初めから終わりまで続く各楽器のピッツィカート。このピッツィカートの定位も聴き所。
11.ヴォカリーズ(ラフマニノフ)
・特に特徴なく、前曲とほぼ同じ。
・コントラバスは後方やや右に定位する。
12.カリヨン(ドンギア)
13.アメイジング・グレイス(トラディショナル)
・この2曲はベッペ・ドンギアのピアノが入るためか、ボーカル・ピアノ・オーケストラを別録りしたものをミックスしたように聞えます。
長々と書きましたが、カリヨンの定位の件は現在の自宅でどのように聞えるかを確認したものであり正解かどうかはわかりません。違いなどありましたらご意見いただければと思います。
また、定位する位置を感じることは人により少しづつ違いがあるように感じていますが、自分自身やオーディオ仲間の音を聴く時に、同じ指標で、いつも同じ土俵で正確に捉えることが出来るので、とても有効な特性だと思います。そして、使いこなしを追い込んでいかないと定まることのない特性ですので、サウンド調整に適した特性であり、有効な指標だと思います。そんな意味から、幸田浩子さんのカリヨンはベルウッドさんとの定点観測用・自身の調整用のDiscとして使用しています。
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出先ですので聞いて確認することなく投稿する失礼をお許し下さい。確かTr1だったと思います。
歌声の定位は常にセンターではなく拾うマイクによって異なる認識です。
例えば歌い始めスタンドマイクに拾われている時はセンターでも声を張り上げアンビエントマイクに拾われる比率が高くなると元の定位位置ではなくなる(上方やや右?)といったような。
以上、ヒジヤン邸で聞いたカリオンの記憶を頼りに書きました。
自宅に戻り次第追試します。
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high speedさん、あけましておめでとうございます。
1曲目のアヴェ・マリア(カッチーニ)ですが、この曲のミキシングはボーカルマイクに比較して、メインのステレオマイクや残響を拾うマイクのミックス量が多いように思います。ですので、再生が難しくなりますね。
拙宅ではセンター定位で不動に聞えます(最新のベルウッド邸でもそうでした)が、定位が左右や上下に振れるとすると、以下のことが考えられます。
1)実音と響きの分離がよくなくて、一つの音に耳が捉えるため左右や上下に動いてしまう。
2)耳が実音と響きの分離を捉えられなくて、あたかも左右や上下に定位すると捉えてしまう。
実際の話、指揮者の能力は多くの楽器のスコアをいっぺんに捉え、かつ各楽器の音を聞き分ける能力が必要になります。
また、自分がやっている声楽では、歌を上達させたければ耳を鍛えなさい!と言われます。歌では、自分が発している音の、音程や響きや音色などを聴いてフィードバックをかけなくてはならないのですが、骨伝導や身体の中の響きを同時に聴くので、外に発せられている音がどのようなものかを分離して聴く能力が求められます。
オーディオをやるにも、自分を磨いていかなくてはなりませんので簡単ではないですね。簡単でないから面白い!音楽やオーディオをやるのは共通項も多々あって、繋がっていくから楽しいです。
自宅に戻られてから聴いてみてください。結果を教えてもらえれば、長年聴いてきて、変化を捉えてきた音源ですので、様々なことがわかります。
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ヒジヤンさん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
私も『カリヨン/幸田浩子』のCDを入手していました。
>1曲目・コントラバスのピッツィカートは、4打目と6打目が開放弦のようで、響きが増すが大きな音にはならない。
開放弦で、音が減衰しないので大きな音と感じてしまうのかも知れませんね。
>10曲目・もう一つの特徴は、ほぼ初めから終わりまで続く各楽器のピッツィカート。このピッツィカートの定位も聴き所。
バイオリンのピッツィカートが左右前後に20cmくらいゆれて聞こえます。
これはこれで違和感はなく面白く感じました。
(弦を弾くときはよく体をゆらす奏者がいますが、ピッツィカートの時はあまり体はゆらさないと思いますが・・)
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ふかひれさん、あけましておめでとうございます。
カリヨンは入手されていたのですね。このCDは声楽曲として親しみやすい選曲がされていますし、演奏も録音もよいですね。でも再生は難しいソフトです。
その中でも、1曲目のアヴェ・マリア(カッチーニ)のコントラバスは難易度が高いと思います。持込で聴かせてもらっても、こ・れ・な・ら・・・と思えるケースは数少ないです。
10曲目のピッツィカートは、弦楽でメロディを奏でているパート以外は全員でピッツィカートをしているようです。ですので、そこにかしこに散らばって弾く音が聞える感じです。この音は、SNを上げてゆくとどんどん数が増して聞えてくるので楽しみな指標のひとつです。
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どんぐりさん、あけましておめでとうございます。
本当に録音された音源は、レコーディングエンジニアの腕次第ですね。エンジニア次第では、音楽性を崩してしまうこともあるようですね。だからと言って、録りっぱなしも酷いことになります。以前に、ベルリン・フィル デジタル・コンサートホールの生放送を聴いたときに酷くてがっかりしました。エンジニアが手を入れてこそまともに聞けるようになるのだと実感したのです。よくすることも、崩してしまうことも諸刃の剣でエンジニアの腕次第と言うことでしょうか。
その意味からは、再生においても逆も真なりで、再生する人の腕次第と言えそうです。部屋や機器も大事ですが、再生する人の使いこなしに負うところが大きいのも事実ですね。
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新年早々からこのCDのお話しですか(笑)。でも確かに、このCDは、オルフェウス室内管の「カノン」とともにヒジヤンさんと私の定点観測用CDというにとどまらず、お持ち込みCDとして常用しているCDです。一見、ポピュラーな名曲アルバムなのですが、オーディオチェックのポイント満載のCD。曲がとても親しみやすいので、あまり警戒もされないのですが、実は、こちらはチェックしまくり…という、いわば羊の皮を被ったオオカミみたいなイジワルCDですよね(笑)。元号が変わっても引き続き活躍し続ける密かなオーディオチェックCDですね。
私自身、このCDでシステムチェックをしていますし、いろいろ勉強もさせてもらいました。特に1曲目の「カッチーニのアヴェマリア」は、調整用や検聴用として頻繁に使っています。ちょうど1年前に、Harubaru邸で何と、3時間、こればかり繰り返しかけていたということもあって周囲にご迷惑をおかけしました。その時の日記が、自分なりにそのチェックポイントのいくつかを具体的に示していたと思っています。
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http://community.phileweb.com/mypage/entry/2408/20180115/58249/
この時、定位とか低域の分解能などが、実は、CDPやDACといったデジタル領域のSN特性などが原因でいろいろな現象を起こすことを学びました。まったくオソロシイCDソフトです。それまでは、定位や立体感などはスピーカーのセッティングがすべてだと思っていましたから、自分としては新しい発見でした。持ち込んでもなかなかこのCDを正解と思えるレベルで聴かせてもらえるケースがまれというのもその通りですし、オーディオのことをずいぶんと勘違いされている方も多いのです。
他のトラックについては、ちょっと、今すぐに検証できないので具体的なコメントは差し控えますが、微妙に楽器配置やマイクセッティングなどに違いがありますね。特に、ペッペ・ドンキアのピアノが入る最後の2曲は、かなり趣きが違います。別録りかどうかはわかりませんが、DVD画像を見る限りは、他のトラックと同じように同時録音しているようにも思えます。いずれにしても、ドンギアはポピュラー系の作曲家・ピアニストなので、この2トラックだけは自分の好みでエンジニアに注文をつけているのかもしれませんね。
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>ここからは、これまでの各種の経験から思うことと、現在の自宅でどのように聞えるかを書いてみます。
細かく分析されて凄いなと感心しました。ですが、あなたには大きく抜けているところがあります。それはあなたのシステムが公表されていないことです。システムを見ればあなたがどの程度ジャストミートした音を日頃聴いているかが分かるかもしれないからです。
僕のシステムでもM600AシングルとBTLでぜんぜんちがいましたから、。濃い音色、濃いリズム、深いグラデーションで聴いていれば音場自体が変わってきますから違うインプレになっているかもしれないからです。
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システムの公表は結構です。新しいのは詳しくないので、。一局目のⅠ分29秒のベースの低音は音が大きいですよ。響きだけ大きいと引っ込んで聴こえやすい。なので、音が前に出ていない位相遅れがあるのではないかと思ったわけで。位相遅れは音が薄めになります。
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ベルウッドさん、あけましておめでとうございます。
このCDは大活躍ですよね。自分は幸田さんのコンサートに行ったときに、握手したさに同じCDをもう一枚買ってしまい、合わせて2枚持っています(笑)
それにしても、このDiscの件については様々な論議もして来ましたので、ここでは差し控えるとして、このCDがどのように再生されたかを聞けば、どのような現象が起きていて、どのような問題があるかも大筋は想像がついてしまうほどに恐ろしいDiscだと思います。
この日記を書くきっかけとなった件も、その様子や問題点が手に取るようにわかったので別日記にしたためたものです。ですが、きっと気づかないんですよね。自分の過去を振り返っても、そんなものだったかと言う気がします。
この日記でもう一つ言いたかった、使いこなしの大事さですが、このDiscをお持ちの方は、自身の再生音を聴いていただければよくわかるようにとの思いを込めてみました。
>羊の皮をかぶった狼のようなイジワルCD
…まさにそんな印象を受ける難物です.
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bb7さん、レスありがとうございます。
このCDは10年近くも、自宅や定点観測相手のお宅、そして様々なお宅でも聴き続けてきた音源です。音を聞いた感想を聞けば、かなりのことが手に取るようにわかるようになりました。御日記の内容も拝見して、この日記へのレスに書き込んではいけないと思ったので自分の日記に書いたものです。ですが、最初の書き込みといい、御日記へのレスへの返信と言い、この日記へのレスといい、自分とは論議がかみ合うことはないだろうと思いました。この度はありがとうございました。
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このCDは、このコミュで何度も紹介されていますし、オフ会でも時々耳にするので随分前に入手しました。
正直言って幸田さんの歌唱があまり好みでないこともあり、真剣に聴いたことが無かったのですが、ヒジヤンさんがチェック・ポイントを詳細に解説されていたので、半日かけて聴き込んでみました。
ウチでの再生は、本文で書かれていた内容とほぼ一致し、とりあえず安堵しました。その上で気付いた点を幾つかコメントさせて下さい。
1.アヴェ・マリア(カッチーニ)
「コントラバスのピッツィカートは、4打目と6打目が開放弦のようで、響きが増すが大きな音にはならない」
大きな音にはなりませんが、柔らかく広がる感じです。これが響き過ぎかどうかは判断が難しいです。
3.オンブラマイフ
ボーカルはセンター定位で不動ですが、フォルテでアンビエンスが増加すると「芯の音像」の周りに響きのフレアが付いたように聞こえます。
「実音と響きの分離がよくなくて、一つの音に耳が捉えるため左右や上下に動いてしまう」というのは、この響きで音像が大きくなったり左右に引っ張られることだと理解しました。
定位に関しては、前から、ボーカル>チェンバロ>パイプオルガン ですが、チェンバロが少し右寄りに聞こえます。
4.涙の流れるままに(ヘンデル)~歌劇《リナルド》より
定位は、前から、ボーカル>チェンバロ>コントラバス
左から、バイオリン>ボーカル(センター)>コントラバス>チェンバロ、に聞こえます。
チェンバロがここでも少し右寄りに聞こえますが如何でしょうか?
いずれにせよ、興味深い試聴ポイントが幾つもあるCDです。
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お話はベルウッドさんから伺っています。カリヨンの聴きこみをありがとうございます。そして、聴きこみ結果のコメントもいただいて感謝です。自分も確認の聴きこみをしました。
さて、コメントいただきましたことについてです。
>1.アヴェ・マリア(カッチーニ)
「コントラバスのピッツィカートは、4打目と6打目が開放弦のようで、響きが増すが大きな音にはならない」大きな音にはなりますが、柔らかく広がる感じです。これが響き過ぎかどうかは判断が難しいです。
拙宅では、コントラバスのピッツィカートの各打毎の音の大きさはほぼ同じくらいに聞えます。ただし、4打目は開放弦で響きが多めで長く続きます。響きはセンターから左寄りに多く響くように感じます。
余談ですが、自宅での変遷や他邸で聴いたことからの考察では、1曲目のアヴェ・マリアのコントラバスの弓弾きとピッツィカートは低域の分解能が試されます。冒頭のチェロに続くコントラバスの弓弾きが他の音に混じらずにセンターから聞えることや、4打目のピッツィカートの音が大きな音にならずにほぐれ、実音と響きが分離して聞えるがポイントです。後は、スピーカー部などの共振によっても音が増幅されて、ボ~ンと大きな音になってしまうケースもありました。
コントラバスのピッツィカートの音の大きさの話は、演奏者が急に大きな音にはしないと思いますので、演奏者の心で聞けばわかりますね。
>3.オンブラマイフ
>フォルテでアンビエンスが増加すると「芯の音像」の周りに響きのフレアが付いたように聞こえます。
この話は実際に音を聴いてみないとはかりがたいものがありますが、歌声に自然とかかるビビラートがついています。このビビラートと空間の響きが混じっている可能性もあります。拙宅では、分解能とSNを上げていく過程の中で、ビビラートと空間の響きが分離して聞えるようになりました。
>定位に関しては、前から、ボーカル>チェンバロ>パイプオルガン ですが、チェンバロが少し右寄りに聞こえます。
確かにチェンバロは右よりですね。耳をこらして聞くと確かに右よりでした。これは拙宅のウィークポイントのひとつで、音響的にセンターと左右にパネルを使用している関係から、どうしても定位がパネルの位置に引っ張られる傾向があります。ベルウッドさんとも、1曲目のコントラバスの位置の論議になったことがあるのですが、自宅で聴くほうがセンターに近くなることから気づきました。
>4.涙の流れるままに(ヘンデル)~歌劇《リナルド》より
>チェンバロがここでも少し右寄りに聞こえますが如何でしょうか?
これも3と同じでした。よく聞くとチェンバロは右よりです。原因は3と同じです。少しパネルの調整をしてみようと思います。
ご意見ありがとうございました。
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再レス失礼します。追加で解説されたポイントに注意してもう少し聴きこんでみました。
ウチの再生は、ボーカル、チェンバロ、バイオリン/チェロに関しては多分、合格点だと思いますが、コントラバスとパイプオルガンに関しては疑問です。どの程度、定位と音階が明瞭に聞こえるのか他邸の音と比較してみたくなります。
今後のオフ会での持ち込みソフトになりそうです(笑)。 大変参考になる解説ありがとうございました。
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のびーさん、中々の難ブツです。
そんな風に思えないところに一癖ありますね。
チェンバロの定位の件、原因がはっきりしました。スピーカーからの直接音と、センターパネルからの反射音が混じって聞いてしまい、よく聞くと右寄りに定位するのに、パネルからの反射音に惑わされて、センターに感じていたようです。センターパネルの角度を1mmくらい動かしたら音が混じらずに聞けるようになりました。
>今後のオフ会での持ち込みソフトになりそうです(笑)
住む場所が離れているとは言え、同じ土俵で会話が出来そうですね。ベルウッドさん共々、共通の話題で楽しみましょう!
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遅まきながら、このCD全体を聴き直してみました。(実際にはリッピングのファイル再生ですが)
若干の補足をさせてください。
最後の12.と13.は仰るように別録りですね。ビデオ映像がややこしいですが、あれはプロモーション映像ですね。聴くと、ボーカル、ピアノ、オーケストラが空間を共有していません。特にオーケストラは、それ以外のトラックと響きや定位がまったく違っています。こういうことは立体感がちゃんと再生できていないと気がつかないのかも知れません。
オルガンは別録りではありません。ポジティブオルガンという小型のパイプオルガンです。ブックレットには’Chamber Organ’とクレジットされています。写真の後方奥(中央右)に家具のようなものが写っていますが、それがこのオルガンでしょう。
このCDで一番難しいのは、コントラバスの位置ですね。低域は定位がとらえにくく、再生も難しいのだと思います。1トラック目など、当初はずいぶんと真ん中寄りだと思っていましたが、今ではいずれのトラックでも写真のような配置が基本で大きく違いはないのだと認識するようになりました。
ただし、チェンバロやハープが入ると場所の問題や音のバランスで配置を微妙に変えているようです。特にハープが参加しているトラックは難しく、調整用Discとして、どこまでこの微妙な違いを気にするかどうかですね。
写真は、ずばり、6.アヴェ・マリア(マスカーニ)の録音風景だと思いますが、いかがでしょうか?
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ベルウッドさん、聴き込みありがとうございます。
最後の12と13は同感です。
>ボーカル、ピアノ、オーケストラが空間を共有していません。
表現が少し難しく感じる人がいるかもしれませんので、わかり易く表現すると、楽器の大きさがバラバラですよね。さすがにボーカルは一定で各トラック共に同じ大きさですが、12と13はピアノが異様に大きくて、オーケーストラが異様に小さい。だからバラバラで別録りのミックスですね。
このようなポップスのような録音を自然に感じるとすると、いつも再生音楽に親しんでいるため、それが普通=自然と感じるのかと思いました。
パイプオルガンは別録りではなく、小型のものだったのですね。パイプオルガンの音を聞くと大型を思い浮かべてしまう誤認識でした。
さて、自分ものびーさんからの指摘で、センターパネルの右側のみを1mmくらい開き方を大きくした状態で聴きなおして見ました。すると、最初に書き込んだ時と変わりました。(まったく何でこんなことで変わるのか・・・と嫌になりますが。。。)
ベルウッドさんの提示とほぼ同じです。コントラバスの基本の位置は、写真と同じ位置ですね。本文の聴き込み結果は、最新状況に訂正しておきました。
では、なぜ今までセンターに認識するトラックが多かったのかを考えてみました。(拙宅では、センターパネルの反射影響がありました。)
コントラバスの弦の響きや胴鳴りの音が左方向に多く飛んでいるためだと思いました。コンサート会場でコントラバスの楽器表面の対抗位置がよく聞こえる現象と同じです。鳴り始めの音と弦や胴鳴りの音を分離して聞けば、右側に配置されていることを認識するものを、混じって聞くとセンターに感じるのではないかと思いました。この現象も様々な原因が考えられるので、やっかいですね。これらをひとつづつつぶしていくことが大事かと。
1)システムの分解能の問題
2)部屋の音響的な問題
3)音を分離して聞く能力の問題
それにしても、定位のような、”誰でも””どのシステムでも”同じ土俵で比較が出来る特性は、サウンドの追い込みには欠かせないことだと益々もって認識を深めました。
最後に、写真は、ずばり、6.アヴェ・マリア(マスカーニ)の録音風景で同感です。あと、8も同じかなと思いました。
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