廉価システムにルームチューニングでサウンドは大変身です。特にセンターパネル一番上の3枚目を載せたとたんに部屋中に音が回り、まるでライブハウスにワープしたような感覚でした。
この時期は、主にボーカルものを聴いていました。いわゆる女性ボーカルと言われるジャズやポップスのボーカルものです。オーディオ機器はTOTALで500Kほどの安物でしたが音には満足していました。(あくまで、その時点でのことですが、、、)機材のバランス、オーディオが出す音と部屋のバランス、低音も控えめだったので振動による悪さも感じませんでした。この時点でもオーディオショップや展示会巡りは続けていたのですが、この体験から高い機械を買ったところでそれほど違わないだろう、と思っていました。
ところが・・・、ステレオサウンド誌で絶賛されていた(限られた人の宝物)交響曲:マーラーの第5番のCDを買って鳴らしてみて愕然としたのです。まったく鳴りませんでした。今考えても、その酷すぎる音に青くなってしまいます。
ボーカルは鳴っても、オーケストラはまったく鳴らなかったのです。その時は、なぜ鳴らないのか理由がわかりませんでした。そこから難行苦行が始まります。スケール感を出すために音量を上げる。すると、音が耳に刺さるような刺激音が飛んでくる。音量を下げると箱庭の中で鳴っているようでまったく面白くない。あまりの酷さに、「絶対に鳴らしてやる!」と心に誓いました。
まず最初に取り組んだのは、この苦痛とも言える音を大音量で、毎日1回(1時間程度)聴くことです。この苦行を続ければ、なぜ鳴らないのか、どうすれば鳴るのかが開眼すると思ったのです。1か月くらい滝に打たれるように苦行を続けました。でも、オーディオは悟りを開くための修業とは違いました。何も見えては来ません。
次にアクセサリーやケーブル類を試しました。箱いっぱいになるほどのアクセサリーを借用して試します。ここで、音数の多い音源は、音のほぐれが大事ということを学び、効果のあるものは入れたのですが、まだまだ程遠い音しか出ませんでした。
そこで考えました。一度も生を聴いたことがないものをオーディオで鳴らそうというのが間違えかもしれない。仮に鳴ったと思っても、評価の尺度はどう持てばいいのか?と疑問だらけでしたので、生演奏を聴きに行くことにしました。アマオケの無料公演を見つけてはマーラー5番を聴きに行ったのです。何度も何度も生演奏を聴きに行き、同時にショップの試聴室などにも通いました。そんな繰り返しの中から、交響曲の鳴らし方も光が見え始めてきました。
この時点では、オーディオ機器のグレードも大事だと感じます。大きく広がる楽器群の音を、細かい音までも明瞭に再生し、それぞれの楽器群の定位を安定させ、響きが部屋中に感じるような音場を作る必要があると。そこでみそめたのが、今使っているB&W802Dです。このスピーカーを使えば交響曲も上手く鳴らせそうだと思いました。反面、心配だったのが8畳のスペースで鳴らせるかということです。加えて、このスピーカーを駆動するためのアンプや、ここに音を流すプレーヤーも大事だと実感しました。光は見えたのですが一気には進まず、バランスを取りながら徐々にグレードを上げていこうと思いました。
こんな経過から、オーディオ機器も変わっていきました。スピーカーはいきなり802にはせずに、中継ぎとして804を選択します。アンプやCDプレーヤーも変わりました。写真で見るとケーブル類も変わっていますね。バイアンプ駆動にして、ルームチューニングも徐々に追い込んでいきました。
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