次のコンサートは何にしようかと考えていました。このところはオペラの名場面のアンサンブルや、短編オペラに取り組んでいたのですが一通りを完成させるまでの稽古が大変です。短編ものでも一つの作品を人前で演じられるようにするには1年くらいかかりますので、オーディオ趣味と両立するのは厳しいのです。声楽もオーディオもこの先の時間がそれほど長くはないので、出来ることなら併行してやっていければ・・・と考えていました。
そんな折にサルビア音楽ホールのコンサートで目にしたのが、「カンツオーネ・ワークショップ」です。3時間ほどのワークショップですから、これに参加すれば歌えるようになるわけではないのですが、きっかけになればよいと思いました。
参加してみると中々面白かったです。講師は昭和音楽大学講師で藤原歌劇団の大森智子さん。冒頭にカンツオーネを1曲披露してから始まりました。
第1部:導入編
・カンツオーネって何?オペラとの違いは?
・イタリアってどんな国?
・カンツオーネのふるさととナポリとサンレモ音楽祭について
第2部:カンツオーネを歌う
・サンタ・ルチア Cottrau作曲(1849年)
・帰れソレントへ De Curtis作曲(1902年)
・フニクリ・フニクラ Denza作曲(1880年)
・オー・ソレ・ミオ Di Capua作曲(1898年)
第1部では、下記と語られたのが印象的でした。
・カンツオーネはイタリアの民謡で、フランスならシャンソン、日本なら演歌にあたるもの
・カンツオーネは大学の声楽教科として取り上げられることはないが、キャッチーなメロディが誰にでも楽しめること
・カンツオーネの歌い方に決まりはなく、気持ちよく、波に揺れるように、時には小節をまわして歌えばよいこと
◇オペラでは、モーツアルトはこう歌えとか、ヴェルディは・・・など形式が重んじられるのですが、カンツオーネは身体を揺らして、楽しく歌えばよいと。これは気が楽です。声楽曲とカラオケの中間ですね。
第2部では、楽譜が配られて4曲を歌ったのですが、ナポリのスライドを映しながら、講師が楽しそうに語るのを聞きながらの歌唱です。歌詞は原語でしたがカタカナのルビがふられていましたので、聞き覚えのあるメロディにのせて参加者50名ほどでの大合唱です。年配の方が多かったのですが、日本でも1960年代に大ヒットしたということで皆さん歌えるんですね。600名定員のホールで、50名ですから一人一人の空間を大きく空けて、ホール中に広がる人の歌声を浴び、まるでナポリの風に吹かれながら歌っている気分でした。
こうなってくると、きちんと覚えて歌いたい気分が湧いてきます。そこで、ホール予約のサイトを調べてみると、普段は半年前の抽選会で何十倍にもなる休日の公共ホールが空いているではないですか。しかも周辺で行われるイベントの最中です。「これなら集客活動をしなくても自然とお客さんが集まってくれる・・・」そんな皮算用も浮かんだので、早速ホールの予約に向かいました。
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