今回も横浜みなとみらいホールです。大規模改修後のみなとみらいホールのサウンドは、自分好みに生まれ変わったのか?生まれ変わったとするなら、好みの席位置はどこなのか?そんな興味からの再訪です。今回も直前にチケット救済サイトで取得しました。
公演は、N響のオーチャード定期公演です。「オーチャード定期」と言いつつ「みなとみらいホール」で開催?と感じるのが普通ですが、オーチャードホールのある渋谷のBunkamuraが2027年まで休館(オーチャードホールはやっている)のため、渋谷公演と横浜公演を交互にやることにしたとのことです。
今期のオーチャード定期のテーマは「コンサートホールで世界旅行!」です。第124回のテーマは“パリの芸術家たち”とのことです。このテーマ選定は自分もコンサートを実施するときは悩みながら考えますが、お客の立場になると別に気にならないなぁなんて、少し気が楽になりました。
気になるのは演奏者や演目ですね。
指揮:尾高忠明 ピアノ:角野隼斗
①ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調
②ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1945年版)
今回の狙いは、前回に「ピアノ協奏曲を右サイドのバルコニーから聴くのがとてもよかった」ので、左サイドのバルコニーから聴いたらどうなのかが知りたかったというのが動機です。
でも、失敗したのは前回が「RAブロック2列目ひとケタ代席」との提示で購入して、今回は「LAブロック1列目ひとケタ代席」との提示でしたので、「比較に最適」と思い飛び付いたのですが、RBブロックとLBブロックでは席番号の付け方が前後逆だったのです。同じと思ったものが、前回はブロックの最前部で、今回はブロックの最後部でした。まあ大局にはあまり変わりはないだろうと思ったのですが、実際に聴いてみると「エー、と思うほどの違いがある」というものでした。
今回はチケットを忘れていないかと何度確認したかわかりません。「プレトーク」もありましたので、開演の1時間前には入館しました。
座席位置からの視界です。1列目は確かに手すりが気になります。
今回はしっかり予習をして来ましたので、オーディオとの対比で聴いていました。と言いますか、意識せずとも自然と対比して聞こえてしまうのです。予習はやる方がいいか、やらない方がいいか、悩ましいですね。
①ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 感動度:☆☆☆☆☆
予習で聴き込んで来たのは、ツィメルマン&ポーランド祝祭管弦楽団盤です。
オーケストラの演奏が始まり主題を奏で始めました。この位置から聴くサウンドは、音量的にも音質的にもオーディオと大して変わらないという印象でした。長めのオーケストラの後で、ピアノが奏でられましたが、「音が小さく」「モコモコした音」でガッカリでした。6月の右サイドで聴いた音との違いに驚嘆します。この曲は、オーディオで聴いてもうっとりするのですが、ちょっと残念な音で途中に少し寝てしまいました。
気を取りなおして、休憩時には三階まで上がり深呼吸します。天気も快晴でしたので、「海の見えるホール」とのうたい文句にたがわぬみなとみらいの景色を堪能しました。
②ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」 感動度:★☆☆☆☆ (パーカッションは★★★☆☆)
後半の火の鳥はよかったです。こちらの予習音源は、イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭楽団盤です。
前半はおとなしい曲ですから、この位置で聴くとオーケストレーションはオーディオに分がありますね。しかしながら、オーボエ、フルート、ヴァイオリンのソロが美しく浮かび上がっています。これはオーディオでは聴けない音です。そしてやって来たのが、急激に立ち上がるパーカッション軍のサウンドです。グランカッサの咆哮とマリンバの鮮烈なサウンドに目は見開きました。座席位置からの写真を見るとわかるのですが、グランカッサとマリンバがこの位置ですから、オーディオでは聴くことの出来ない鮮烈に音にやられました。盛り上がるリズムに心も身体も揺れています。最後のグランカッサ+合わせシンバルの2発では、覗き込むように聴いていた首が、くの字に折れ曲がりましたから希少な体験でした。これだから生体験は止められません。
大規模改修後のみなとみらいホールでの3連戦で、概ねこのホールのサウンドが掴めた気がしています。次は、以前からのお気に入りのミューザ川崎で聴いて、みなとみらいホールとの比較をしてみたいと思います。
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ヒジヤンさん、おはようございます。
今回のみなとみらいのコンサートホールでは、ピアノはステージ前部の中央に置いてあるようなので、前回の席に比べて、今回は少し離れたことと、ピアノの反響版の裏側に座られたので音が小さく聞こえたのでしょうね?グランカッサなどは中央奥に設置されているので、より近くなったんですね。
今回の位置だとムジークフェラインの様に低音が響くのですか(笑)?
また、低音を求めるなら、前方の最前列席より、ステージ後方の席を選ぶの方が良いことに気づかされました。なるほど!
Tomyさん、コメントありがとうございます。
楽器の音色の話は、おっしゃる通りに「距離」の影響は音量として大きいのですが、音質は別の話です。多くの楽器を同時に鳴らす場合は、「混濁感」が大きな障害となります。反射音や響きの影響も大きいです。みなとみらいのこの位置は、音楽を聴くにはお勧めしないです。
グランカッサとマリンバの鮮烈な音は、距離が近いことによるものですが、楽友協会ホールの音とは質が大きく違います。みなとみらいホールの音は「直接音」主体です。楽友協会ホールの音は「ホールが鳴っている音」です。みなとみらいのこの位置ですと、直接音の衝撃で「首がくの字に曲がるほど仰け反る」のですが、楽友協会ホールでは、「衝撃を瞬間的に全身に感じる」感覚です。
この差は、直接音主体で鳴らしている2chと全身を取り囲むように鳴らすマルチチャンネルの違いに近いかもしれないです。
で、私が指向しているのは前方からの音だけでも、全身に感じるような音なんですね。楽友協会の音に大きな影響を受けています。
音響の世界は奥が深くて、難しいですし面白いです。