このところくさくさした気分に浸っていましたので、少し落ちついた気持ちになりたいと思い、ヴァイオリンとピアノによる「ヴァイオリン・ソナタ」を聴くことにしました。オーディオ的に捉えると、ヴァイオリンとピアノの両立は難しい課題のひとつだと感じています。
ヴァイオリンは空間の響きがのる方が心地よいですし、ピアノは楽器自体の響きが強くソリッドな空間の方が相性がよいと感じています。再生機器の視点に立つと、スピーカーのエンクロージャーを鳴らすタイプのソナスファベールなどはヴァイオリン再生に向き、ガッチリとしたエンクロージャーを持つスピーカーはピアノ再生に向くと感じます。また音に響きをのせる真空管アンプはヴァイオリン再生に向く、などと言うことかと思います。
これはオーディオ再生に限った話ではなくて、生演奏を聴く時も同じです。響きがたっぷりとした、ヴァイオリンを聴くのに適したホールがあれば、比較的ソリッドでピアノの一音一音が明瞭に聴けるホールもあります。自分の経験では、ヴァイオリンが心地よいと思ったホールで、ピアノを聴いたら響きが耳について聴いていられなくなり、響きを感じにくい位置に移動したことがありました。
そんなヴァイオリンとピアノですが、音楽的にもこの特性の対比を活かした名曲が数々あります。ゆったりと音楽に浸るにも、オーディオ的な追い込みを進めるにも、ヴァイオリン・ソナタは適した楽曲だと思います。ただ、音楽的にもオーディオ的にも満足するためには、よいソフトは欠かせないですね。そこで、名曲と名高いヴァイオリン・ソナタをストリーミングで比較しながら好ましいと思えるソフトを探しました。
フランクのヴァイオリン・ソナタ
作曲したセザール・フランクはそれほど有名な作曲家ではありませんが、このヴァイオリン・ソナタは傑出した作品で多くの音楽ファンに親しまれている楽曲です。以前から好きな曲でしたので、東日本大震災の時はこの曲を何度も聴いた思い出があります。節電のために電気を消して、音楽だけ小さく流し、毛布に包まりながら聴いていました。そんな曲なので数種類のCDを手持ちにしているのですが、心機一転と思い新しい音源探しをしました。
フランス近代ヴァイオリン・ソナタ集/ミリヤム・コンツェン盤 Arte Nova CD
ミリヤム・コンツェンのデビューアルバムですが、ストリーミングで聴いてちょっとビックリしました。まずはヴァイオリンとピアノの録音バランスがとてもよいことです。心地よい弦の響きとピアノの明瞭さが両立しているため、オーディオ調整にも最適と思いました。
演奏面では、若い二人の実直でダイナミックな演奏と感じます。円熟味のある、うねりを持たせた演奏が好きな方には物足りなさを感じるかもしれませんが、ヴァイオリンとピアノの対比を聴くにあたり、最高の録音と最高の演奏を併せ持った音源のひとつだと思い、新たにCDを購入しました。
ヴァイオリンとピアノによるソナタは、心休まる楽曲ばかりではありません。ヴァイオリンとピアノの掛け合いで競うような、興奮する曲もあります。
ベートヴェンのヴァイオリンソナタ 第9番 《クロイツェル・ソナタ》
ベートヴェンの名は知らぬ人がいないほど有名な作曲家ですよね。ヴァイオリン・ソナタも数多くの作品を残しています。その中でも1,2を争うほど親しまれているのが、第9番の 《クロイツェル・ソナタ》かと思います。ベートーヴェン自身のつけた題名は『ほとんど協奏曲のように、相競って演奏されるヴァイオリン助奏つきのピアノソナタ』とのことで、ヴァイオリンとピアノが対等に競い合う曲です。そのような曲ですから音源は山ほどありますが、自分の耳が引きつけられたのは下記でした。
Beethoven Violin Sonatas 9 & 10 / クレーメル&アルゲリッチ盤 DG CD
この音源も多くの演奏を比較試聴して耳に留まりました。こちらは円熟味溢れる演奏が、生々しくもあり、激しくもある音で聴けます。特にピアノの低弦が、これほど力強くダイナミックに、しかも全体のバランスを崩さずに聴ける音源は少ないのではないでしょうか。クレーメルとアルゲリッチによるベートヴェンのヴァイオリンソナタは1984年から1995年にかけて録音されていますが、最後に録った第9番 《クロイツェル・ソナタ》に惹きつけられました。この音源もヴァイオリンとピアノの対比を聴くにあたり、最高の録音と最高の演奏を併せ持った音源のひとつだと思います。
心落ち着かせるヴァイオリン・ソナタと興奮するヴァイオリン・ソナタの2曲です。久しぶりにストリーミングからよい音源を見つけることが出来たと、悦に浸ることが出来ましたので日記にしました。
コメント ※編集/削除は管理者のみ
ヒジヤンさん、お久しぶりです(^^)
ヴァイオリンとピアノの組み合わせは部屋の影響が大きくて再生が難しいですよね。
そして大型マルチウェイで上手く鳴る音源は小口径フルレンジでは上手く鳴らない傾向があります。またその逆も然りですね。
ヴァイオリンソナタはフランク、ベートーヴェンはじめ名曲が沢山ありますが、オイストラフのクロイツェル2楽章は特に大好物です(笑)
さて、我が家のフルレンジで上手く鳴るをCDを紹介させていただきます。
■シマノフスキー/ヴァイオリンソナタ
(アルバム中ではアーンのノクターンが秀逸)
https://www.youtube.com/watch?v=lwOSXPdmDaw
■プロコフィエフ/ヴァイオリンソナタ1番4楽章
https://www.youtube.com/watch?v=jquBbkmtKGw
■シュニトケ/ヴァイオリンソナタ1番4楽章
https://www.youtube.com/watch?v=iIfHK6pPur0
spcjpnorgさん、ご無沙汰しています。地域センターでのコミュニティ活動は順調でしょうか。
本題ですが、
>大型マルチウェイで上手く鳴る音源は小口径フルレンジでは上手く鳴らない傾向があります。またその逆も然りですね。
これは然りかと思います。
加えて、求める再生の違いもあるかなと思いました。自分は演奏の近くで聴くのが好きで、その時のヴァイオリンとピアノの好ましいバランス(主観です)が、自宅で再生したときに再現してくれるものをよしとしています。だから主観ですね。
その前提で、ご紹介いただいた音源を聴いてみました。
・先ずは選曲ですが、spcjpnorgさんは個性を求めるタイプかなと。だれもが好むような選曲ではないなあと思いました。
具体的に音源を聴いた感想は、
■シマノフスキー/ヴァイオリンソナタ
ヴァイオリンは明瞭でよく録れていると思います。ですが、自分の好みでは、ヴァイオリンに対して、ピアノの明瞭さと音量がバランス的に弱いと感じました。
■プロコフィエフ/ヴァイオリンソナタ1番4楽章
この音源は遠目に聴く感じで、自分の好みとは違いました。
■シュニトケ/ヴァイオリンソナタ1番4楽章
この音源(この曲?)はピアノがメインで、ヴァイオリンは助奏なんですかね?自分的にはもっとやりあって欲しいと思いました。
音楽もオーディオも主観なので難しいですね。好みが皆同じだったら気持ち悪いですしね。ご意見ありがとうございました。
ヒジヤンさん、おはようございます(^^)
地元活動はぼちぼちとやっております。
サックス吹きの友人とオーディオオフ会したり、地元出身シンガーのミニコンサートのお手伝いしたり、他地域オーディオ会に参加したり、地味に活動しております。
尚、ピアノの師匠に「あなた音楽の趣味悪いわね」と言われたこともあるくらいなので、好みが個性的なところは自他共に認めるところであります(笑)
ただ名曲と言われる楽曲も普通に好きですよ。
ベートーヴェンのオイストラフ盤は音質がアレなので、演奏&音質的にはカピュソン&ブラレイ盤が好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=GGPZyOyxHgc
フランクはシルブ&ザルブ盤が好き。
https://www.youtube.com/watch?v=Yq2qKvuSrgA
というか、奏者の好みも個性的ですね(なんなんだろ~)
spcjpnorgさん、新たにご紹介いただいたYouTubeも聴いてみました。
《クロイツェル・ソナタ》もフランクのヴァイオリン・ソナタもヴァイオリンとピアノのバランスはいいと思いました。
クロイツェル・ソナタはわりにあっさりとした演奏ですね。
フランクはゆっくりめで情緒たっぷりと思いました。
ところで、ヴァイオリン・ソナタは何で左がヴァイオリンで、右がピアノの録音が多いのでしょうね。自分は逆の方がしっくり来るのですが・・・
一般的な話ではなく、大分前に私が個人的に聞いた話なので「話半分」で聞いてください。
コンサートでのヴァイオリンとピアノの位置関係について聞いた話では、息を合わせるのにヴァイオリニストからピアニストが見やすい位置があるそうです。
客席から見てヴァイオリニストが中心だとすると、その右後ろにピアニストだと息が合わせやすいそうです。
そんな感じで、、、ココからは私の想像です。
コンサートをイメージして音作りするとして、オーディオ的にヴァイオリンが中心だと左が薄くなっちゃうので、ヴァイオリンをやや左側に、ピアノをやや右側にという感じなのでしょうか。
spcjpnorgさん、コメントありがとうございます。
いただいたコメントを見ながら、ヴァイオリンソナタ演奏のYouTubeの数々を見ましたが、向かってヴァイオリンが左でピアノが右の演奏がほとんどですね。たまに、ヴァイオリン奏者がピアノ奏者にマル被りのものもありましたが、これはヴァイオリン奏者の自己顕示かなと。
自分は声楽なので、ピアノと合わせるのはピアノのへこんだ部分で、ピアニストは正面から歌い手を見て、歌い手は横目でピアニストを見るというか、呼吸を見せる感じで合わせるので、ピアノが左が一般的なんです。
ではなぜヴァイオリンソナタは、ピアノが右なのかを考えると、楽器同士なら音で合わせるので、ピアノの正面に立ち多少でも音を阻害することのないように左に立つのかなと思いました。
録音は、演奏している様子通りに定位している(させている)ということかなと理解しました。ありがとうございます。
おはようございます~♪
なるほどです確かに歌とピアノだとヒジヤンさんの位置が良さそうですね。
ライブに相応しい立ち位置、録音時に相応しい立ち位置、考えると奥が深そうですね。
コメントを書いてて色々と思い出したので追加コメントさせていただきます。
ピアノって音源によって位置や向きが違って聴こえますが、ヒジヤンさんはピアノの向きとか気にしたことありますか?
たしか以前ブログ記事にした筈なのですが見つからず、幸い記事に使った動画?がYouTubeに残ってました。
単純に「私のシステムではこんな風に定位しますよ」という内容です。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLsMhksCYtpoRU6r6SsUxJeBnZQHfLSHRv
spcjpnorgさん、次々とよく出て来ますね~
リンク先のYouTubeを聴いてみました。
①音のカタチ(形、姿、イメージ)と輪郭を求めて~ピアノ編[1]
・壁を越えて遠目に定位しますね。
・高弦より低弦が遠いので、絵の配置で納得しました。
・逆相録音かな?
②音のカタチ(形、姿、イメージ)と輪郭を求めて~ピアノ編[2]
・前に出てきました。
・高弦の音と低弦の音が横に並ぶので、絵の配置で納得しました。
・でも、こんな形で演奏しますかね?
③音のカタチ(形、姿、イメージ)と輪郭を求めて~ピアノ編[3]
・高弦の音と低弦の音が斜めに聞こえます。
・小さな声が絵の辺りから聞こえました。
・絵の配置で納得しました。
④音のカタチ(形、姿、イメージ)と輪郭を求めて~ピアノ編[4]
・③との違いは、高弦の音と低弦の音の距離感から逆斜めで納得しました。
⑤音の見える世界を求めて~ピアノトリオ編-[1]
・ピアノトリオの絵の通りと思います。
⑥音の見える世界を求めて~ピアノトリオ編[2]
・ピアノトリオの絵の通りと思います。
⑦音の見える世界を求めて~ピアノトリオ編[3]
・ピアノに注目します。
・高弦の音と低弦の音が横に並ぶので、絵の配置で納得しました。
・が、②と同じでこんな形で演奏しますかね?
以上、絵を見ながら聴いた感想です。
ヒジヤンさん、コメントありがとうございます♪
オーディオ再生の定位に関しては音楽家の皆さんは全く気にしてないようです。
オーディオのネタとしては面白いと思うのですが、最近は細かいことが気にならなくなってきました(笑)
spcjpnorgさん
>オーディオ再生の定位に関しては音楽家の皆さんは全く気にしてないようです。
本当にそうですね。声楽仲間で話してもオーディオの話に興味のない人ばかりです。その中で、音楽教師をやっている人は、生徒に音楽を教える(伝える)立場から、オーディオにも興味を持っています。
我々オーディオマニアは、「エンジニアの耳」「音楽家としての耳」「鑑賞家としての耳」が要求されるので、大変な立場にいるのかな?
最近は細かいことが気にならなくなってきたとのこと、オーディオは卒業されたとのことでしょうかね。その方が音楽を楽しむ視点からは好ましいと思いました。