神奈川フィルのみなとみらいシリーズの400回記念演奏会で、ヴェルディのレクイエムが演奏されました。記念すべき日に当たっての選曲は、音楽監督の沼尻竜典氏がヴェルディ/レクイエムを選んだとのことです。選曲理由は下記とのことでした。
「死を悼み祈る“レクイエム”。現代の諍いによる鎮魂こそ未来の平和への願いとして、一閃する指揮棒に希望を託す。」
レクイエムとは「死者のためのミサ曲」ですが、これを題材に多くの作曲家が作品を残しています。その中でも、3大レクイエムと言われるのが、モーツァルト・フォーレ・そしてヴェルディのレクイエムです。ヴェルディはオペラ王の異名を持つ作曲家で、オペラの指揮が得意とされている沼尻氏ですから、レクイエムの中からヴェルディの作品が選ばれたのだろうと思いました。
みなとみらいシリーズ定期演奏会第400回
指揮:沼尻竜典(音楽監督)
歌唱:田崎尚美(ソプラノ) 中島郁子(メゾソプラノ) 宮里直樹(テノール) 平野和(バス) 神奈川ハーモニック・クワイア(合唱)
座ったのは、2階席LBブロック2列1番です。最近は、みなとみらいホールのLB又はRBブロックのチケットが救済サイトに出ていると目に留まるようになっています。今回の公演を聴きに来ることにした理由は、お気に入りの座席位置で合唱曲を聴いてみたいと思ったのが動機でした。
実際にこの位置で聴く合唱の圧力はかなりのものでした。特に「怒りの日」でのフルパワーでの大合唱では仰け反るほどの歌声の力を感じます。合唱を担当する神奈川ハーモニック・クワイアは、80名ほどの編成でしたが、年齢層が若いです。この位置で聴く音圧感は、計測上の80数dBをはるかに超えるパワーを感じました。
LBブロックの2列目1番での合唱曲の見え方・聴こえ方は自分好みでした。前後位置はオーケストラの先端あたりで、指揮の様子も、管楽器や打楽器演奏の様子もよくわかります。オーケストラの左端が見切れてしまう点を除いてはほぼ満足でした。
聴こえ方は、コントラバスの正面となり低音も問題なく、合唱の力感は前述のとおりです。オルガン横に配したバンダのトランペットは強烈で、立体的な音響を味わいます。バランス的に不満を述べるとすれば、ソリストの歌声が合唱と比較して小さめとなる点でした。すべてを満足する座席選びは難しいですね。気に留まったのは、上に向かって音が出るファゴットの音のクリアさでした。1列目に座ることが多いLBブロックですが、2列目でも聴こえ方は大差ないように感じます。当日のオーケストラの配置は下記でした。
コンサートマスターが賛助と言うのも珍しいですね。珍しい楽器としては「チンバッソ」とプレトークで紹介があり、通常のチューバの代わりに用いられているそうです。音色は管楽器群のハモリに溶け込んでいたのでよくわかりませんでしたが、逆に言えばそこが作曲者の狙いなのかなどと想像していました。
ヴェルディのレクイエムはこれまでほとんど聴いて来なかった曲で、演奏の感想を語れることは少ないです。ですが、弱音から急激に立ち上がる強音などドラマチックな展開にオペラ調のレクイエムと言われる所以かと思いながら聴いていました。1時間半にも及ぶ休憩なしの演奏を、集中力がとぎれることなく聴き続けられたことに自分ながらに驚きます。帰宅後に、手持ちにしていたCDを聴き直してみたのですが通しで聴いてしまったことも特記しておきます。これまで自宅で一度も通しで聴くことがなかった曲ですが、これが生演奏を聴くご利益なのだろうと思えたコンサートとなりました。
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