電気って難しいですが面白い。アースが絡むと特にです。
今日のキーワード
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●ダイナミックな電位(ぶーーーん)
●スタティックな電位(静電気)
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■よくテスターの測定レンジを交流(AC)にして、
テスターの端子の片方を素手でつまんで、もう片方をオーディオ機器に。
それでもって表示される電圧のことを機器の電位だという人が居ます。
ガレージメーカーでもそういうとこがあります。
でも、それって本当に正しいのでしょうか?
(私は素人なので分かりません)
冒頭で述べたように、私は、
ダイナミックな電位とスタティックな電位は
分けて論ずるべきだと思っていますのでそのように話を進めます。
テスターの交流(AC)レンジで測定可能なのはせいぜい1kHz位までの交流です。
結論から言ってしまえば「ブーーーーン」というハムを見ていると言っても過言ではありません。実際、アンプの入力端子がオープン(開放)のところ信号側の端子に素手で触れると「ブーーーーン」とスピーカーから音が出ます。
これを帯電と混同してはいけません。
この「ブーーーーン」は
回路図に見えない浮遊容量が元の静電結合で商用電源の50Hz(あるいは60Hz)が漏れてきたものであったり、
回路図に見えるコモンモードノイズフィルタのYコンの漏洩電流によるものだったりします。
漏洩電流は難しかったですね?図解します。
[:image4:]
上の図は典型的なノイズフィルターの回路ですが、見てわかるように
商用電源100VとGNDはYコンデンサーを介してつながっています。
GNDが大地アースに落ちていれば電圧はほとんど観測されませんが、
大地アースに落ちていない場合は電流がテスターを介して人に少し流れてくるので数十ボルトの電圧が観測されます。そう、コンデンサーは交流を通すからです。どの程度通すかはコンデンサーの容量によります。
これが漏洩電流です。また、トランスの巻線間にある静電容量、俗に言うストレーCを通って漏れてくるのもこれに近い。(オーディオ機器の電位だと言われているものの正体に近いもの。)
数十ボルトの電位?があっても問題なく機器が動作するのは、そのダイナミックな電位をそのまま0Vと見做しているからです。実際のところ、大地との間にどれだけの電位があるか機器が知る必要はなくて、そこにあるのは基準となる電位に対してどれだけ差異があるのか?です。
ちょっと違いますが、新幹線の中で人が静止していられるのが良い例です。
大地が基準だと人は300km/hで移動していますが、新幹線車両基準なら乗車している人は0km/hなんです。相対速度も電圧も相対的なもの。
対地速度を乗客は気にする必要ないというか・・・加速度さえ無ければ時速300km/hも駅に停止している状態も快適さに変わりはないのです。
※微妙に違うかもですが、細かいこと言わない。
■次にスタティックな電位のお話です。これは帯電ともいわれます。
オーディオに馴染み深いのはこっちの方。
タワーレコードのホームページからレコードの静電気対策。
https://tower.jp/article/feature_item/2019/04/11/4004 より
[:image5:]
また、こんなのもありますね。
[:image6:]
こういうのって、効果は一時的なんでしょうね・・・。たぶん。
直感的に分かるようにスタティックな電位はテスターでは測定不可能です。
もしも機器の帯電をテスターで測ろうとする人が居たら教えてあげて下さい。測定しようとテスターの棒を近付けた刹那『パチッ』と放電しするかしないかして、測定しようとしていたいた帯電は逃げてしまうと。棒を測定対象に接触させたら完全にやろうとしていた測定はオシマイです。(もちろん帯電防止のシールを貼ろうと手で触れても同じです。触れたら帯電は逃げます。その状態を測定する人が居て、シールの効能だと解釈する人が居たら、これもまた悲劇です。)
このスタティックな電位は絶縁体にも導体にもどちらにも生じます。
[:image8:]
私の仕事関係のお客様はどういうのをお使いかというと、こういうのです。
稼働中はいつでも効果を発揮します。オーディオアクセサリーとは違う。
https://www.keyence.co.jp/ss/products/static/static-electricity/ より
「イオナイザー」という装置です。
[:image7:]
ただ、単純に家庭には持ち込めない事情があります。
稼働音であったり、オゾンの発生であったり、風が必要だとか・・・。
それはさておき実際のイオナイザーとかそういう装置による除電の様子を動画で見てみましょう。
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株式会社 ハーモ
ゲート通過式瞬間除電装置 奪電機 QUICK GATE
https://youtu.be/EUNoFacWPuU
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奪電機はけっこう理想に近いのですが、家庭で使うにはまだ足りません。
多少効果は弱まっても電源要らずがいいなぁ・・・
そうなるとコレが良いかなと思います。(私は使ったことありません)
[:image3:]
大地アース接続が前提ですが、これは効きそう。
ただ3kV未満の静電気には効きが弱いそうです。
でも、対象物との距離を詰めたら結構イイ線いきそうです。動画見てみましょう。
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株式会社 日工テクノ
【静電気対策】ベキスタットによる除電デモ
https://youtu.be/2dfNktKcnwQ
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静電気で気をつけなければいけないのは、パチッ!! です。
オーディオ機器の筐体から直接「パチッ!」とするのは大丈夫ですが、
これが基板やICから直接「パチッ!!」とすると一瞬で故障します。当たり前です。人が基板に触れるときは、GNDや関係ない金属部に前もって触れてから・・・というのが鉄則です。いきなりICに手を伸ばすと破壊してしまいます。
これと同じことが「ベキスタット」にも言えますので、ベキスタットは大地アースに接続するのはもちろんのこと、オーディオ機器に応用する場合には機器のGNDにも必ず接続しておくことが必要です。
ちょっと脅すようなことを書きましたが、ベキスタットを回転するレコードの上に張っておくと何か良い事があるかもしれません。CDプレーヤーはBlurayなど光学ディスクのプレーヤーでも同じです。
効果あるかな?無いかな?それは試してみないと分かりません。
ベキスタット製品一覧
https://www.nikkotechno.jp/e_product.html
ベキスタット特設ページ
https://www.bekistat.com/
最後に、クリーンルームポータルサイトさんより
(https://www.csc-biz.com/dougaindex/douga4.html)
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静電気対策の方法のひとつとして表面抵抗値が導電性レベルのものを使用するという方法 があります。導電性ゴムマットなどが代表的な製品となります。しかし、導電性製品もア ースをしなければ、静電気を逃がすことはできません。
~中略~
アースは万能というわけではありません。
[絶縁物]が帯電するとそもそも電気が流れないわけですから、
アースにつないでも静電気の除去はできません。
~中略~
これを防ぐにはCS-JJのようなイオナイザーを使用して、イオンによる中 和で静電気を除去する必要があります。
————————-引用ここまで————————-
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