前回までの日記でスピーカー(SP)ケーブルとSPベースを交換した話を記しました。
音のバランスを追い込むために特性を測定してみました。
以前のJBLでは、アクティブ・バイアンプ駆動を実践しており、チャネル・デバイダー兼汎用イコライザーとしてTrinnov社のST2-HiFiを常用していました。
800D3になって、システム構成上、必須ではなくなったので休眠状態でしたが、今回、復活させました。
ST2-HiFiの機能は非常に豊富で、とてもここで説明できないので割愛。興味のある方は個別にお問い合わせ下さい。
今回のST2-HiFiのセッティングでは以下の2点をポイントとしました。
①Tapeモニター機能を用いた「挿入ループ(Insertion Loop)」形式とし、ST2-HiFiは必要時のみ使用する
②ST2-HiFiを普段は使用しないことを前提に、測定結果から得られた知見を利用する
[:image1:]
JBLではチャンデバ機能を使用していたので、ST2-HiFiをパススルー出来ないことから「直列接続(Series Connection)」としていました。
ST2-HiFiにはオプティマイザー機能をオフにする「バイパス」機能がありますが、ADC/DACを常に通過するので、鮮度の低下は避けられません。
「オプティマイザーによる効果をとるか直結による鮮度をとるか」というのは旧くて新しいオーディオの古典的命題ですが、今回は選択できる接続方法としました。
まず、シングル・アンプで800D3を接続し、現状の特性を測定します
[:image2:][:image3:]
標準の専用マイクをリスニング・ポイントに立てます。測定プロセスは、AVアンプのものと似ていると思います(最近、触ってないので推測です)。
測定後、測定内容をベースに自動的に5つのオプティマイズド・モードが作成されます。
ここでは、最も厳密に最適化する「Monitoring」の出力画面を紹介します。
[:image4:]
3段に並んだ3つのグラフは、いずれも周波数特性で、上段が最適化前(素の状態)、中段が最適化後、下段が最適化フィルターです。
即ち、上段と下段の特性を合わせたものが中段の特性になります。ここでは現状確認が目的なので、上段のグラフにだけ注目します。
拙宅では平行法ですから、これは概ね正面軸上30度の特性です。最適化前の特性だけを拡大したのが下図。
[:image5:]
ウーファー=ミッド・レンジのクロスのある350Hz辺りから結構な波があります。特に:
①160Hz辺りから110Hzにかけてのレベル低下 (-8dB)
②110Hzから70Hzまでの上昇 (+8dB)
③70Hzから50Hzまでの急激な低下 (-20dB)
④50Hzから30Hzまでの急激な上昇 (+25dB)
⑤30Hzから20Hzまでの低下 (-12dB)
この山谷はスピーカーの特性か、もしくは部屋の特性か?それを確認するために、まず800D3の本来の周波数特性を知る必要があります。
随分と探したもののメーカーからの公表データは見つかりません。以下は、オーストラリアのオーディオ誌 (AV Hub) にあった実測データです。
[:image6:]
解説にあるように20Hz-20KHzで±2.5dB。驚異的にフラットです。明らかにあの山谷はスピーカーによるものではありません。ということは当然、部屋?
部屋固有の周波数特性とは?専門的なことは分かりませんが、手元にある「改訂増補 リスニングルームの音響学:石井伸一郎/高橋賢一 著」に掲載されている音響研究用ソフトウエアで計算できるようです。掲載ソフトの中で、比較的シンプルな「KYOZOO」を使用して早速シミュレーションしてみました(個人使用目的でライセンス登録しています)。
直方体の部屋の寸法とスピーカーと測定用マイクの設置位置を入力。あと、床や壁の吸音率も必要ですが、これは同誌の解説から適当に入れてシミュレーション実行。
[:image7:]
おおー!①から⑤の山谷が相当な精度で再現されました(左上図:10Hzから1KHzまでを表示)。
以前からこの種のシミュレーションはステレオサウンド誌等の記事で存じていましたが、予想以上の説得力です。これが素晴らしいのはSP位置とマイク位置(リスニング・ポイント)を変えた場合のシミュレーションも簡単に出来るので、色々動かした場合の周波数特性が予測できることです。
この結果に基づいたセッティングの話は次回の日記で紹介します。
コメント ※編集/削除は管理者のみ