前回までの日記で、現状のスピーカー(SP)セッティングに基づいた測定結果とルーム・アコースティックの概要が把握出来ました。
引き続き500Hz以下の帯域に焦点を当ててSPの設置位置を掘り下げることにします。
これが現在の周波数特性図(Trinnov ST2 HiFiで実測)[:image1:]
測定、シミュレーションで、周波数特性上、気になる点は:
①700Hzから300Hzにかけての全体的なレベル低下
②160Hz辺りから110Hzにかけてのレベル低下 (-8dB)
③110Hzから70Hzまでの上昇 (+8dB)
④70Hzから50Hzまでの急激な低下 (-20dB)
前回も用いたシミュレーション・ソフトの「KYOZOO」を使用して、机上でSP位置を検討してみます。前回のtaketさんのレスでご指摘頂いた通りSPを前方の壁方向に後退させると50Hzの谷は随分と浅くなります。
机上での検討は、重いSPの移動や測定用の配線も必要無いので幾らでもカットアンド・トライ出来ます。色々試してシミュレーション上、バランスが良かったのが以下のセッティングです(単位はcm、カッコ内は現在の設置位置)。
SP中心の横壁からの距離:136 (126)
SP中心の前壁からの距離:100 (158)
SP間の間隔:208 (228)
聴取位置(前壁からの距離):440 (460)
要するにSPを60cm近く前壁に寄せ、SP間隔を20cm狭めて聴取位置を20cm前進させました。これまでより頂角が鋭い二等辺三角形の頂点で聴く構図です。
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「SP中心の前壁からの距離」は、本来は「ユニット前面と前壁の距離」ですが、前方壁面にはパワーアンプやテープデッキが複数あり、実際の壁面状態は相当凸凹です。その凸凹を調整するために、ここでは「ユニット前面と前壁の距離マイナス20センチ」としています。厳密には、側壁や後壁にも色々あるのでそれらの調整も必要でしょうが、測定結果との整合性を見て前壁からの距離だけ調整することにしました。
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上記セッティングでのシミュレーション結果はこちら。
[:image2:]
この新しい設置位置で暫く聴きこみます。
うーーん。何か音場の奥行きが随分と浅くなってしまいました。
周波数特性は随分と良くなっているはずなのに、そちらの改善度合いは音楽を聴いている限りでは殆ど分かりません。上手くセッティングされたシステム前壁の遥か奥まで音場が広がることを何度か経験しましたが、どうもそういう訳にはいきません。1時間ほど聴いてこのセッティングはボツ。
結局、また机上の検討とそれなりの聴き込みを経て、今回は以下のセッティングで決めました(カッコ内は元の設置位置)。
SP中心の横壁からの距離:136 (126)
SP中心の前壁からの距離:148 (158)
SP間の間隔:208 (228)
聴取位置(前壁からの距離):470 (460)
シミュレーション上の特性図はこちら。
[:image3:]
200Hz辺りから全体的にレベル低下する半面、100Hz近辺と50Hzの落ち込みは少し浅くなります。実測値はこちら。
[:image4:]
50Hz近辺の落ち込みはシミュレーションよりも大きいですが、以前のセッティングよりは改善しています。それと以前あった250Hzから500Hzにかけての谷も浅くなりました。聴感上、周波数特性の改善は相変わらずはっきりとは分かりませんが、SP位置を以前の位置近くまで前に出したことで音場の奥行きが戻りました。SP間隔を少し狭めたので、音場の広がりが狭くなるのではと危惧しましたが、逆にSPの外側まで広がる音場が大きくなったようです。
さて、以上は、全てシングル・アンプ接続(SIT-1)でのお話です。
実はここからが、今回の調整のポイント。接続をバイ・アンプに戻して、バイ・アンプの低域/中高域のバランスの調整でベスト・ポイントを探ります。何のことはありません。古典的なマルチ・アンプ・システムでのレベル合わせです。
拙宅では、低域がMC1.2KW、中高域がSIT-1という入力感度もゲインも全く異なるアンプを使用しているので、プリアンプと低域用アンプの間にアッテネータを入れてレベルを合わせています。
まず測定を繰り返してバイアンプでの特性がシングルアンプでの特性に近似するように低域用アッテネータを合わせます。私は厚目の中低域が好みなので、そこからアッテネータの減衰値を少し抑えます。
以下が好みのポイントでの測定結果です。
[:image5:]
800D3の低・中のクロスオーバーは350Hz。50Hzの落ち込みは相変わらずですが、中低域のレベルが全体的に上昇しています。この特性では低域の豊かさを実感出来ます。
今回の調整はとりあえずここまでとして、暫く聴きこむことにしました。
当初の計画通り、普段はST2 HiFi を使用していません。
ただ、ST2 HiFiはテープ・モニター・スイッチ一つで挿入出来るので、日々、気が向いた時に(SPや聴取位置固定して純粋に電気的に)調整を進めています。これがTrinnovの真骨頂ですが、長くなったのでその辺りの機能の紹介は次回に記します。
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