前回までで、アナログ・プレーヤーの調整ツールであるAcoustical Systems のSMARTractorを用いて3012Rを推奨のUNI-DINカーブに合わせて好結果を得たと記しました。
一方で、ヘッドシェル固定式のSME Series V(以下SME V)は、自由度が低くUNI-DINカーブに上手く合わせられません。色々トライしても上手くいかず、Acoustical SystemsのDietrich D. Brakemeier氏に解決策を伺いました。
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以下は、氏とのやりとりの要約です。
のびー: SME VをUNI-DINカーブに合わせるのに苦労している。アームの取り付け位置を移動することでスタイラスがUNI-DINカーブ上に乗ったが、オフセット・アングルがずれて結果が好ましくない。解決策をご教示されたし。
Dietrich: UNI-DINが要求するオフセット・アングルは、SME Vの設計カーブ(Loefgren A/IEC)に基づくものとは相当異なる。ケースバイケースだが、ヘッドシェルのカートリッジ取付穴の「遊び」を最大限活かしてもUNI-DIN基準のオフセット・アングルを得られない場合が多い。
これは、カートリッジ取付穴を拡大して、オフセット・アングルの自由度を上げることで解決できる。具体的には、現在の2.8mm径の穴を電動ハンド・ドリルで3.2mm径まで拡大すれば良い。この方法は、1980年台にSME Vが登場して以来、欧州のSME Vオーナーの多くが実践していて、アームの稼動機構にも悪影響はない。
のびー: なるほど。ただし、SME Vのヘッドシェル部分はマグネシウム合金で、DIY加工による変性のリスクは大丈夫か?
Dietrich: 私自身、マグネシウム合金でトーンアームを製作しているのでその問題は熟知している。SME Vの素材は初期のAMS 4377系のマグネシウム合金で、この程度の加工では素材の変性リスクはない。
以上がやり取りの要約ですが、非常に丁寧にしかもすぐにメール回答が得られ大変好印象でした。ただ「2分で出来るよ」ということですが、おっかなくてまだ実行していません。
ということで、3012RはUNI-DINに変更しましたが、SME VはオリジナルのLoefgren A/IECのままで聴いております。もう少し考えてから「改造」するか決めようと思っております。
続いて、もう一つのツール「AnalogMagik software & Test LPs」を試します。
[:image2:]
この製品の機能は、Philewebでも紹介されています。
https://www.phileweb.com/news/audio/201808/21/20092.html
以下、Philewebから
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Windows用のアナログ・セッティングツール・ソフトウェア「AnalogMagik」は、PCを使用してターンテーブル・トーンアーム・カートリッジ・フォノイコライザーなど、アナログオーディオのセッティング全てにおける細かな状態の測定を統合的に行い、最適な設置を可能にするというもの。測定項目は以下のとおり。
1:ターンテーブルの回転速度
2:ターンテーブルのワウ・フラッター値
3:カートリッジのアジマス(左右傾きバランス)
4:カートリッジの VTA(Vertical Tracking Angle=垂直トラッキング角)
5:カートリッジの VTF(Vertical Tracking Force=トラッキング力・針圧)
6:トーンアームのアンチスケーティング力
7:フォノイコライザーのインピーダンス設定
8:フォノイコライザーのゲイン設定
9:システム全体の振動値
10:システム全体の共振値
— 省略—
自身で用意が必要なものは、レコードプレーヤーなどの再生機器/USBポートを2基以上搭載したWindows PC(MacやLinux、タブレットPCなどでは使用不可)/フォノイコライザー/PCとUSB接続が可能でアナログオーディオ入力を備えたA/D機能付きオーディオ・インターフェイス(サウンドカード)/各接続ケーブル。
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PCはRoon Server用PCの別パーティションを、A/Dコンバーターは手持ちのRME ADI-2 Pro Anniversary Editionを用いました。
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設定・測定・調整の内容は次回に。
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