アナログ再調整(再挑戦) その2

日記・雑記
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以前から気になっていたアナログ・プレーヤーの調整ツールであるAcoustical Systems のSMARTractorを入手しました。
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これは、アナログ・プレーヤーのトーンアームとカートリッジ周りを徹底的に調整するためのツールで、汎用性の高いものです。ただし、リニア・トラッキング・アームでは 殆ど出番はありません。

ということで、アナログに取り組んでおられない方、リニア・トラッキング・アームを使用されている方にはあまり関係のない日記になります。悪しからず。

メインに使用しているAirforce Oneで試します。Airforce One にはSME Series VとSME 3012Rの二つのアームを取り付けています。

SMARTractorの機能は幾つかあります。

① アームのポジショニング
ほとんどの後付けアームの設置マニュアルには、アーム・ベースの固定位置の指定がありますが、SMARTractorを用いると極めて正確に設置することが可能です。今回、SMARTractorで設置位置を計測してみると、2本ともメーカーの指定位置より0.5mm程度ずれていました。測定時に少し斜めに測っていたようで、どちらも少し短めに設置していました。許容範囲内だと思いますが調整しました。
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② カートリッジのアラインメント
こちらがSMARTractorの「売り」の機能。
カートリッジの針先はレコード盤面を外周から内周に向けて横断しますが、その軌跡は1940年頃から広く使用されてきた4つの標準的なカーブに即しています。このカーブはレコード全体でのトラッキング・エラー角を平均的に最小化するように計算されたものとのこと。SMARTractor は、この伝統的な4つのカーブに加えて、Acoustical Systemsを主宰するDietrich D. Brakemeierが提唱するUNI-DINという新しいカーブでの設定を可能にします。

UNI-DINは、線速度が落ち曲率が上昇するにもかかわらずフォルテが集中しがちなレコード内周部分での最適化に注力したカーブで、音楽再生により適しているとされます。技術的(数学的)な詳細は不明ですが、12インチのステレオLPでのベストな再生を目指したものとのことで、UNI-DINカーブこそがSMARTractorを使用する価値と言えます。本国サイトに結構詳しい説明とビデオがあるので、もしご興味があればどうぞ。

ということで、UNI-DINカーブに合わせてカートリッジを取り付けます。
針先の位置調整は何かと大変ですが、SMARTractorを使用すると拡大鏡とミラー仕上げの表面のおかげで従来の設置ガイドより随分と楽に出来ます。

ここで大切なことは、針先の位置をガイドに合わせるだけでなく、カートリッジ(カンチレバー)をガイドと平行にすること。UNI-DINカーブに合わせたオフセット・アングルは、アームの元々のオフセット・アングルとは微妙に異なります。

トーンアームの設置マニュアルにあるオーバーハングに従ったポジションより、9インチのSeries Vでも12インチの3012Rでも2ミリ程度有効長(トーンアームの支点と針先の距離)を長くする必要がありそうです。シェル交換式の3012Rではカートリッジとシェルの取り付け方で調整が可能ですが、シェルもカートリッジ取り付け穴も固定されているSeries Vでは、調整は実効長(トーンアームの支点とレコード盤の中心との距離)を変化させるしか方法はありません。
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とりあえず調整が簡単な3012Rから。調整後に早速リスニング。

はっきり言って差は全く分かりません。元からオーバーハングもアジマスも結構正確に調整していて特にかからないレコードも無かったので、まあこんなものかもしれません。
ただ、元々も目視での調整、今回もツールのサポートを得たとはいえ目視での調整ですから、どちらも不十分だという可能性はあります。

続いてメインのSeries V。
せっかく①でアームの取り付け位置を確定させましたが、UNI-DINカーブに合わせて再調整。
針先がUNI-DINのポイントに来るように取り付けベースをずらします。そこで問題が発覚。
Series Vのヘッドシェルは、ネジ穴が2個あるだけですからオフセット・アングルはほとんど調整出来ません。取り合えずカートリッジが推奨角度から少しずれたままで固定して調整を終了。

早速リスニング。これも差はほとんど分かりません。ところが、前回の日記で触れたpharoahさんが紹介された「ピアノ・ソナタ悲愴」の最終盤でトラッキング・ミスが発生します。同じ個所を何度も再生します。他に幾つかレコードをかけましたが、他の盤では一応再生が進みます。とは言え、これでは使い物になりません。とりあえず元の設定に戻して解決方法を考えることにしました。

一人で悩んでいても前に進まないので、Acoustical Systemsの Dietrich D. Brakemeier氏に解決策を伺いました。すぐ(1時間以内)に明快な回答が来ます。さすがプロ、Series Vのことを熟知していてこちらの問題をすぐに理解し解決方法を提案して頂きました。

長くなったので続きは次回に。

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