以前、SWのサイズと複数化の話を日記にしました(https://philm-community.com/tomy/user/diary/2023/03/25/17259/)。さて、ロケットシアターはどうしよう・・?
ロケットシアターは1F層の殆どのSPを等距離配置(±20㎝)にできたのが大きな特徴です(下表参照)。LCRとSL/SRの5chなら10㎝以内、頭の位置を巻き尺で測って固定すれば、完全等距離も可能かも(笑)。SWは壁際に置くとすると、等距離から+50㎝程度の位置となります。LCRの横は通路も兼ねているし、視覚的にも置きたくはないので、除外すると、視聴位置の後ろ側になり、5-6カ所、候補場所があります(下図参照、オレンジの場所)。どこに何個SWを置くのか? ベストはどこか? とは言っても、「なるだけお金をかけないで何とかしよう」というのが、ロケットシアターの目標の一つなので、使えるSWは余っている①Polk AudioのPSW1000と1Fで使っている②RythmikのF12SEの二つですけど(笑)。
①のPSW1000は1F層のLCR,SL/SRと同じシリーズのSWで25㎝ウーハーが対抗面に二つ付いたバスレフタイプ。低域下限は30Hzくらい。映画の「ドドド・・」という音は結構盛大に鳴ります。
②のF12SEは30㎝ウーハー一発ですが、MFBによって15Hz位まで低温を伸ばした、密閉型。こちらがずっと新しい。音楽なら絶対にこちらですが、1Fに使っているのでどうするか?
なりは①が少し大きいですが、②の方が低域の伸び、質ともに(圧倒的に)良い評価です。②>>①ですね。
【各SPの遅延時間(Dirac Liveの補正結果)と遅延時間から推算した距離】
Delay(ms) LPからの距離(m)
Left Front 1.7 2.1
Right Front 1.7 2.1
Center 2.0 2.0
Left Surround 1.7 2.1
Right Surround 1.8 2.1
Left Back 1.1 2.3
Right Back 1.1 2.3
Subwoofer 1 0.0 2.7
Left Top Middle 1.3 2.2
Right Top Middle 1.2 2.3
Left Front Height 0.0 2.7
Right Front Height 0.1 2.7
Left Rear Height 0.2 2.6
Right Rear Height 0.3 2.6
ロケットシアターの平面図とSW設置場所の候補(オレンジ)
今回導入したプリアンプHTP-1には音響補正ソフトDirac Liveが元から付いています。ただし、ベースマネージメントをDiracでするなら、さらにDLBCのライセンスを購入する必要があります。複数SWだと約$500。これも購入して、以下の視聴を行いました。
【PSW1000のみ設置、Dirac Live無し】
HTP-1が持つ機能でベースマネージメントは行っています。80Hzで24dB/octのクロスです。この補正無しの音の印象は以前の日記に書きました。HTP-1のDACの素性の良さは感じられるが、特に低音の出音は今一つで、マルチチャンネルの音像配置やAuro-3D再生を除けば1Fのセットに明らかに軍配が上がる・・・というものでした。
【PSW1000のみ設置、Dirac Live補正+ベースマネージメント】
Dirac Liveで全周波数帯域の補正とベースマネージメントを行いました。クロスは80Hz。この際、SWの位置を視聴位置の後方、7ヶ所でDirac Liveの測定を行いました。右後方5ケ所、左後方2カ所。でも実は、SWの周波数特性はあまり(驚くほど)変わりませんでした。壁や床から離すと変わるのでしょうけど・・。これはSWを二つ置いても、凹凸を補う可能性はほぼ無いことを意味しています。結局、図に示したLPの右後ろにSWを置くことにしました。
出音はDirac Live無しに比べれば、良くなりました。中高音の透明感が増して、低域の切れも良くなった。しかし、まだ低域の切れ込みや沈み込みは1Fに敵いません。
【PSW1000+F12SE+Dirac Live】
寄せ集めで始めたロケットシアターですから、PSW1000+Diracで良いかな・・とも思いましたが、HTP-1のDiracは複数SWをサポートするので、1FのF12SEを2Fに持って上がることにしました。1Fはどうしたのかって???1Fは3SW体制だったんです。F12SEと2ch用のSPについているアクティブウーハー二つ。なので、F12SE無しでも、なんとかなったということです!これも意外と行けました(笑)。
と言うことで、2SWとなったのです。後方壁際だと、位置を変えてもあまり周波数特性は変わらないので、左右に一つづつ置きました。
出音は良くなりました。低域の切れ、沈み込みが良くなりました。が・・・、やはり、1Fのセットのそれには及ばない・・・。何故か???
【F12SE+Dirac Live】
Dirac Liveのターゲットカーブなど色々変えたのですが、どうしても、1Fの低音に及ばない・・・。そこで、HTP-1にはのDLBCの複数SWサポートのライセンスを買ったのですが、涙を呑んで(笑)、F12SEのみ使うことを試してみました。異なるSWを追加すると、足し算になって良くなるのか、はたまた、性能の悪いSWは足を引っ張るだけなのか・・・?
結果は後者でした・・汗!
F12SEのみの方が、ずっと良い・・・!
性能の低いPSW1000は歪を出していただけなのではないかと思います。中高域までクリアさが増し、低域の切れも向上しました。性能差のあるSWを混在させるのは足し算にはならないようです。これで、低音も1Fに肉薄する所まで来たように思いました。この際の、Dirac Liveの測定結果とターゲットカーブが以下の写真です。30Hz付近のターゲットカーブにシャープな凹みが見えますが、これは拙宅で編み出した(笑)ブーミング対策です。これが無いと、低音が緩くなり、右側にSWがあることを感じるようになります。30Hz辺りに強い定在波があるようでLPの周波数特性では凹みとなっています。これを補正すると、LPのすぐ隣で強い凸となって、ブーミングが生じるのではと推察します。1Fでも同様の対策をしています、結構効果があります。
Dirac Liveの測定結果とターゲットカーブ
【結論】
・・・と言うほどのものでもありませんが、F12SEのみを使って、Dirac Liveで補正することになりました。SWの位置は、現在は右後方、真後ろでも良いかなとも思いますので、近々再度試してみます(以前試したときはPSW1000だったので)。異種混合は効果低、良いSWのみ使った方がBetterのようです・・・!!複数SWにするのは当面見合わせにします。
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Tomyさん
実はこれ、私もいまちょっと直面しているところなんです。つまり、2種類以上のSWを同じ部屋に導入する場合、その性能差(音質差)をどういなすか、という問題ですよね。
私の場合はよくご存じのように、伊豆のシステムには、SWが三種類(ELAC, Fostex, Yahama)あり、東京のシステムには2種類(Fostex, Yamaha)あるのです。
このうち、伊豆のYamahaについては、これだけバスレフで他の密閉と音質が揃わないのが素人耳でも明らかだったので、映画を見るときにしか電源が入らない(地響き担当のLFEとして利用=ソファの後ろでBody Sonic的に=笑)設定にしてありますので、これはまあいいのです。
問題は、ELACとFostexの共存で、DLBCを使って調整も、曲によってはFostexだけが「底つき」を起こすことがあるのです。DLBCはf特や位相は管理していても、SWの最大入力許容範囲まではチェックしていないわけですね(汗)。
ということで、私がとっている回避法は単純に「Fostexの音量を下げる」です(汗)。DLBCでTotalでの出力も調整してくれているわけですから、手動でこれをやってしまうと、DLBCが実現したい低域の音量を下回るわけですが、音楽はほとんどAuro-3D(Matic)で聴いているので、「平面波」によって低域がかなり増強されているし、映画はDLBC管理外のYamahaがOnになってAdd-onされるので、問題ないかな、と判断しています。
東京の書斎も同様で、密閉のFostexをメインにし、バスレフのYamahaの出力を相当落としています(ただしこちらはDLBC未実装ですが)。
つまり私の経験では、密閉型とバスレフ型のSWを共存させる場合は、バスレフ型の音量を相当絞らないと音楽再生では全体の音質の足を引っ張る、ということです。これはDLBCでも解決できないようです。バスレフ型のSWはあくまでも映画の効果音用と割り切ったほうがいいというのが、拙い私の経験的結論ですね。
複数SWを使う場合も、マルチのSPと原則は同じなのでしょう。つまり、「同一SWを使え!」。最新のAIによる補正とはいえ、「寄せ集め」のSP群を、まるですべて同一のSPによる再生の音のように変えてくれるマジックまではできないのだなあ、ということが、自分の伊豆でのSPの変遷、東京の書斎(超寄せ集め!)との埋められない差、そして最近のM1さんの事例からも自明なものとなってきた感があります。
Auro3Dさん、
何時もレス有難うございます。
新しいSWを導入すると、どうしても前のSWとの混成軍団になりがちですよね!悩みどころの一つです。オーディオの面白いところでもあります。
>私がとっている回避法は単純に「Fostexの音量を下げる」です(汗)。DLBCでTotalでの出力も調整してくれているわけですから、手動でこれをやってしまうと、DLBCが実現したい低域の音量を下回るわけですが、音楽はほとんどAuro-3D(Matic)で聴いているので、「平面波」によって低域がかなり増強されているし・・・
平面波で増強したいところは、SWの帯域ですよね??DLBCでカットされているので、増強されようがないのではありませんか??
ELACのSWは30cmx2で十分に強力ですし、それが二台あるので、音楽の時はELACのみ使うのも一手ではないかと思います(映画でも問題ないのでは?)。STORMなら、それ用のプリセットを作れば簡単に切り替えられるのではと・・・。
>密閉型とバスレフ型のSWを共存させる場合は、バスレフ型の音量を相当絞らないと音楽再生では全体の音質の足を引っ張る、ということです。
kawausoさん宅は、monopriceのバスレフSW4台だそうです。20Hz以下も再生できるとか・・・そのうち是非聞いてみたいですね!密閉型のSVS16ーUltra(16インチ)にも興味ありのようです。
>つまり、「同一SWを使え!」
確かに。初めから最終形を予測して、投資できれば良いのですが、如何せん凡人なもので・・・(笑)。
Tomyさん
>平面波で増強したいところは、SWの帯域ですよね??DLBCでカットされているので、増強されようがないのではありませんか??
これは、確かに「論理的には」そうかもしれませんが、例えば、私の伊豆のセッティングだと今、70Hzから下は全チャンネルBass routingさせていますが、これは言うまでもないことだと思いますが、だからと言って、私のLCRのSonetto VIIIから、69Hzの音は出ていないわけではないのはよくご存じと思います。確か、Slopeは24dBだったでしょうか。
実は伊豆のシステムで、電源工事をした直後に、すべてのSWの電源をオフにしておいたのを「忘れて」、ISP MK2の電源をオンにし、13chすべてのSPのアンプをオンにし、音楽を聴いていたことがあるのです。これは機会があれば、Tomyさんにも拙宅でお聞かせしたいところですが、SWがオフになっているとは「気が付きません」よ。私はある曲の「暗騒音」がいつもは聴こえるのに聴こえないので、「ああ、SWのスイッチがオフになっていた」と気が付いたくらいですから、普段拙宅の音を聞きなれていない方なら絶対わからないと思います(笑)。
つまり、それぐらい、13台のSPの総合的な<網の目>によって「十分に」低域は再生されていて、私はこれは恐らく「平面波」がカットオフ周波数以下でも形成されているからだろうと思っているんですよ。
Auro3Dさん、
>私はこれは恐らく「平面波」がカットオフ周波数以下でも形成されているからだろうと思っているんですよ。
なかなか、頑固ですね(=褒めています!)。
理系の頑固さから、一つだけ、つぶやきをさてください!
レベルが低下しても、平面波のような状態が形成されるのはそうだと思います。24dB/octでカットしたものを、平面波状態で6dB/oct 位で増強できるのかな??しかし、それでも、18dB/octで減衰します。もし、もっと増強できているのなら、減衰が緩くなりすぎて、SWとのクロスが上手く行かなくなるはず・・・。Dirac Liveがそこまで、考慮してベースマネージメントしているのなら、より急峻にカットするはずなので・・・、となって、論理はどうしても否定する方向なんですけど・・。
まあ、低音感は、周波数特性だけでは語れないのでしょう!
Tomyさん
GW終わってしまい、東京に戻りました(泣)。
ちょっとこの記事に触発されて興味を持ったので、伊豆を去る直前に、4台あるSWをすべて「無し」という設定にし、すべてのSPを「Large」、つまりBass Managementなしにして、再キャリブレーションしてみました。これは入交邸で、小型フルレンジの「目玉のおやじ」だけによる5+5+1の11ch環境なのに、「結構な低音が出ている」のがいつお邪魔しても不思議だったので、「もしかしてSWって、いらないんじゃ?」と前から「疑念」(笑)を持ち始めていたからです。これは入交氏の主張でもあり、彼が録音するAuro-3Dソースはほとんど0.1、つまりSWを使わないエンジニアリングをしています。
結果! Jazz(ダブルベース、キックドラム)ぐらいならもう十分ですね、これで。よほど16Hzのオルガンとか、電子的に合成した低域の入った音源でない限り(または「暗騒音」フェチでない限り=笑)。
ご存知のように、拙宅のシステムはAuro-3D用の13chだけでも、いわゆる「ウーファー」ユニットが24Unitsあります。これにXTモード(後でブログに書きます)でさらに4ch加えると(これらはダブルウーファー)、全部で32Unitsのウーファーがあります。すべて直径15センチ以上はあるものばかりですので、これらの実効面積を総合計すると、大型SW一台分くらいは軽く超えると思います(笑)。
にもかからず、私がSWを4台もいれているのは、「せっかく高いおカネを出して買ったAVプリについている、DLBCを使わないともったいない!」という、セコイ気持ちが全くないとは言えないかも(爆)。
Auro3Dさん、
なるほど!!
SonetteIVだけでも、一本当たりウーハー3つですもんね(笑)。
30Hz以下は音楽には殆ど入っていないので、十分なんでしょう。とは言え、~20Hzは何となく、心をくすぐる何かがあります。
それと、仰ることから、良いSWとDirac Liveのような良くできたDSPによるクロスが可能なら、大きなSPは必要ないのかもしれませんね。グランドスラムのような大型SPとKEFのRiference1のような小型SP+大型SWで対決したら、どうなるか・・・?大変興味があります(爆)。