2月最後の日曜日午後、JR大井町駅前にある品川区立総合区民会館「きゅりあん」大ホール。
今日は、品川文化振興事業団の主催になる、第20回きゅりあんスプリングコンサート。
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演奏は、渡邉一正指揮の東京フィルハーモニー交響楽団に、フルート独奏が上野由恵、ピアノ独奏が小川典子。
演奏曲目は、モーツァルト作曲、フルート協奏曲第2番ニ長調K.314、シューマン作曲、ピアノ協奏曲イ長調Op.54、メインがシューベルト作曲、交響曲第9番「ザ・クレイト」D.944というもの。
久々のプロオーケストラの演奏会だが、今回は品川区が主催しているため、チケットはS席3000円、A席2500円という破格の安さで、小生は前より左のD席11番という、ソリストの息遣いが聞こえ、ピアニストの手の動きが見える絶好の席が取れた。
席に座ってステージと天井を見上げるとこんな感じである。
最初の曲目、モーツァルトのフルート協奏曲は、もともとオーボエ協奏曲として作曲されたものを、モーツァルト自身がプルート用に編曲したものだが、とても軽やかな響きのする名曲で、まるでモネの睡蓮の池に降り注ぐ陽光のようだ。
2曲目のシューマンピアノ協奏曲を弾く小川典子さんはミューザ川崎シンフォニーホールのアドバイザーを務めている方で北欧BISレーベルから沢山のCDをリリースしている。
シューマンの歌曲集「冬の旅」にも通じる、忍耐ののちの大いなる喜びを端整な響きで紡ぎ出し、終楽章は息もつかせぬ演奏で一気にクライマックスまで持って行き、まるで早春の南房総の海辺の光のような名演だった。
休憩を挟んだメインのシューベルトのクレイト交響曲は小生の大好きな交響曲のひとつ。
延々と繰り返される弦のテーマとリズムが少しずつ移ろい行くのにつれて光と影が変化していく。
指揮者の渡邉一正氏は的確な指揮でこの長大なシンフォニーを統率し、シューベルトが意図した音色の移ろいを非常にわかり易く表現していた。
シューベルトは未完成しか聴いたことが無くても、今日の演奏で「ザ・グレイト」の魅力を発見した聴衆は多かったのではないか。
まるで冬の津軽海峡で雪が降りしきる中雲の間から差し込む一筋の陽光のような一瞬の輝きが目に眩しい演奏だった。
今日はスプリングコンサートに相応しい良い演奏会だった。
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