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ピアノ+弦楽の愉しみ:新譜を中心に

日記・雑記
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                     2019年07月27日

ここ3か月ほど、クラシックの新譜レビューをしていませんでした。
この間、新譜を聞いていなかったわけではありませんが
ちょっと気持ち余裕をもって書いてみたいと思ったこともあり
多忙だった期間は避けておりました。

今日は3枚のアルバムをレビューしていきます。
テーマはピアノ+弦楽の愉しみということで
室内楽ばかりですが、リラックスしたときに聞いているものの
ご紹介です。

まず1枚目は、アン=マリー・マクダーモットと
カルダー四重奏団+デイヴィッド・グロスマンによる
『モーツァルト:ピアノ協奏曲第12番 – 第14番(室内楽版)』
です。

https://ml.naxos.jp/album/BCD9403

いきなりで恐縮ですが、2014年のリリースで新譜ではありません。。。
カルダー四重奏団のベートーヴェンの新譜を配信で聞いて、興味を持ち
検索をかけたら、このアルバムに行きついたのでした。

マクダーモットはお気に入りのピアニストで
ハイドンのピアノソナタを以前にご紹介したことがあります。
そのときはポール・ルイスと並べて、中庸の美徳のような印象を
申し述べましたが、ルイスにくらべれば、彼女のピアノは
「夏の朝日を浴びて心が浮き立つ感覚を与えてくれる」
(パグ太郎さんのレスより引用)
そんな明るめというか陽性のタッチが特徴的で、
これからの季節にもピッタリということもあり
トップバッターとしてご紹介することにしました。

モーツァルトのピアノ協奏曲を室内楽用にリメイクした作品なのですが
どうも私はこういうタイプのミニマル志向の音楽を
偏愛する傾向があるようで
エッセンスを凝縮したようなところも好みですし
時に楽曲の持つ個性をよりラディカルに表現してくれている
気がするのにも魅かれてしまいます。。。
こういう試みはよりセンスを問われるだろうし
難しいチャレンジなのかもしれません。

でもこのアルバムはいいんじゃないかな~
マクダーモットのピアノの良さをよく弦楽が盛り立ててくれている
と感じました。
最後に収録されている第14番は、よりフックのある演奏ということで
コントラバスがカルテットに加わっています。
徐々にアルバム後半になるにしたがって、演奏が熱を帯びていくように
感じられて、そういうアルバム構成にも好感を持ちました。

2枚目は、スクリデ・ピアノ四重奏団の
『モーツァルト&ブラームス: ピアノ四重奏曲第1番、
マーラー: ピアノ四重奏曲断章』です。

このピアノカルテット自体のデビュー盤ではありますが
メンバーは
バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)
リーズ・ベルトー(ヴィオラ)
ハリエット・クリーフ(チェロ)
ラウマ・スクリデ(ピアノ)
と、各々に演奏経験豊富なメンツが集まっています。

ゆったりした余裕を感じさせる演奏ですが、
重厚感だけでなく、訴えるべきポイントは外さない
そんなメリハリも感じられて、その塩梅が実にいいと思います。
なんだか安心して音楽に身を任せられるような感じがあって
抑揚のつけかたも堂に入っているブラームスが
個人的には推しかな~
また(次にご紹介するアルバムとも重なるお話ですが)
パンジャマン・ゴダールのことを調べるようになってから
周辺の音楽に対する感度が高まってしまっているせいもあるのでしょう。
そういう聞き手に対しても、よくツボを心得た演奏だと思いました。

3枚目は、ごく最近入手した
ロンドン・ブリッジ・トリオの『The Leipzig Circle, Vol. 1 (Live)』です。
https://www.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mfHUfJHXzNP7USTMUiE1b_ps3xPZjoPaM

ファニー・メンデルスゾーン、
ロベルト・シューマン各々のピアノトリオ
そしてクララ・シューマンの
「ピアノとヴァイオリンのための3つのロマンス」
が収録されています。

メンバーは
デイヴィッド・アダムス(ヴァイオリン)
ケイト・グールド(チェロ)
ダニエル・トング(ピアノ)
ヴァイオリンがタムシン・ウェーリー=コーエンから交代して
初めてのアルバムになるのだと思います。
旧メンバーによるドヴォルザークのカルテットを聞きましたが
ウェーリー=コーエンのヴァイオリンは
なかなか陰翳に富んでいてよかったな~。
新加入のアダムスも、ちょっと地味な印象になった気はしますが
手堅い演奏ってところでしょうか。

このアルバムは選曲が気に入ったってことが、まずありました。
今年はクララ・シューマン生誕200年ということなので
作曲家としての彼女の再評価の気運は高まってほしいな~と
なんとなく思っています。
ファニー・メンデルスゾーンとともに
再評価がなされるとうれしいな~と。。。
この時代に女性が演奏のみならず作曲まですることには
差別的なものが相当あったようですし、
そういうジェンダー研究的なものはもちろん興味はありますが、
音楽自体の研究もなんだかおもしろそうな気がします。

彼女(たち)でなくては作れなかった曲って?
という興味がまずありますし、
もうひとつ、夫ロベルトや弟フェリックス、あるいはブラームス
(『からの…』ではなく)『に対しての』音楽的な影響って?
ということも個人的に興味深いです。
私の不勉強であって、
もうとっくに解明されているのかもしれませんが
そんなことを考えるきっかけを与えてくれたのが
このアルバムでした。

それに、こうしてならべて3人のピアノトリオなどをまとめて聞いていると
率直に言って、同じようなファンタンジーを私は感じます。
「同工異曲」っていう感じでしょうか。
でも実は似て非なるものだったりして。。。
対幻想とか、そんなワードも思い起こされます。
考えすぎかもしれませんが
同趣の曲であっても、まったく違ったニュアンスが読み取れると
男女差としても興味深いな~
なんてことを夢想してしまいます。

明日からは台風?一過で、いよいよ今年も酷暑の到来となりそうです。
その前にまとめておきたかったレビューでしたが
ちょっと時機を逸してしまった感もありました。。。
まあ日記としてまとめられたのは良しとして
酷暑の最中は、とびきりクールなお部屋でなら
こうした音楽も聞いていただけるかな~と淡い期待を抱いて
レビューを締めたいと思います。

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