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ハイドン・ランダムノーツ4:閒(あわい)の音楽を聞く③

日記・雑記
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                     2021年09月25日

ここ1週間ほどのことですが、
ハイドン関係の音源を入手する際にちょくちょくのぞかせて頂いている
『ハイドン音盤倉庫』さんでご紹介いただいた
「ハイドン・ニュース~同時代作曲家による室内楽編曲集」を
よく聞いています。

https://haydnrecarchive.blog.fc2.com/blog-entry-1934.html

詳細は『ハイドン音盤倉庫』さんをご覧いただくと良いと思いますが
レコード会社の宣伝文句には次のようにあります。

「民族楽器を含む多彩な編成のピリオド・アンサンブル
ヌオーヴォ・アスペットによる、ハイドン作品のめずらしい編曲集。
ダルシマーやハープがとても効果的に使われていて
リーダーのミヒャエル・デュッカーが自ら図書館やアーカイブを捜索し
発見した楽譜を使用。
適宜さらに手を加えるなどして自分のアンサンブルに
ぴったりの音楽に仕立てている。」

つまりハイドンの同時代に、その楽曲がどのようなアレンジを施され
聞かれていたのかを知ることができる作品なのですが
これがなかなかにヴィヴィッドで愉しいのです。
ダルシマーなんて「異邦人」以外で
どんな曲に使われていたか指摘できない私ですが(笑)
ハープといっしょに奏でられると
何とも言えない鄙びた華やかさのようなものが演出されます。

Bernd Heyderの解説によると
ハイドンの楽譜が広く流布するようになっても
特に大きなアンサンブルのための音楽であったため
室内楽として小グループ用に改作することは
よくあることでした。
またそのような小さなアンサンブルでは
ハープやダルシマーのような撥弦楽器が使用されることも
多かったようですし
ハイドンの若い頃、彼の父親はそういう楽器で自分自身の歌を伴奏した
というような記述もありました。
そういう意味では、(もちろん現代向けのアレンジも加わっていますが)
比較的、当時の演奏の雰囲気は再現されているのでしょう。

エステルハージ家のお抱えから
1790年代前半の渡英によって、爆発的な人気を得たハイドンの音楽
やはりこういう大衆的な音楽への影響も含めて
全体像をとらえないといけないのかな~と思わされました。。。
シンフォニーやカルテット、ピアノ音楽等の
クラシック音楽のスタンダードからはみだしたところにも
彼の音楽の魅力を語る領域は存在しているように思えたのでした。

実は昨夜、ベルウッドさんへのレスを打ってから
昨年、鈴木雅明さんが指揮された
N響による「時計」の録画を見直していたのですが
その中の鈴木さんのインタビューがおもしろかったのです。

前回の私の日記でふれたハイドンの音楽の「感情万華鏡」説に関して、
鈴木さんも似たようなことをおっしゃっていて、
興味深かったのは、そういう音楽をハイドンが作ったのは
聴衆に飽きられないようにするためだったと指摘されていた点でした。
主人のためにひたすら音楽を作り続けていたときも
まあ、やっぱり飽きられては不味いわけですものね。。。
だから彼の脇腹をくすぐるようなユーモアも
職業上の要請という側面もあったということなんでしょう。
でもそこに自我の発露はまったくなかったとも言えないような
気もするのです。
流行歌作家の職人技だけに、私たちは魅かれているのかな。。。
という疑問でしょうか。
閒(あわい)があるんじゃないかな~なんて言ってみたいのが
本日の結論であります。

最後になりましたが、
なんとなく作ってしまったYouTubeのリストをご紹介して
このシリーズのしめとしたいと思います。

1909年はハイドン没後100年に当たるため、
パリの月刊音楽雑誌「ルヴュ・ミュジカル・マンシュエル・SIM」は
没後100周年記念号を企画し、
6人の作曲家に「ハイドン」にちなんだピアノ曲を作曲するよう依頼したそうで
そのときの作曲手法には音列的な制約があって
「HAYDN」の5文字をそれぞれ音名に置き換えた
「BADDG」、つまり「シラレレソ」をどの曲も使っています。

「ハイドン没後100年」
https://www.youtube.com/playlist?list=PL6_YsBKdBkdMBOSS9Uk9FMSBvT5Ah7ibv

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