フロントワイド(FW)スピーカーを導入しました。
16chのAVプリMonoprice HTP-1で使っていなかった残り2chをフル活用して、音/音場がどう変わるのかを試した次第です。さあ、どうだったか?(汗、笑)。
導入したSPはロケットシアターの主力SPたちと同じPolk AudioのES10という、非常に小ぶりのSPです(写真参照)。高さ200、幅130㎜ほどしかありません。FWを任すには明らかに力不足ですが、効果低なら、より非力なサラウンドバックSP(家に転がっていたBoseの超小型SP、笑)を置き換えようと・・・二段構え。周波数特性を測ってみると、中高域は、現用のフロントSPと驚くほどそっくり!その点は良いのですが、流石に、低域の伸びは100Hz止まり、SWとのクロスは100Hz程度で精いっぱいという感じでした。
左側は鎖で天井から吊るして、右側はソファーの端の壁に金具で止めました。インテリア的には小型なので部屋にマッチしたように思います。
(導入したES10、左側は冷蔵庫の横に吊るしてあり、冷蔵庫をどうやって開けるん?・・です、ハイ=笑、あまり使っていないのでOK)
Dirac Liveで測定/補正して、さあ、試聴です。
FWはDolby ATMOS, Dolby Sorroud(upmix),DTS:X,DTS Neural(upmix)のどれでも使うことが可能です。使えないのはAuro-3Dのみ(汗)。なので、Auro3D友の会のメンバーはあまり興味ないはず(笑)。但~し、HTP-1はこの点優れもので、FWシンセサイザー(FW synth))という機能があり、どのサウンドモードでもFWを使うことができるのです!これもHTP-1購入の動機の一つ。例えば、2chステレオソースにFWだけを追加することもできます。勿論、Auro-3DやAuromaticの時にFWを鳴らせるのです・・。
今回の試聴は2chと5.1chソースのアップミックスと、Auro-3DソフトへのFW追加の効果に限定しました。原音と以下ケースの比較ですね。2F層は6つSP設置されているのですが、Auro-3Dに合わせて、フロントハイトとリアハイトの4SPのみ使いました。なので、最大9.1.4ch! これらの配置はAuro-3Dに最適化したものなので、当然Auro-3D有利です。
1)Dolby Surround+FW(2ch、5.1chソース)
2)DTS:Neural+FW(2ch、5.1chソース)
3)Auromatic+FW(2ch、5.1chソース)
4)FWのみ追加(2ch、5.1chソース)
5)Auro-3D+FW(Auro3Dソース)
私の好みとしては、原音の切れや透明感はそのまま、音場を自然に拡大して欲しい。厚化粧ではなく、薄化粧の美人・・が好みなので(爆)。
【2ch/Jazz/Keith Jarretトリオ,At The Deer Head Inn】
Gary Peacock(Bass)とPaul Motian(Drum)とのトリオライブです。派手な録音ではありませんが、音質は良く、上手く再生できると透明感の高い音が出る録音だと思います。但し、左右に大きく広がる音場ではありません(拙耳にはそう聞こえる)。UpmixやFWでどのように音場を変えれるのか?
まず1)と2)の効果は比較的良く似ていました。2.0.0⇒9.1.4のUpmixですから、音量も自然にアップ、どうしても厚化粧ではあります。音像は少し後退(深さ方向)気味、これは好みもあるでしょう。しかし、ネガティブな効果として、音像が中央に寄ることが挙げられます。センターSPが結構な音量で鳴るためだと思いますが、音像が明らかに中央に引き寄せられてしまいます。FWをONにすると、軽減されますが、それでも若干中央より。音場は上下と奥行き方向に広がりはしますが、左右は広がるどころか、縮小気味。これは、使えないと思いました。映画のダイアログをセンターSPで鳴らすことを主眼にしたものなのでしょう。
3)のAuromaticは中央に寄る効果がかなり軽減されていて、2ch音楽の再生でも使える仕様になっていることが分かります。サラウンドSPを使って中央への寄り方を軽減しているのか、L/Rの音も変更を加えているのでしょうか?しかし、それでもFWがOFFだと若干ですが中央に引っ張られた感があります。FWをONにするとこれが無くなり、左右の方向にも音場は広がります。2F層の効果で、雰囲気も醸成されなかなか良い感じ!ちょっと厚化粧気味だけど(笑)。1)-3)のUpmixの中ではAuromaticですね!
実は4)だと、音場が左右に顕著に広がりました。3割から5割増しと感じるときもあります。Auro-3D+FWよりも左右により広がります。2.00⇒4.0.0なので当然薄化粧!音の切れや透明感にも殆ど影響がない感じでした。このアルバムに関しては4)>3+FW)>>1&2+FW)でした。でも、どの場合もFWの+効果はありました。
【2ch/classic/Anne-Sophie Mutter/Morzalt Violin Concert】
皆さん良くご存じの、カラヤンとの共演アルバムです。
1)と2)は上と同じで、音像がセンターに寄ってしまうので、もう一つですね。3)は結構いけます。特にFWをONすると横の広がりもあり、コンサート会場likeな残響が付加されて、とても良い感じです。まあ、やっぱり多少厚化粧かな?4)も悪くありませんが、このアルバムだと3)+FW> 4)>>1&2)+FWでした。この場合もFW追加は+効果ありです
【5.1ch/Jazz/Bob James/Feel Like Making Live】
このアルバムはAuro-3D版もありますが、ちょっと昔に買ったものなので、5.1ch版なのです(泣)。そこでupmixです。
5.1chの原音はBobのキーボードが左側にあり、フロントLのさらに左まで伸びで定位します。ベースは中央、ドラムは右奥に定位します。音場は元からかなり広い。この場合、1)と2)でも音像が中央に寄る現象は生じませんでした。元々センターSPに音が入っているので、音の入っている1F層には変化を与えていないようです(拙宅のセッティングでは5.1⇒7.1とコンバートしてAVアンプに送り出しているので、サラウンドバックはupmix後も音を出していない)。Upmixが加えているのは2F層の音のみ。
ですので、1)と2)も2chのようなネガティブな印象ではありません。ただ、若干鮮度が落ちて、音像が少し後ろ目になる(良く言えば音場が深くなる)割には、音場の拡大は大きくありませんでした。鮮度を落としてまで、使いたくはないなあ・・という印象ですね。
先に4)の印象ですが、音場が左右に拡大して、切れや鮮度の減少も殆どなく、かなり良いアップミックスだなと感じました。しかし、一番ハマっていたのは、3)+FW! ライブのような(ライブではないが)雰囲気の反射音が増して、かつ、前後左右(特に左右)に音場が拡大します。左右の音場の幅(この場合は楽器の定位する範囲の幅)は6mくらいありました(巻き尺で測った、笑)。L/R間の距離は2.1mしかありませんので、如何に広いか想像できると思います。深さは2m位かな?横幅は実際にグランドピアノ、ベース、ドラムを置ける広さという感じでした。
【Auro-3D/Magnificat】
これは、Auro-3Dでは普通使えないFWをFW synthで使ったらどのような効果があるかという実験です。このアルバム、Auro3Dさんの伊豆邸で聞かせて頂いて、それが切っ掛けでロケットシアターを作った、ロケットシアターの原点と言えるアルバム・・・です。
聴きどころは、勿論、少年少女合唱団のコーラスの天井に上るよな響きがどう聞こえるかですね!!
原音はそのままで、ホント敬虔な気持ちになる、天上の響きのように聞こえます。私の娘もこれには驚いていました。FWをONにするとさらに音場が広がって・・・・・・。
と思いきや、殆ど効果ない・・・んですよ。元々原音の音場の幅は6mくらいありますから、FW加えても殆ど影響無しだったのです。Auro-3DソースはFW無しで十分なようにミックスされているんですね!
3)FW無し ~ 3)+FW ・・・でした(FW-OFFの方が原音再生で安心です)。
(追記)Auro-3Dフォーマットのアルバムでも、音場の幅がそこまで広くない録音もあります。その場合は音場が左右に拡大されて+FWの効果ありでした!
【まとめ】
FWの追加は、2chやAuroMaticによるUpmixには効果的に働きました。音場(特にステージの広さ)を左右に拡大します。当面、FW-ONで聞こうかなと思っています。FWをさらに良いSPに置き換えることも考慮中です。でも、ES10は予想以上に良い音で鳴っています、驚き。デノマラのアンプ利用の方々にも推薦できれば良いのですが、未だFW-synthの機能は無いようなので残念です。機能が追加されたら是非試して見て下さい。Storm/Trinovはできるかもしれませんね!
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Tomyさん
二泊三日分のX1邸訪問記の「超大作」(笑)をブログに書いていたため、レスが遅くなりました(汗)。
たしかにこれ、私がブログで記事にした、Storm のXTモードと近い機能ですね。
http://koutarou.way-nifty.com/auro3d/2023/05/post-979ad8.html
FWより、早くHCとTに対応しろと言いたいですね、Auro-3D(Matic)ファンとしては(笑)。
私のカンなのですが、FWの効果が高いかどうかは、「部屋による」のではないでしょうか。つまり、LRと横の壁の距離があまりとれない細長い部屋の場合(伊豆の拙宅は、比較的そうです)、LRからの音が壁で「反射」する影響が小さくないので、ある意味、「仮想FW」があるようなものでしょう。
一方、Tomy邸のようにLRから横の壁までの距離がかなりある場合は、壁からの反射が少ないので、実スピーカーであるFWを置くことで、広がり感が出やすいのでは、というのが私のカンです(笑)。
是非、検証してみてください(How?)
Auro3Dさん、
お早うございます。
大作(多分そうだろうと思っていました)、これから拝見します。
MonopriceがHCとVOGに対応するか否かは、今のところ分かりませんが、HTP-1がまだ生産再開されていないところを見ると、期待薄かな? 再開されないので、HTP-1の中古価格は上昇しているようです。プレミアが付きそうなくらい。
部屋の横幅の影響は当然あると思います。横壁が離れていると、自然に横に広がり易いと思います。K&K邸の音を思い出しますが、左側(ピアノ側)がより広く、そちらにより大きく音が広がっていたことを記憶しています。FWが壁を取り払うような効果を持つと良いと思うのですが、そうではないのですね!検証は難しいですが、Kawauso邸でのFWの効果を聞けば、少しは分かるかもしれません。ただ、Auro-3Dでは検証できないのが玉に瑕です。拙宅でも、2Fの機材を全部一階に下ろす訳にはいきませんし(笑)。
Upmixで気が付いたのは、2chソースを、7.1chにマッピングしてAVアンプに送り出すと、1F層の音は全く変えないということです。ROONを使うとこれができます。Device設定で、7.1chとして、2chを7.1chにMappingのところをチェックします。初めの頃、upmixしてもセンターSPが鳴っていないので、何故なんだろう首を捻っていたのですが、このマッピングが原因でした、笑。
こうすると、例えば、Auromaticで2chソースに2F層のみ付加することができます。2.0.0→2.0.4。FW-synthをONにすると+FW&TMとなって、2.0.0→4.1.6なども可能です。Stormでも同じだと思います。一度お試しください。薄化粧になりますよ!