紗絵姫が出演すると思ってゲットしたチケットでしたが、当日はお休み番とのことでガッカリしました。そんなせいもあってか、この日記には毒が盛られています。
向かったのは、すみだトリフォニーホールです。このホールには10年以上前に何回か来たことがありましたが、久しぶりに聴くコンサートです。座席位置は、演奏する姿が見たかったので、1階席の2列目のセンターでした。当日のオケ配置は対抗配置でしたので、もし出演していたらバッチリのポジションでしたね。
このホールは、2階席の前側の部分がステージに近づくにつれて下がってくるように白いラインが走っていて、ステージが客席側に傾斜しせり上がっているような錯覚を受けます。シューボックス型のホールが生み出す音響もまずまずと感じた記憶が蘇って来ました。
ところが、演奏が始まると「なに?」という思いがわいてきます。
①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」 op. 26 感動度☆☆☆☆☆
有名ですが、聴きなれない曲でしたので若干の予習はして来ました。ですが、聴きはじめて頭の中に「?マーク」が飛びました。音が悪いのです。この音がオーディオから出たら、「おかしい、何が原因だろう?」と探り始めるレベルに感じました。だから、音楽を楽しむ気持ちになれなくて、ずっとこの原因を考えていました。
「ホールの音響が悪い?」「音が上に上がってしまっている?」「演奏が合っていないから?」「自分の耳がおかしくなった?」などと頭の中がグルグルします。消去法で、ステージ背面のパイプオルガンに音が吸われているからだろう?と気持ちに決着を付けました。
②シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 D.759「未完成」 感動度☆☆☆☆☆
この曲は交響曲の中では超有名曲ですね。コンサート名が、「すみだクラシックへの扉」ですから選曲も有名曲ばかりが選ばれています。最初の曲の不満点を引きずりながら聴いていたのですが、傾向は同じですが、こちらはそれほど音の不満は感じません。反対に何度となく演奏してきた慣れのようなものも感じます。オーケストラの音とソロの音の対比などをしながら、この不満は何か一つが原因ではなく、ホールと着座位置と演奏の複合的なものであることで納得しました。第2楽章では音楽も楽しめた気がします。
③ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 op. 68「田園」 感動度☆☆☆☆☆
休憩後の「田園」はよかったです。フェスタサマーミューザKAWASAKI2023の新日フィル公演では、実験的に6本のヴァイオリンとビオラで演奏されたのですが、さすがに大ホールでこの編成では物足りなかったです。今回は、第1ヴァイオリン:12、第2ヴァイオリン:10、ビオラ:8、チェロ:6、コントラバス:4の編成でした。シューボックス型の音響、ステージ直前の座席位置などもあり、同じオーケストラの演奏ですがミューザで聴いた時とは別物です。前半の音のことは忘れて、音楽に浸れた気がします。
「田園」はベートーヴェンの交響曲の中でも好きな曲です。優しく湧き上がるような楽器の音色が心地よく、うねりを持った激しさの変化にも揺さぶられました。そして何と言っても、ウィーンの思い出を描いたと言う点に共感を覚えるのかもしれません。
終演後は今週も先を急ぎました。先週とは打って変わって別の理由から聴き直したくなります。
②シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 D.759「未完成」
トマス・ダウスゴー&スウェーデン室内管盤 BIS SACD
・この音源は、小編成オーケストラですが録音も演奏もよくてお気に入りです。小さな音から徐々に盛り上がり、迫るようなダイナミックさ、小編成ゆえのキレのよさなど存分に楽しみました。
③ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 op. 68「田園」
パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル盤 RCA SACD
・先週は新しい録音のベートーヴェンの交響曲は、決定盤がなかなか見つからないと感じましたが、このパーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル盤の「田園」は手持ちのものを聴いて気に入りました。予習として「田園」の聴き比べをしたところ、これが一番気に行ったので先週に聴き比べた交響曲第7番も追加で仕入れてよかったです。
こちらの聴き比べでは、生とオーディオが拮抗しました。「スケール感の生」「キレのオーディオ」と言ったところでしょうか。ここは勝つけど、ここは負けているなど、楽しい復習タイムでした。
かなり毒盛りな日記となりましたが、「生は水もの」よい時があれば、もう一つな時もある、こんなものです。毎回のように「素晴らしかった」「最高だった」の連発を拝見すると、「お花畑」を連想します。でもまあ、毒盛りよりはましですね。
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