昨年のコンサートがよかったので、事前にチケットを確保して聴きに行きました。コンサートの後で購入したCDの中でリゲティの弦楽四重奏曲 第1番「夜の変容」が気に入ったので、生で聴きたくなったからです。
ホールは弦楽四重奏曲を聴くのにお気に入りのサルビア音楽ホールです。座ったのは、4列目の右寄りでした。サルビアの弦楽四重奏シリーズは人気が高く、セット券で多くが購入されるので、1回券は余った席からしか選べません。ですが、このホールはどこで聴いても良い音で聴けるのですが、(あたりまえですが)ステージに近いほど実音の割合が多く、離れると響きの割合が増えるので、好みに応じて「何列目」かを決めればいいと思いました。
演奏曲は下記の3曲です。
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第1番 「クロイツェル・ソナタ」 ホ短調
リゲティ:弦楽四重奏曲 第1番 「夜の変容」
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第2番「内緒の手紙」 変ニ長調
1曲目の 「クロイツェル・ソナタ」は、トルストイの同名の小説に触発されたとされています。主人公が妻の不倫を知って苦悩する場面から始まり、終楽章で妻の殺害に至るとのこと。演奏が始まり、最初に感じたのは低音の響きが厚いことです。予習をiPhoneからイヤフォンでしていたのですが、あまりに響き方が異なるので戸惑いを感じました。低音が厚いのは好きなのですが、反面としてヴァイオリンのキレが感じにくいのです。このところ気にしている、「実音と響きのバランス」は、やや響きが勝っていると感じました。
演奏面では、曲の解説を読んでいたせいか、重苦しく感じて、時に狂気を発するような激しさに圧倒されていました。
2曲目の 「夜の変容」がお目当ての曲でした。現代曲ですが、割合とわかりやすくて曲にのれます。この曲でも四重奏のバランスが、チェロが大きく、ヴァイオリンのキレが抑えられる感覚を受けました。昨年聴いた、弦楽四重奏曲 第2番がカミソリのようなキレを感じたのは1列目で聴いたからかもしれないです。自分好みからすると、もう少しキレに振りたい気もしたが、「チェロの音が大きく、ヴァイオリンに被っていた」のか、「ホールの低音の響きが強い」ためなのか、「実音と響きのバランスが響き寄りだった」ためか、今後のコンサートで確かめていきたいと思います。
3曲目の「内緒の手紙」は、ヤナーチェクが40歳も年下の人妻に思いを寄せていた相手への恋文のことだそうです。「ないしょの手紙」とはあからさまに出来ない手紙=恋文とのこと。
曲の重く、暗めな感じは1曲目の 「クロイツェル・ソナタ」と似ていると感じていましたが、生演奏で聴くと「内緒の手紙」は明らかに内面が明るい。はばかりつつもウキウキした気持ちが表れていると感じた。後で調べてみると、「クロイツェル・ソナタ」 はホ短調で、「内緒の手紙」 は変ニ長調とのことで納得しました。
このコンサートで初めてディオティマ弦楽四重奏団を聴いていたら、このクァルテットの印象が違っていたかもしれないです。昨年の第1印象は、「恐ろしくキレの良い弦楽四重奏団」との印象でしたが、今回は「チェロが厚く、ふくよかな音を奏でる弦楽四重奏団」との印象でした。ホールの座る位置やメンバー1人で、これほど印象が変わる音楽とサウンドは興味深いものだと感じました。
<公演>
Salvia-hall Quartet Series Season55 クァルテット・ディオティマ
(チェロは新メンバーに代わっていた)
<日時・場所>
2024年4月8日(月) 19:00~ サルビア音楽ホール
<演奏>
ディオティマ弦楽四重奏団
ユン・ペン・ヂァオ (vn)
コンスタンス・ロンザッティ (vn)
フランク・シュヴァリエ (va)
ピエール・モルレ (vc)
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